7/8/2024, 5:17:35 AM
あまりに多くの人々でごった返す交差点のど真ん中に立って、私は空を見上げた。
七夕祭りの装飾やら屋台やらの光で、天の川なんて見えたもんじゃない。まったく何のための祭りなのか、これでは分からない。
笛の音、太鼓の音、人々の話し声や笑い声…
一年に一度、待ちに待ったきょう、やっとの思いで再開したふたりは、こんなどんちゃん騒ぎの中で色々するハメになるのだ。
ハグとかキスとか、あとはまあ、その先とか…。
まったく、ムードもへったくれもないな。
4/10/2024, 1:06:03 PM
「桜は枯れないのよ」
彼女はそう言うと、ほっそりとした冷たい手のひらを私の手の甲に重ねた。
とある病室の一角である。彼女は窓際のベッドに座って外を眺めていた。望むは満開の桜である。
「散ってまた咲くの…」
声が震えている。無理もない。彼女は——。
「私はもう、葉桜だけど」
「あなたと何度も過ごした春、楽しかっ…」
私はとっさに彼女を抱きしめた。すり寄せた頬に大粒の涙が伝う。
「まだ春だよ」
私の声もいつしか震えていた。
ふたりで見る最後の景色は桜花爛漫の彩であった。
3/2/2024, 1:04:06 PM
まだ終わりじゃあない。
終わったわけじゃあないんだ。
何とでもなる。何とでもしてやる…。
【たったひとつの希望】
3/1/2024, 1:00:00 PM
頬張れ。
【欲望】
2/29/2024, 4:04:44 PM
どこへでも行こう。
これまで行けなかった場所へ。
車窓から臨むは見渡す限りの湖畔。
朝日に煌めく水面。
そんな光景を想像しながらひたむきに耐え忍んで来たあの日々を思い出せ。
どこへでも行きたかったあの頃を。
そして今、どこまでも行け。
列車に乗って。
【列車に乗って】