星を追いかけて
同郷の推しを追いかけていたら
推しが星になった
押しも押されもせぬスターになって
推しはどんどんステージを上げ輝きを増した✨
世界を見据えた巣立ちの間際
ある日突然その推しが消えた
共に笑顔で今を生きていたのに…
空を見上げ
一足先に飛び立った
そして星になったんだと言い聞かせる
なのにこの空虚感はなんだ
追っかけから 推しを育てるにシフトした
私の思いは失速し地面に落っこちたまま
流れ星よ
もう一度あの推しを 星を追いかけさせて✨
飛べ飛べとーんび
そーらたーかーく♪
羽を広げて風を孕み
一本松のまわりを旋回する一羽の鳶
今日も会えたな
ゆうゆうとやけにのんきそうじゃないか
孤独を楽しんでいるのか
オレは今日もお前を追っている
空を仰ぎ口ずさむ
飛べ飛べとーんび
そーらたーかーく🎶
ピーヒョロ♪
そうかお前も俺に気づいていたんだな
ハハハ…
ピーヒョロロ🎶
お前には
俺はどう見えているんだ
special day
思い出すのは子どもの時
高熱を出すと特別待遇で2階の座敷に一人寝かされた
見慣れない天井の木目が歪んで襲いかかってくる
苦しいよ先生早く来て
と主治医が我が家へ出向いてくれるのを心待ちにする
どれだけ時間が経ったろう
黒縁メガネの先生が階段越しに現れた
不思議な事に病のピークは過ぎ去り
「どうだい」との一言で苦しさが遠のいていく
聴診器をあてて
胸を指でポンポン…診察終了
時にはペニシリンをお尻に一刺し
これからの1日2日は学校を休める
寝たいだけ横になっていられる
食べたい物を食べさせてもらえる
枕元まで食事が運ばれた
貴重な果物の缶詰めが食べたい放題だ
白桃、みかん、パイナップル、さくらんぼ…
窓の外には聞き慣れた近所の子らの声
遊びに入りたいが気だるさがまだまとわりついて見えないバリアに隔てられている
元気な日常と病の今を天秤にかけて
special day はどっち?自分に問うていた…
揺れる木陰
湿った土と古びた祠のにおい
かくれんぼの鬼の気配はない
うずくまってからどれだけ時間が過ぎた?
そっと頭を上げてみる
揺れる木陰と僕と祠
もういいよー
もういいよー
傍の畑でキンセンカが強い匂いを放ち
オレンジ色の笑みは僕においでおいでする
もう出て来ていいんだよー
あっおばあちゃんだ
花を摘む手を止めてこっちを向いた
おばーあちゃーん
僕ねーかくれんぼしてた
花が僕に話しかけてくるんだ
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揺れる木陰の下では人の意識は持たぬこと
感覚を全開にしてそこにただ居る
眠っていた力を呼び覚ましてくれるから
真昼の夢
あつ〜い暑いよ
韓国語が絶え間なく聞こえているここはどこ?
確かめなくては…
でも目を見開いたまま身動きがとれない私は
砂漠にハングル文字留めされたガリバー
目だけで探る視点の先には
青とピンクのチェックのカーテン
見慣れたそれが示す居場所は私の部屋だ
アパートの6畳間
カーテン越しの西日が容赦なく熱気を注ぎ込んでくる
あれっうたた寝しちゃってた?
でもなんでハングル?
ドロシーが竜巻きにあったように
部屋ごと高く舞い上がり
韓国へ運ばれた?…イヤイヤそれはないでしょ
韓国語の砂嵐だ轟音をたてうねる様に迫る
それがラジオの雑音だと気づいた瞬間
身体の自由が戻った
半世紀前の夏の午後
韓国語と金縛りがセットになって
毎日の様に引きずりこまれた
汗まみれの異次元に
何の意味があったのだろう
今?
こう暑い毎日だと涼しい夢を選びたい
高齢者は熱中症リスク高くお昼寝も命がけだからね
例えばエヴァレットミレイのオフィーリア気分で英国の小川に浮かんでいるとか…
自分の死が近づいていることも知らないままで