細言

Open App
2/12/2026, 4:45:23 PM

あなたに伝えたいことがあります。なのでどうかこちらに来てください。焦らなくてもいいですよ。川を渡るのは大変でしょうから。それでも私は待っています。あなたに、とても大事な話があるので。
いきなり消えてしまったあなたに言わなければいけないことが、言いたいことが山ほどあります。これだけ私を待たせるくらいですから、軽いお土産とか、最低でも綺麗な花の一本くらいは持ってきてくださいね。
待っていますからね、ずっと。時間が経って、私がそちらに行く前に、どうか顔だけでも出してください。
あなたに会いたいです。

2/10/2026, 12:49:34 PM

誰もがみんな、この世界のことが嫌いだ。そう思っていないと僕はみんなを理解することができない。
僕はこの世界が憎いからだ。うざったい。消えてしまえ。何度願ったことか。、当然、そんなことを言っときながら僕は生きている。勇気がないんだね。弱いんだ。この世には辛いことが多すぎる。誰も彼も信用できない。誰もがみんな敵に見える。そのくせ愛を欲する。
獣なんだね。
強欲だね。
でもね。誰もがみんなそうなんだよ。みんな見栄えのいい上っ面を携えて、厚い皮の下はみんな同じ。疑心暗鬼で強欲で貧弱で弱虫な獣なんだよ。
そうなんだって、信じたいんだよ。

1/23/2026, 3:13:13 PM

『こんな夢を見た』
帰り道、夕陽が道を海水のように埋め尽くしていく。冷たく悴んだ指先を制服のポケットに入れ、指を温めながら中に入っていた何かもわからない包装紙を弄る。
「今日はどんな夢を見たの?」
隣で歩く君は言った。毎度の如く、全てを取り込むように自然に。
「今日…?えっとね、何かを買いにどこかのビルに入って、そしたら家族連れがいて、なんかお父さんと仲良くなってさ、一緒に歩いてるうちに画面が変わって、大きな駅の中で…」
ふと君の方を見る。君は黙って、笑顔で、僕の顔を見ていた。
「それで?」
僕は充分に暖まった手をポケットから出し、身振り手振りを加えながら夢の説明を続けた。
「その後はね…」
支離滅裂な夢の話を聞き終わり彼女は笑った。無邪気な笑顔が夕陽に照らされていた。寒さで赤らむ頬を隠すように。
「そっちはさ、どんな夢を見たの?」
笑い終わり白い息を吐き出す君に問いかける。君と目があって瞳の奥が熱くなる。君は目を細めて笑うとこう話し始めた。
「こんな夢を見たんだ。」

1/21/2026, 11:03:01 PM

『特別な夜』
月が夜を呑んだみたいに
この部屋は翳っている
僕は一人で机に伏している
眠たくもないから
寝るほど生きてもいないから
よく育つ気もないから
寝ずに深い世界を観測する
月が眠ってしまった夜
星々は「自分が主役だ」と言いたげに
強く輝いている
月がいない夜だから
特別な夜だから

1/19/2026, 4:55:58 PM

『君に会いたくて』
そして僕はガラスペンを置いた。木製の机の上、所々インクが滲んでしまって綺麗とは言い難い。窓から入る光がガラスペンを通って部屋に拡散している。僕は静かに深呼吸をした。肺が大きく膨らんで、心に沈む鬱憤たちを一時的に浮き上がらせるみたいだ。息を吐くと肺は小さくなって、鬱憤たちも再び沈んでいく。でもゆっくりと、余裕を持って。机に上に開かれた手紙。君宛ての手紙。変だと思うかい?会おうと思えばいつでも会える距離なのに、手紙なんてって。僕は臆病だから、理由がないと会えないとか考えちゃう。だから、手紙を書く。内容はもちろん読んでからの秘密だよ。とにかく会うための要素として手紙を書いてる。僕、言葉を書くことは好きだし。
 君がこの手紙を読んだらなんて言ってくれるかな。部屋の隅で山になった過去の手紙を横目に考える。君は優しくて、いつも笑顔で僕のことを肯定してくれた。そんな君が少し嫌だった。八方美人みたいな、そんな印象。でも僕ってやつは単純でさ、少し優しくされただけで勘違いしちゃった。あの頃から手紙を書いてるけど、いつになったら渡せるのかな。書いたは良いものの、渡す勇気が出ずに溜まっていく。心の澱みが沈んでいく。
君に会いたくて、手紙を書いている。

Next