詩『一年後』
一年後って言葉に
僕はしあわせ描いてた
一年後って言葉に
君は恐怖を抱いてた
同じ日、同じ場所、
同じアイスを食べながら
違う目線、違う体温
違うバスへと乗っていた
永遠のなかの一年後
僕は旅行の予約した
おとずれないって一年後
君の手紙は遺書だった
詩『初恋の日』
幼稚園の昼休み
きみはボクに遊ぼうって言った
赤い手袋をつかんで走って
いっしょにブランコで遊んだね
とても寒い冬だった
あれからたくさん恋をした
節操もなく色んな人を愛した
泣かされたことも傷つけたことも
大切な人に再会(であ)うための試験
それに気づいた春が来た
デイサービスの送迎車
きみは無邪気に笑って手を振る
何処へ行くのか?いま何歳なのかも
なにも分からぬ少女になってる
だから毎日、初恋の日
詩『明日世界が終わるなら』
明日世界が終わるなら
きみは今からどうしたい?
貯金全額引き下ろし
ごちそう食べて歌おうか
それともずっと片思い
彼に告白してみるかい?
きっと強盗、殺人と
暴走してゆく人も出る
明日世界が終わるなら
ぼくはふつうに暮らしたい
お金や欲望なんかより
小さなしあわせだけでいい
何かを手にすりゃ惜しくなる
希望ぐらいがいいんだよ
明日世界が終わるなら
きみと缶コーヒー飲んでたい
詩『君と出逢って』
テレビの電源ボタン、押したように
サブスクで曲名、選んだように
夜空に咲く花火に、驚いたように
ペット屋の仔犬と、目が合ったように
君と出逢って、地球は回った
人生がスタート、動き出したんだ
君と出逢って、恐怖も知った
一人占めしたくて、愛しすぎてゆく
いつもはしない料理に、挑戦したり
下手クソなスケッチ、書きたくなったり
嫌いな勉強さえも、楽しくなったり
両親の小言も、素直に聞けたり
君と出逢って、地球は回った
すべてがいとしく、感じ出したんだ
君と出逢って、自分を知った
何もかも持ち合い、愛し合いたくて
詩『耳を澄ますと』
眠るまえ、耳を澄ますと
静寂が聞こえる
それは冷蔵庫のコンプレッサー?
それはレコーダーの回転音?
それは自動車の走行音?
それは夜行性の虫の生きる声?
そして、どっくんどっくん
私の心臓の音がする
眠るまえ、耳を澄ますと
静寂が聞こえる
静かだけれど無音じゃない
非情で冷たい世の中だけど
悲しく苦しい人生だけど
耳を澄ますと、聞こえてくる
それだけじゃないと
優しい音が…、