『君に会いたくて』
そして僕はガラスペンを置いた。木製の机の上、所々インクが滲んでしまって綺麗とは言い難い。窓から入る光がガラスペンを通って部屋に拡散している。僕は静かに深呼吸をした。肺が大きく膨らんで、心に沈む鬱憤たちを一時的に浮き上がらせるみたいだ。息を吐くと肺は小さくなって、鬱憤たちも再び沈んでいく。でもゆっくりと、余裕を持って。机に上に開かれた手紙。君宛ての手紙。変だと思うかい?会おうと思えばいつでも会える距離なのに、手紙なんてって。僕は臆病だから、理由がないと会えないとか考えちゃう。だから、手紙を書く。内容はもちろん読んでからの秘密だよ。とにかく会うための要素として手紙を書いてる。僕、言葉を書くことは好きだし。
君がこの手紙を読んだらなんて言ってくれるかな。部屋の隅で山になった過去の手紙を横目に考える。君は優しくて、いつも笑顔で僕のことを肯定してくれた。そんな君が少し嫌だった。八方美人みたいな、そんな印象。でも僕ってやつは単純でさ、少し優しくされただけで勘違いしちゃった。あの頃から手紙を書いてるけど、いつになったら渡せるのかな。書いたは良いものの、渡す勇気が出ずに溜まっていく。心の澱みが沈んでいく。
君に会いたくて、手紙を書いている。
1/19/2026, 4:55:58 PM