宝物
消しゴムや下敷きや
シールやおもちゃ
ぬいぐるみや第2ボタンや
プリクラやメール
賞状や宝飾品や
マイホームに家族
写真や遺品や
おもいでに受け継いだ味
宝物はいっぱい
世界はすべて 誰かの宝物
宝物は奪われる
分かっているから 僕らは守る
自分の命も 他人の命も
同じだけれど 同じじゃないんだ
宝物って 悲しいね
ひとりよがりで 死んでく愛だね
キャンドル
命のように消えそうで
金魚を真似て泳いだり
涙のようにぼかしかり
若き強さを叫んだり
やさしくだれかをはげましたり
憎しみたぎらし殺したり
ちいさな、その身に
ちょんと乗せ
朝が来るまで友になる
キャンドル
炎を見上げる土台から
キャンドル
流れるしずくが
人の人生…そのものか?
たくさんの想い出
まるでスマホのように
一人一人の物で
インスタやTik Tokも
使い捨ての雑誌
たくさんの想い出
幼稚園から記憶にあるけど
スポーツ観戦したあとの
みんなで語らう想い出がいい
たくさんの想い出
流行歌さえ今年は知らない
個人ごとの生活で
共有してゆく楽しさが消えた…
それはマッチ売りの少女
炎に夢を映す
人なんて一人ぼっちじゃ
想い出も作れない
冬になったら
新たな居場所と 出会いに戸惑う
桜の春は 落ち着かない春
熱中症なり 食欲なくなる
それでも花火や 祭りに沸く夏
残暑が厳しい 短い秋でも
味覚の宝庫 食いしん坊の秋
クリスマスが来て 正月迎えて
家族の絆を 確かめ合う冬
冬になったら
冬になったら
今年も終わってしまいます
冬になったら
冬になったら
人との距離が近づきます
冬になったら
冬になったら
お鍋を囲んで話しましょう
はなればなれ
なぜだろう
戦争映画を思い出す
はなればなれ
孤児たちの演技が
頭に上映される
そこに、美空ひばりの
「悲しき口笛」
はなればなれ
それは親か兄弟か
恋人なのか
去ってゆく
再会するのは、ごくわずか
はなればなれ
それが永遠になり
日常になる
はなればなれ
いつかは私が
はなれてく
きずながあってこその、言葉
はなればなれ
あなたときずなを
結びたい、