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7/11/2024, 10:42:31 AM

お題:一件のLINE 

夜9時。
「ふわぁ、眠い……そろそろ寝よう」
ベッドへ足を運び、レッツ・ダイビングとす
る時だった。
ーピロン
「?」
スマホ?今の着信音……?
勉強机に置いていたスマホを手にし、スマホの画面ロックを解除する時、一件の通知が来ていた。
あ、LINEだ。
こんな夜中に誰だろう……?
部長さんかな?
見てみると、荻くんから【今時間ある?】とメッセージが来ていた。
えっ!?荻くん!!?
荻くんとは、クラスメイトで、現在進行形で私が片想いしている男の子だ。
彼とは、1・2週間に一回連絡する仲で、荻くんと私は2人とも部活をしていることから、だいたいこの時間夜9時に連絡し合っている。
と言っても本当に1・2週間に一回連絡で、昨日連絡したばかりだ。
二回目以降の連絡なんて、初めて……。
どうしたんだろう?
不思議に思い、画面ロックを開け、メッセージに既読して返事をした。
【大丈夫だよ!どうしたの?】
メッセージは、わずか5分後に返事が来た。
【話したいことあって。電話に替えていい?】
電話……!?
今までそんなことなかったのに…!
もしかして何か悩み事かな?
荻くんには、いつも助けてもらってばっかりだし、私も荻くんを助けられる人になりたい!
そんな意気込みで、メッセージを打ち返事をした。
【全然いいよ!】
返事はすぐに既読がつき、電話に変わった。
私は思わずうわっと驚いた。
《ーーーもしもし?荻だけど》
《あ、荻くん!花田です!》
《電話ありがと》
《こ、こちらこそだよ!荻くん、電話したいなんて今日初めて言ったし》
悩み事があるかもだとはいえ、電話なんて嬉しいっ…
学校に一緒にいる時よりも声、近いっ…
《……うん、花田に話したいことあって》
《?話したいこと?》
《……大した話じゃないんだけど、ほんと、学校でも聞けることだと思うんだけど……》
さっきから、ゴニョゴニョと誤魔化すように話す荻くん。
もしかして、私じゃ、頼りないのかな……?
……。
《荻くん》
《あ、悪い。えっと俺……》
《私荻くんの話ちゃんと受け止めるよ。私いつも荻くんに助けられてる。だから私も荻くんが何か困ってることあるなら助けたい。頼ってほしい、私のこと》
《……花田》
沈黙の空気が漂う。
わ、私口走っちゃったかな……!?
荻くん、話したいことがあるだけで困ってることなんて口にしてない。
私のバカ!お節介野郎!
《花田》
《は、はい》
荻くんに名前を呼ばれ、思わず声が裏返る。
わっ、変な声出しちゃった…!
《花田ってさ、好きな奴いんの?》
《へっ、ど、どうしてそんなこと……》
まさか好きバレ……!?
どうしよう、フラれちゃう……!
《……好きだよ》
《へっ?》
《花田のこと。花田に好きな奴いるって分かって俺焦っちゃって。だから、告白した。俺のこと1人の男として見てほしくて。……ごめん》
《荻くん……》
《返事は分かってるから!きょ、今日はこれで!おやすみ》
《ま、待って荻くん……!》
《え?》
荻くんが私のこと好きなんて思いもしなかった。
だけど、私に好きな人がいて、それが荻くんじゃないこと誤解しちゃってる。
荻くんは、勇気持って言ってくれたんだ。
だから、私も言わなくちゃっ……!
《わ、私も荻くんが好き!》
《……え?》
《私の好きな人、荻くんだよ!私、荻くんが好きです!》
《花田……マジなの?》
《マジだよっ…!》
《ほ、んとに……?……っ、幸せすぎじゃん》
電話越しの荻くんの声はわずかに掠れていた。
《荻くん…っ》
《花田、好きだよ》
もう一度聞いた「好き」。
胸がきゅっと苦しいけど、すごく嬉しかった。
どうしよう、私まで泣きそうだよっ…
《荻くん、私も好き》
《知ってる》
泣いてそうな声をしながらも、優しい笑顔を浮かべてそうな荻くん。
《告白してよかった。フラれること前提で告白したから、マジでビビったー》
《私も、両想いだなんて、びっくりしちゃったよっ…》
《だな。……花田、また明日連絡する》
《へっ》
《花田の声聞きたい。だめか?》
そんな、嬉しいこと言われるなんてっ…
《うんっ、しよ。明日も》
《っしゃ!》
喜びを声に上げる荻くん。
《じゃ、また明日、学校で》
《うん、また明日》
電話を切って、不意に空を見上げる。
今日は月も星も綺麗だ。
明日が楽しみだな。
そんなことを思いながら、私は温かいベッドで、温かくて優しい夢を見た。

