私の家から君が帰ろうと準備をした時、雨が降ってきた。暫くは止まないようだ。
君はため息を吐くけど、私は君にバレないように少しだけ微笑んだ。すぐに困ったような顔に塗り替えて、君の裾を掴んだ。君は驚いてこちらを見る。
ただ視線が交わる、もう雨の音しか聞こえない。
一呼吸置いて、私は沈黙を切り裂いた。
「雨、降ってるね。...止みそうにないみたい。」
まだ、私は帰らせたくない。
2025/07/06 #空恋
真っ白で小さい天然のオルゴールに耳を当てる。
潮の匂いがした気がした。
2025/07/05 #波音に耳を澄ませて
草原に立ち尽くす君の白いスカートが揺れた。
2025/07/05 #青い風
君はずっと私の後ろを走っていた。
後を追いかけてくるその姿を君の視線の先から眺める。距離を縮められないように。君がもっともっと先へ頑張ってくれるように。だから私は君に追い付かれてはいけない。
もしそんな時がくれば君はどんな顔をするだろうか。失望が達成感か。いずれにせよ怖いのは確かだ。
独りよがりな我儘だけど、どうかその足を止めないで。遥か先を目指して、
2025/07/04 #遠くへ行きたい
「クリスタルとガラスの違いって何だろうね。」
グラスにゆっくりとサイダーを注ぎながら君は言った。双方、キラキラと瞬い光を反射して煌めき、どこまでも透き通る色で惹きつける。
でも質が違うのではないか。重さ、反射した光の強さ、指で弾いた時の音、エトセトラ。
それを私は君に伝える。君はにこやかに話し始める。
「このグラス、クリスタルガラスで出来てるの。クリスタルって色んな意味があって、水晶とか、キラキラ輝くもの全部を指すこともあるんだって。不思議だよね。違うものって簡単に言えるし何となく理解できるけど、実際はたいして変わらなかったりして。」
サイダーを流す。パチパチと口内を少しだけ刺激し、冷たいそれが喉を通っていく。若干炭酸が抜けている。
「結局は紙一重なんだよね。色んなものが。サイダーとソーダ、ラムネだってそう。馬鹿と天才もさ。」
君は私を見つめる。視線が熱い。
「だからさ、この写真のあなたの隣にいる女性は友達?友情の上で成り立っている関係?それとも...。」
生唾か、はたまたサイダーか、とにかく味がよくわからない液体をごくりと私は飲み込んだ。
2025/07/02 #クリスタル