Ling

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12/11/2025, 6:35:00 AM

自分自身を、ただ、抱きしめて。
凍えずに、待っていてと願う。

以前以上のあたたかな春が必ず来るから。


2025/12/11 #ぬくもりの記憶

12/7/2025, 10:32:42 AM

内側の熱が抜けていくかのように、白い空気が貴方の口から溢れた。

貴方の溢れた息を勿体無いから飲み込みたいだとか、貴方の持ちうる熱を私に明け渡して欲しいだとか。
そんな事を考えてしまうのは総て冬のせい。

私はくだらぬ欲を溜めた息を吐き出した。それも白くなって、空気に溶けていった。

貴方も同じ事を考えて、吐息を溢したのなら嬉しいな、なんて。


2025/12/07 #白い吐息

12/7/2025, 9:47:57 AM

ふと上を見た。
冬は空気が乾燥して、空がよく澄んでいる。

星々が、ただ光を落としていた。手を伸ばし、星彩を掠め取った。
しかし、その明かりを遮るかのように街灯が地を照らす。星影に街灯が勝るのだ。
街灯は日中となると消えてしまうのに、星々を喰ってしまう。
私は光り続けている不遇な星々が哀しまぬよう、星の欠片に口付けをした。

そんな夢を見た。


2025/12/07 #消えない灯り

11/16/2025, 10:55:00 AM

君は温い。
君の胸に身を埋めると、程よい熱を感じる。
例えるならば、それは陽だまりだろう。現に、じんわりと君が私の心に灼きついている。私は君のせいで日焼けしてしまった。

君が私に安心を与えるならば、私は君に何が出来るだろうか。

君のいない夜は少し肌寒い。私は仮初の温さを布団に求めた。君も肌寒くなって布団に温もりを求めていれば良いな。なんて少し酷い事を考えてしまった。
でも、もしそうであったなら、今度は私が君に温もりを与える事が出来ると思った。温もりを返せると思った。

なんだか太陽を反射する月みたいだなと考えながら、君を照らし安堵させたい気持ちを表に表し、君が淋しくなっていれば良いと薄汚れた気持ちを裏に隠した。


2025/11/16 #君を照らす月

9/27/2025, 10:06:50 AM

「裕人って、コーヒー苦手だよね?」

私が聞くと、ぎくりと分かりやすく顔色を変えた。
正直、全然隠せてないと思う。何より、私を真似してコーヒーを飲む姿は忘れられない。だって、言葉では言い表せない程にしわくちゃの顔をしているから。

ただ、私が彼に無理をしていないか心配になった。彼は悪戯好きで、少しおちゃらけて子供っぽいけど、人一倍気遣いができる。そんな宇宙一の花だから、ストレスだとか溜めているかどうしようもなく心配なのだ。彼は渋りながらも言った。

「苦手...です......。」

と、どこかばつが悪そうに答えた。やっぱり。

「私のせいで無理に飲んでない?別に、合わせなくて良いからね。」

私の気持ちをそのまま彼に伝えた。裕人は、嫌だ。と断った。そしてそのまま、私が飲みかけていたコーヒーを一口飲んだ。

「うう“〜、苦い...。」
「無理して飲まなくて良いのに...!牛乳取ってくるよ。」

冷蔵庫に向かう私を抱擁して引き止める。思わず固まっていると、彼が馬鹿正直に小っ恥ずかしい事を叫ぶ。

「だってぇ、彼女の好きなもん好きになりたいじゃん!苦いけどさあ!俺、牛乳入れれば最近飲めるようになってきたし!良いじゃん別に!無理なんてしてないもん〜〜〜!」
「...な、なら良いけど...。は、離して、ちょっと苦しい...。」

あ、ごめん。とパッと私を解放してくれた。私の心配はなんだったんだと気が抜けてしまった。

「でもさ、優しいね。梨沙ちゃん。そーゆーとこかわいい。」
「うるさい、うるさい。」
「あー、拗ねちゃった。かわいいよかわいい。」

ああ、彼に一泡吹かせられてしまった。今度は彼の苦手なわさびを大量に付けながら、寿司を食べてやる。頭の片隅に我ながら酷い仕返しが思いついたが、それと同時に、彼の好きなマシュマロでも今度食べてみようかなと計画する。

「コーヒー冷めちゃうよ〜。俺が飲んじゃうよ〜。」
「飲む飲む、ちょっと待って。お菓子だそう。」
「え!やったー!」


2025/09/27 #コーヒーが冷めないうちに

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