落ち葉が去って 桜が咲いて
それ見て酒飲み 宴がおわる
散った桜に 興味はないのさ
だってもう 蝉が鳴いているでしょう
抜け殻みてたら イチョウの絨毯
銀杏の匂い マフラーの出番
防虫剤の匂いのマフラーに毛玉が生まれたら
梅が今さ今さと湧き上がる
そのうち 背骨が曲がって 三途の川さ
言葉にできない なんて 言わずに
想いは言わねば伝わらぬ
誰も時間も待っちゃくれない
気象予報士が 予報を告げる
当たったとしても 外れたとしても
会社に着く頃には みんな忘れている話
傘を握るかどうするか それを決めるだけのこと
ところにより雨
100年生きたとしても 訪れることのない場所には
傘が壊れたと悪態をつく人
てるてる坊主を恨む人
洗車したばかりの車で出かける人がいる
たぶん一生出会うことはないけれど
その人も僕も また訪れる晴れを待っている
そんなことに関係なく 衛星は写真を送り続ける
僕たちが傘を握るために
また晴れが来るのだと安心させるために
地球儀くるくる 海はこんな色だっけ
ハワイと僕の住む国は少しずつ近づいているらしい
わずか5,000万年後にくっついてしまう
プラネタリウムぼんやり ガラスを拭かなくちゃ
窓を開ければそこに ほんとうの光はあるんだけどね
カセットを変えれば そこは別世界の夜空
人工衛星のパーツはゴミとなって
いずれ落ちてくるかもしれない
未来人のもつ隕石は 人工物ばかりだとさ
(日本産は高価です、なんてね)
生まれるまえと死んだあと
そこには誰かの生活がある
ぼくとは関係のないこと
地球儀くるくる もっと知りたかったと後悔する前に
靴紐を締めて
人工知能も教えてくれない
とっておきを探しに行こう
あなたを想う人がいるなら
まずはその人を想うべきで
それすらできずに愛を語るの?
(だって、「隣人を愛せ」とは少し違うわ)
平和が要るなら自ら負けるの
無駄に大きなプライドは ゴミ箱へ
(「後出しジャンケン」で負けることができて?)
どちらも教科書には載っていないし
人工知能だって導き出せない
有名なネズミのキャラクターだって教えてくれない
誰かが遺した音や文字、絵
その断片を拾って かき混ぜるしかないの
(バンクシーに三島も一応太宰も入れましょう)
そんなことより今日は肌荒れしているの
無知の知、それがわかったのよ
だから 早く寝ることに価値がある
だって
わたしたちが扱うには余りにも大きすぎるんですもの
土産屋の小さな袋が何故か捨てられず
とっておいた何枚かの袋が煎餅の缶から出てきた
イルカの描かれた袋のセロファンテープ
それは荒く剥がされていて
中に何が入っていたかは もうわからない
◇
その日、おそらくは夏の日
手にしたデジタルカメラが嬉しくて
水族館で見ていたのは 目の前の魚ではなくて
画面越しの魚
写真は全てぶれていた
もう出口になってしまったことに気づいた僕は
「再入場」という言葉を覚えた
ぶれている魚たちは まだ生きているだろうか
今のぼくをみて 何を思うだろうか