蒼暁

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12/9/2024, 7:29:16 AM

 終わりは突然やってきた。

 3年間付き合って、プロポーズをして、結婚することになった彼女。一緒に住んで、幸せに暮らそうねって言ったのに。朝、目が覚めたら白い封筒が枕元に置いてあった。

『今までありがとう、ごめんね。間に合わなかったみたい。……もし、あなたがこんな私のことも愛してくれるのなら、一緒に棺に入れたらいいな。それで一緒に燃やされるのなら、私は幸せ物でしょうね』

 穢のない無垢な白。美しい文字。本当に彼女そのもののようだ。

 彼女は手紙へと姿を変えていた。

「あなたのことを一生大事にするよ。最後まで一緒だからね」

 

『だいすきよ』

 書き換えられた文字を見て、まだちゃんと、ここに生きているのだと、1枚の便箋から鼓動を感じた。

 新しい姿の彼女との生活が今、始まった。



12/9お題「ありがとう、ごめんね」

11/19/2024, 10:28:08 AM

ふっ

 そっと短く吹いた息で小さな灯が消える。焦げ臭い香りが暗闇とともに広がった。

「おめでとう、⬛⬛」

 私の目の前には真っ白いショートケーキがあるだけ。

 銀色のフォークで適当にケーキを掬って食べた。やけに甘ったるいクリームの味が舌先にしばらく残ったままだった。




「キャンドル」

5/15/2024, 6:22:40 AM

 どうやら私は死んでしまったらしい。そして、元は人間であったことしか今はもう覚えていない。
 魂だけの状態でふよふよと浮かんでいる。この姿では簡単に風に流されてしまう。
 そうだ、風に乗ってどこまでも飛んでいこう。色々なところを見たらきっと、自分が何者だったのかを思い出せるに違いない。


「風に身をまかせ」

12/20/2023, 10:03:49 AM

 寂しさを紛らわせたくて、あなたの遺した日記帳を開いた。私のことは何一つ書かれていなかったけれど、それでもあなたの生きていた証だと思うと愛おしく思えた。

(寂しさ)

12/18/2023, 8:43:54 AM

 一つ話をしよう。とりとめもないが笑っておくれ。まぁ、そうだな、この話は退屈だと欠伸をしてもいい。
 でもね、話を聞いてる間、君の時間は僕のものだ。それだけは譲れない。

(とりとめもない話)

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