鶯になりたかった鳩

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6/19/2024, 12:50:00 PM

相合傘ひとつ 

些細な言い合いに関係なく雨は降り続く

大小でこぼこ 君の左肩が濡れている

雷雨の音が加速して 早まる足


雨粒はポリリズム その音だけが響く

土の匂い ふと香る洗濯物の香りは君


背中に汗 紫陽花に水滴


ふと思い出す プール開き前の掃除

コケに転んで 頭を打ったこと

相合傘 ひとつ 君はまだ傘の中

少しだけ傘を左に傾けた

5/6/2024, 1:14:54 PM

明日世界が終わるなら

ネクタイなんか締めずに

とっておきのスニーカーの靴紐閉めて

10万キロ近い車に乗って

何回聴いたか分からないアルバムをかけよう
(そこはCDだとなお良い)



隣には君がいて 少しだけ窓を開けると

車のエンジンがタイヤが頑張っている音がする

こないだ入れたガソリンは半分もあるさ



行き先はどこでも良い
(海でも山でも喜んで。この車は四駆ではないけど)

だって僕らだけ神隠しに遭うかもしれないし

どこだって後悔するのがオチさ
(鮮やかな海は人気で混雑するだろう)

「いっそのこと家が落ち着くね」なんて笑い合おう


世界が終わるより 

僕らが終わる可能性が高いわけで

とりあえずネクタイ締めて すり減った踵で歩くよ

君に会える日まで

5/5/2024, 1:08:04 PM

人生ゲームが最後まで勝てるか分からないこと

隣の家の晩ごはんの香りが僕の家の庭にも漂うこと

子供のころ遊んだ団地のシーソーの色が塗り変わっていたこと

君の家だと星がよく見えること

貰ったネクタイが思った以上の力をくれること



君と出逢ってから気がついた

君と出逢ってから気がつくことが増えた

なんでもない日常の なんでもないことに


宇宙にとって僕らが死にゆくことは

ちっぽけすぎて何の変化にもならない

だからこそ色んな目の前のことを
思い出に変えられるように

今日も1日を紡ぐ

4/30/2024, 12:26:56 PM

新しい画用紙 雨の日のプール

苔の生えたジャングルジム 

ドの音が出ないリコーダー

どこかへ行ったプリント


目の前がすべてだったあのころ

その楽園は 虚像か想い出か



足の速くなる靴は もう入らない

リコーダーの吹き方さえ 忘却の彼方

4/29/2024, 12:43:25 PM

蒸し暑い夜 羽毛布団は放り投げて

ウールのコートとは しばしの別れ
(クリーニング屋のクーポンを使った試しがない)


春はどこへ行ったやら 冷蔵庫の温度が上がる


噴水の季節 川へはもう行かないけれど

セミが着々と準備を進めている


最高気温が更新されたと毎年騒ぐテレビ

もっと報じるべきことがあると太陽は嘲笑う


蒸し暑い夜 風に乗って

シティポップが気だるく流れる

ストリーミングでも構わんが

でも真空管 そこにレコード 置いといて

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