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お題:私の当たり前

「ひぃちゃーん、僕あれ乗りたい!」
私を"ひぃちゃん"と呼ぶのは甘えん坊な幼なじみ・てるくん。
てるくんは、今超話題のジェットコースターを指指す。
「ちょ、ちょっと待って。てるくん」
「んー?」
「その、手、離して」
「……嫌」
「な、なんで?」
「……僕、ひぃちゃんの手繋がないと無理なんだよね」
「へっ、な、なんで?」
幼稚園児でもないのに……
「……鈍感だね、ひぃちゃん。好きだからに決まってるじゃん」
「……え?」
「……返事は、ジェットコースター乗った後に聞かせて。よし、じゃあ、行こう!」
「わっ」
ぎゅっと掴まれていた手は、絡められ恋人つなぎに変わる。
て、てるくんっ、こんな堂々と……っ
恥ずかしいじゃん。
……だけど、どうしてだろう?
恥ずかしいと思うのに、嬉しく思っちゃう。
きっと、私、てるくんと同じでてるくんと手を繋ぐこと、当たり前になってたんだ。
それに、私、今ドキドキしてる。
ねぇ、てるくん。
私、あなたのことーー。
私は、てるくんに絡まれた恋人繋ぎにぎゅっと握り返す。
「っ、ひぃちゃん……?」
「っ……返事、乗った後に言うから」
「……僕期待しちゃうからね」
私たち2人は顔を赤く染めて、手を絡めながら、
期待満ちたジェットコースターにゆっくり歩いた。

7/9/2024, 10:07:06 AM