イブの夜
いきなり電話してくんなよ。昨日?あー…別に普通。普通の日曜過ごしてたわ。いや別に友達いないとかじゃねぇし。
一応誘われたんだけど、誘われたけどね。
イルミネーション?いや、眩しいし目痛くなるだろ。センスねぇな。
クリスマス?予定ねぇけど。だってただの平日じゃん。特になんかする意味なくね?何もしたくないわ。
クリスマスデートとかマジ興味ない、やってるやつキモくね?
お前は何すんの?
えっ、俺のこと誘おうとしてた?
は、え、あの、いや、行きたくないわけじゃ…違うし、別に?誘ってもいーけど?
嘘嘘嘘嘘嘘!ごめ、あの、誘ってください…
え、行ってくれんの⁈よっしゃー!!
は⁈クリスマスデートだねって…俺ら付き合ってな…気づいてたって…!
これからよろしく
雪を待つ
雪を待つ。
僕はいつも雪を見れない。
僕は雪を見たことがない。
太陽に当たって時には下を向きながら、涙を落としながら、頑張って上を向いて生きている。
涙は次の希望だ。また頑張ろう、と。
でも頑張っていても毎年、絶対雪を見れない。
太陽は好きだ、大好きだ。
だから僕はいつも太陽を見ている。
でも、雪に憧れている。
真っ白な世界を見てみたい。
でも、絶対見ることはできない。
でも、だとしても、絶対に諦めることはない。
たとえ叶わないとしても、
太陽のような僕の光で照らしてあげる
ひまわりより
イルミネーション
イルミネーションが好きだ。
キラキラ光って、空の星を全てここに閉じ込めたみたいで。
イルミネーションが好きだ。
クラスの人気者のハナちゃんみたいにキラキラしてて、みんな周りに集まって、その光を分けてもらう。
でも、イルミネーションもハナちゃんも私にだけ光を分けてくれない。
どんなに頑張っても、振り向いてくれない。
今年も1人で来たイルミネーション。
綺麗だな。
隣にハナちゃんがいたら、もっと明るくて、朝と勘違いしちゃうくらいにキラキラして、光って、楽しいんだろうな。
ハナちゃんが好きだ。
イルミネーションが好きだ。
2つが合わさったら、きっと太陽の出来上がり。
眠れないほど
理由なく眠れないほど嫌なことはない。
スマホ見たら目覚めちゃうし、でもすることないし布団から出れない。だから嫌なことばっかり考えちゃう。今日なんであんなこと言ったんだろ、もしかして私のこと…⁈
眠れないから病むのか。
病むから眠れないのか。
どっちでも良いから早く寝たい。
最近はずっと目の下にクマがある。
この日は眠れないまま日が昇ってしまった。
クマさん!クマさん!
何故か、暗い私に陽の方の男が突っかかるようになってきた。みんなに優しいし、話したことないわけでもない。多分私の名前知らないんだと思う。目立たないし。
今日も眠れなくて目の下のクマが目立つ。
目立つからか、名前を知らないからか、その両方か。『クマさん』と呼んでくる。
正直嬉しい。かっこいいし、可愛い。犬系男子ってやつ?タイプだ。
絡んでくるようになったとは言ったが、悪いことはして来ない。てか良いことしかしない。
一昨日は挨拶してくれた。昨日は机運びを手伝ってくれて、今日は日直の手伝いをしてくれた。
私も薄々気づいている。もしかして私は好きかもしれない。どうしよう、気づいてしまった。気づいたからか、目が合うと顔が赤くなるし、まともに話せない。心臓が早い、やばいやばいやばい‼︎
『クマさん!』
走って来たのか息が荒い。こっちまで息が荒くなってしまう。
手には何か持っている、?
『明日暇?これ…』
手紙…先生から日直の頼み事?なんだろう。でも明日は日直じゃない。
『今は開けないで!オレがいなくなって開けてよ?』
彼の言葉通りに動いてあげよう。
親友とか友達とかいないし帰りながら開けようかな。てか可愛かったな、犬みたい。
帰り道、雨が降ってしまった。傘は持って来ていない…女子力の無さがここで見えてしまった。
このくらいの雨イケるっしょ。コンビニまで走った。傘を買おうと入るも、財布が軽い。終わった。
コンビニを出ると雨はさらに強くなっていた。運が悪すぎる。
そうだ、さっきの手紙読もう。
『クマさんへ
いつもみんなのために頑張ってるの見て
好きになっちゃいました。
もしよろしければ明日の放課後、
告白させてください。
廊下の提示版の前で待ってる!
犬飼よりU・x・U』
最後の絵文字かわいーな。
…
ほんとかな、ほんと⁈あれっ嘘かな⁈やばい、両思い⁈でもでも嘘つくような人じゃないし!
大雨の中コンビニ前で1人慌てていた。
もしほんとなら…幸せ…。
大雨の中走ってくる人がいる。学生だろう、と言うかうちの学校も制服だ。…犬飼くんだ!
どうしよう、今会っても気まずいだけだよ⁈やばいやばいやばいやばい‼︎私顔真っ赤じゃない⁈
思わず目を逸らした。犬飼くんも気づいたようだ。
『…クマさん⁈よ、よよ、読んだ、?』
めっちゃ噛んでる…可愛い。顔真っ赤じゃん。
『あの、明日告白するから…えっと…一緒帰ろっか!』
少し照れ臭い笑顔で傘を差し出した。断る理由もない。
『駅まで送る!』
なんで私の駅知ってるのかな?もしかして私が意識する前から…。色んな想像が膨らむ。
ぼーっとしてたら1日の終わる直前にいた。
いつも通り眠れないけど、いつもの考えすぎが原因だけど、いつもと同じじゃない。明日を否定する私じゃない。
明日が楽しみで楽しみで堪らなくて、ドキドキで眠れない。
こんな理由で眠れないほど幸せなことはない。
夢と現実
あ、これ夢だ。コイツ夢でも楽しそうだな、押し入れでトランポリン。
3人目の視点で見えてるのおかしいし。コイツいつもジャージなのにスーツなのおかしいし。まず押し入れでトランポリンできないだろ。
あ、これもう起きるな。
あ、現実だ。起きれない、身体が重い。
涙で霞んで、瞼が重くなって、布団にくるまった。
アイツ今頃何してんのかな、夢では楽しそうにしてたのに。
アイツはもう戻って来ないんだ。
アイツの親から貰ったジャージは押し入れにいれた。
戻って来いよ…なんで先に逝ったんだよ。