ここは、いつから無色になってしまったのだろうか。
そんなことを考えながら世界を渡る。
どこもかしこも色がない。
目を凝らしてようやくわかる。
色がついていた。ついていたはずなんだ。
だけど今はどこにもない。
寂しいとかはなかった。
透明ではない。輪郭がる。
それなら観測構築が出来る。
無色の世界で生きる事にもすっかり慣れてしまった。
無色の世界
咲いたからには散るか枯れるか。
どちらにせよ華々しい姿。通行人に吹雪のように散らす姿に名残惜しさといさぎよしさ。
ほうと息を吐く。
やはり春はこうでなくては。
桜散るなかに去り行く季節の便りを見た。
夢をみる。
それは一瞬のことだったかもしれないし、何十分と時間がかかっていたかもしれない。
不思議な感覚のまま気がつけば仕事をしていた。
いつのまに、という感覚のまま仕事に戻る。
この感情をカテゴリーに入れるとしたら、嬉しい、というのだろう。
夢を、見ていた。そう、目で、肌で。そして
、心で。
酒を飲む、枝豆を口に放る。また酒を飲む。
この繰り返し。大衆居酒屋で寂しい一人酒。
どれくらい経っただろう。
一時間かもしれないし二時間かもしれない。
なにせ時間感覚がない。
かろうじて二つ向こうの席の団体はまだいることしかわからない。思い切って聞けば教えてくれるだろう。
だが今知りたいのはそんなことではない。
むしろ、忘れるくらい飲みたかった。飲まれたかった。
どうやったら、隠していた思いを、自分から取り除けるのだろうか。
わからないまま飲んで潰れるのを待っている。
届かないなら。無い方が気楽なのだが。
どうしたもんか。
そう一人ゴチる。
真っ先に、神様へ、と呟いた。目の前の事態に、どうあっても私一人ではどうにもできないからだ。
増員の余地がない。そしてなにより失敗は死を意味する。
少しのミスも許されていない。
それでも時間だけはあった。そしてこの失敗で死ぬ人間は私一人。不幸中の幸いと思うことにした。
もう一度。最後にと呟いた。
神さまへ。