鶯になりたかった鳩

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5/5/2024, 1:08:04 PM

人生ゲームが最後まで勝てるか分からないこと

隣の家の晩ごはんの香りが僕の家の庭にも漂うこと

子供のころ遊んだ団地のシーソーの色が塗り変わっていたこと

君の家だと星がよく見えること

貰ったネクタイが思った以上の力をくれること



君と出逢ってから気がついた

君と出逢ってから気がつくことが増えた

なんでもない日常の なんでもないことに


宇宙にとって僕らが死にゆくことは

ちっぽけすぎて何の変化にもならない

だからこそ色んな目の前のことを
思い出に変えられるように

今日も1日を紡ぐ

4/30/2024, 12:26:56 PM

新しい画用紙 雨の日のプール

苔の生えたジャングルジム 

ドの音が出ないリコーダー

どこかへ行ったプリント


目の前がすべてだったあのころ

その楽園は 虚像か想い出か



足の速くなる靴は もう入らない

リコーダーの吹き方さえ 忘却の彼方

4/29/2024, 12:43:25 PM

蒸し暑い夜 羽毛布団は放り投げて

ウールのコートとは しばしの別れ
(クリーニング屋のクーポンを使った試しがない)


春はどこへ行ったやら 冷蔵庫の温度が上がる


噴水の季節 川へはもう行かないけれど

セミが着々と準備を進めている


最高気温が更新されたと毎年騒ぐテレビ

もっと報じるべきことがあると太陽は嘲笑う


蒸し暑い夜 風に乗って

シティポップが気だるく流れる

ストリーミングでも構わんが

でも真空管 そこにレコード 置いといて

4/28/2024, 11:12:56 AM

拾った琥珀に 虫が入ってた

アリかクモか はたまたハエか

幸福か不幸か 分からない姿をしていた



宇宙はどんどんと 拡大している

これまでに何人が生まれて 何人が死んだのか

地球はそんなことに無関心で 

たぶん むしろ 植物の方が それを気にしている


プラネタリウムの季節が近づく

あのひかりは 何万光年前のものなのか

気づいていたけれど それは偽物だった

衣替えだって 何百回も できないね

刹那 


4/21/2024, 2:14:28 PM

雨が降る 雲が欠けていく

修学旅行の帰りのバス みんなが疲れて寝ていた

カーテンの隙間から見た外

灰色の雲が世界を 食らおうとしていた

その隙間から 雫のように差し込む白い光

誰かが 「天使の階段」と叫んでいた


あれから僕たちも大人になっただろう

木々の雫にも 雲からの光の雫にも

もはや目もくれない日々

雨が降る 欠けていく空

自然は変わらぬと自惚れるなかれ

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