うだるような暑さの中、アスファルトの坂道を自転車で駆けていく。肌で感じる青葉と向日葵、そしてほんの少しのペトリコール。
家に着けば、扇風機と氷菓。今日はチョコの匂い。
2025/07/01 #夏の匂い
子供の頃の夢は「けーキやさん」でした。カタカナを混ぜて書くな。統一しなさい。
2025/06/23 #子供の頃の夢
私は君の背中を見て走っている。それはどれだけ急いても縮まらなかった。私に蔓延る劣等感が枷となって足の運びを遅くさせる。
いつかもっと距離が離されて、追いつけなくなる時がくる。必死に私も走るけど、届かなくなる。
独りよがりな我儘だけれど、どうかどこにも行かないで。置いていかないで、
2025/07/04 #どこにも行かないで
頭にノック音が響く。
うるさいほどに響いている。痛いほどに響いている。頭が割れるほどに響いている。
大きな大きなノック。
これは誰かしら?
そう思ったのも束の間。すぐに止まった。
急に静かになった頭。
自分の心臓の音すら聞こえない。
2025/03/03 #誰かしら?
「女は花で、男は花瓶である。」
「...え、いきなり何?」
「いやっ、ネットで出てきたんだよ!」
一丁前にカッコつけたかと思えば、すぐにメッキの剥がれた彼、佐々木裕人は私が頼んだコーヒーを片手に必死に言葉を紡ぐ。
「ほら、その、どんな事があっても男がね?そりゃあもう綺麗な女性を引き立てるっていう...えっと...。」
「ふうん。なるほど。」
影響されやすい裕人のことだ、かっこいいと思ってそのフレーズを使いたくなったのだろう。私としてはそんなラッピングされた言葉よりも今は別のものが欲しいのだけれど。
「うう...。」
「女性は花ね。...裕人、花って綺麗だと思う?」
「え?そりゃあもちろん。なに?そのくらいの美的センスは兼ね備えているつもりだけど。」
「たくさんの花がいる中で、私はどんな花に見える?」
静寂。ただお互いがお互いの瞳を見つめる。時計の針が動く音、蛇口から漏れる一雫。彼が息を飲んで口を開く。
「めっちゃめちゃ綺麗!可愛い!もう世界一、いや宇宙一!!最高!」
彼のラッピングされていない、馬鹿正直な言葉が音となり、耳に届く。
「ふっ、んふふ...!じゃあ、コーヒー無いと枯れちゃうからいただける?」
「あ!!ごめん!冷めちゃったよね。」
「いいの、いいの。ありがとうね。」
生ぬるいコーヒーを体内に流しながら、彼に近づく。
「えっ、え?どしたの?」
「別に?私から見れば宇宙一の花は目の前にあるなあって。」
「......?え!?どこ?」
互いに、ただ一輪の花に朽ちるまで愛を注いで、互いに支え引き立て合う。
2025/02/24 #一輪の花