7/10/2024, 1:30:42 PM

お題:目が覚めると

朝は嫌いだ。
カーテンが開いた窓から差す日の光に私・陽向は思わず目を閉ざす。
もう、朝だなんて……
起きたくないな。
……けど、純くんがいるから。
純くんとは、私と同じクラスメイトでたまたま帰り道が同じで、最近はよく一緒に学校に登校している。
純くんが、いるから。
そう思い、重たい体をグッと起き上がらせ、ベッドから出た。
そして、朝7時40分。
朝ごはんを食べ終えて、学校へ行く準備をし、靴を履き、鏡で自分を確認する。
髪型よし、制服よし、カバンよし。
準備完ぺき!
朝が嫌な私が、こうやって毎日張り切って朝を迎えるのは純くんがいるから。
いつもと変わらない通学路、いつもと変わらない教室。
いつもと変わらないものばかりだけど、純くんがいるから朝がキラキラに見えるんだ。
「行ってきまーす!」
朝の挨拶をして、玄関から出る。
そうだ。
私が嫌いな朝を変えてくれるのはーー…
「お待たせっ…!」
「!来た。おはよう」
大好きな純くんだ。
「おはよう!」
キミにおはようを言うために朝に目を覚ます。
目が覚めると朝がやってきて、一番に思い浮かべるのは「おはよう」と太陽のように笑うキミ。
「じゃあ、行くか」
「うんっ!」
そしてキミは今日も太陽のように笑う。
朝は嫌い。
けど、キミがいるから朝は好きだ。

7/9/2024, 10:07:06 AM

お題:私の当たり前

「ひぃちゃーん、僕あれ乗りたい!」
私を"ひぃちゃん"と呼ぶのは甘えん坊な幼なじみ・てるくん。
てるくんは、今超話題のジェットコースターを指指す。
「ちょ、ちょっと待って。てるくん」
「んー?」
「その、手、離して」
「……嫌」
「な、なんで?」
「……僕、ひぃちゃんの手繋がないと無理なんだよね」
「へっ、な、なんで?」
幼稚園児でもないのに……
「……鈍感だね、ひぃちゃん。好きだからに決まってるじゃん」
「……え?」
「……返事は、ジェットコースター乗った後に聞かせて。よし、じゃあ、行こう!」
「わっ」
ぎゅっと掴まれていた手は、絡められ恋人つなぎに変わる。
て、てるくんっ、こんな堂々と……っ
恥ずかしいじゃん。
……だけど、どうしてだろう?
恥ずかしいと思うのに、嬉しく思っちゃう。
きっと、私、てるくんと同じでてるくんと手を繋ぐこと、当たり前になってたんだ。
それに、私、今ドキドキしてる。
ねぇ、てるくん。
私、あなたのことーー。
私は、てるくんに絡まれた恋人繋ぎにぎゅっと握り返す。
「っ、ひぃちゃん……?」
「っ……返事、乗った後に言うから」
「……僕期待しちゃうからね」
私たち2人は顔を赤く染めて、手を絡めながら、
期待満ちたジェットコースターにゆっくり歩いた。

7/9/2024, 10:05:35 AM

お題:街の明かり

優しい光が灯る雪降る今日。
私は待ち合わせ場所に足を走らせる。
遅くなっちゃったっ…
クリスマスだからって、張り切りすぎて約束時間よりも10分も遅れちゃうなんてっ…
岳くん、怒ってないかなっ…?
待ち合わせの場所に着くと、紺色のダウンを見に纏った幼なじみで彼氏の岳くんが目に映る。
わっ、カッコいい……
「あ、咲」
私に気付き、名前を呼んだ岳。
「お、遅くなってごめんね」
「……今日いつもと違うね」
「あ、う、ごめん。クリスマスだからって、張り切っちゃって。待たせちゃったよね……!?ほんとにごめん」
落ち込んで下を向いた私にぎゅっと岳くんは抱きしめてきた。
「咲、今日めっちゃ可愛い」
「っ…」
岳くん、人がいるのに……っ
恥ずかしいっ…
「可愛い咲が見れたから、待ったことなんて許すよ。俺のためだよね……?」
「うんっ…岳くんに可愛いって思ってほしかったのっ……」
「咲は可愛いなぁ……自慢の彼女だよ」
「えへへ」
「じゃあ、行こっか」
「!うんっ」
クリスマスの夜、私は今までで1番温かい日を過ごした。