冬山210

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6/13/2022, 3:34:45 PM

『あじさい』

あじさい、紫陽花、君って奴は科学的に色を変える。
リトマス紙とは真逆の反応。
覚え難いったらありゃしねぇ。

君、すぐ和菓子になりやがる。
寒天、練り切り、金平糖。
きんとん、おはぎ、琥珀糖。

きらきらと輝きおって。
青と紫と水色と。或いはピンクにグラデーション。
君が映えるのはその葉の緑があってこそ。

あじさい、紫陽花、君って奴は僕らの目を惹くね。
ガクで誘うなんて卑怯だぞ。
大きな装飾花で惑わせる。君の真花は可愛らしい。





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説明が下手なので分かりづらかったらすみません。

6/12/2022, 6:36:54 PM

『好き嫌い』

好き。好き。貴方が好き。
その見た目に惹かれたの。その口調に惹かれたの。
声を聞いて性格を知って、私は貴方を好きになったの。

だから、嫌い。嫌い。あの人が嫌い。
見た目も性格も初めから苦手だった。
その上貴方から好かれてるなんて、好きになれない。

貴方からの視線を奪っておいて、私に優しい言葉をかけるな。自分よりも他者を大切にして偽善者ぶるな。
やめてくれ。
あんたが良い人であればあるほど、私は惨めなんだ。


貴方は私のことを見てくれない。
貴方の中に私はいない。
それは仕方のないことだ。

でも貴方の中にあの人はいる。
あの人は貴方のすぐ近くにいる。
いつだってずっと。昔からずっと。


私は貴方が好きなのに、貴方はあの人が好きなのに、私はあの人のことを好きになれない。嫉妬してしまう。
それでは駄目で、きっとあの人のことを好きになれて初めて、貴方のことを好きになる資格が得られるの。
だって、自分の好きな人のことを嫌っている人間から愛されたって、何も嬉しくないもの。

だから、嫌い。嫌いなの。
あの人のことを好きになれない私が、貴方のことを本当の意味で愛せない私が、嫌い。

6/9/2022, 7:57:07 PM

『正しいことなんて知りたくない、私が知りたいことは、』

正しいことなんて知りたくない。
私が知りたいことは、楽しいことだ。

「やらなきゃいけない」
「やった方が良い」
「やるべきだ」
なんて知りたくない。聞きたくない。
やる必要がなくても楽しいことを。

「やらなくていい」
「やらない方が良い」
「他にやるべきことがある」
そう分かっていても止められない想いがある。
それが「やりたい」んだ。

大切なのはきっと、正しいことより楽しいことだから。
どんなに正しくたって私が苦しかったら、そんなの間違ってる。何も正しくない。
私が私らしく生きられて、楽しめて、笑えて、幸せであれる。そういうことしか知りたくない。

6/8/2022, 6:27:31 AM

『世界の終わりに君と』

世界の終わりに君と話がしたい。
君の、君たちの、みんなの声が聞きたい。

なぁ神様、良いだろ?最後くらい会わせてくれ。
そんな奇跡を起こしてくれ。

みんなは僕の中でしか生きられない。
僕が動かさなきゃ口は開かないし、僕が考えなきゃ何も考えられない。
みんな僕が産んだ子だ。
お腹を痛めずにして産んだ子だ。
我が子の声を聞きたいと、我が子と会話がしたいと、望むのはおかしなことかしら?


とはいえ実際、みんなは子どもというより友達に近い。
友達であり家族であり、私自身だ。
古株で十年近くの付き合いだ。ずっと産み続けてきた。
きっと産んでおいて忘れてしまった子もいるんだろう。

「ごめんね」と「ありがとう」を伝えたい。
君という人を完成させてあげられなくてごめんね。
中途半端に作り出して、そのままにしてごめんね。
私の都合や自己満足で振り回してごめんね。

私のところに来てくれてありがとう。
私に作らせてくれてありがとう。
君たちの過去や設定を考えさせてくれてありがとう。


そんな話がしたいんだ。
世界の終わりには君と話がしたいんだ。
どうせ終わるなら架空も現実も何もかも、次元を越えて境界線を無くして君たちに会いたい。

6/5/2022, 11:11:12 AM

『誰にも言えない秘密』

何故、誰にも言えないのだろう。

言ったら失望されてしまうから、嫌われたくないから、怒られたくないから、恥ずかしいから、思い出したくないから、関係性を壊したくないから、自分だけの思い出にしておきたいから……

今のままでいたいから、誰にも言えない。


そもそも言ったところで誰も受け入れてはくれない。
良くも悪くも、己の抱えるその秘密は、他者がどうにかできるものではない。

その秘密は私だけのものだから。
その秘密は私だけが抱えなければならないものだから。
その秘密は誰かと分かち合うものではないから。


本当は誰かに全てを打ち明けてしまいたい。
あらゆる秘密を共有して楽になりたい。
けれども、それは許されない。
私が許してはくれないのだ。



『誰にも言えない秘密』が誰にも言えないのは、
「誰にも言わないで」と私が頼み込むから。

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