冬山210

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6/3/2022, 4:00:42 AM

『不安なこと、辛いこと。正直に、心のままに。』

生きていくことがとても不安でとても辛い。
社会に適応することが苦痛だ。

正直に、心のままに、全てを曝け出しても受け入れてくれる相手が欲しい。ありのままの私を見て、ありのままの君が良いと、言って欲しい。

けれども、それは無理だ。
何もかもを許容してくれる人間なんて現実にはいない。


であれば、せめて。せめて私だけは私を受け入れてやろう。私の全てを許容してやろう。私を愛してやろう。

私のことが嫌いな私も、私の意見に反する私も、私が抱える不安も苦痛も、全てまとめて愛してみせよう。

私を愛せるのも守れるのも、私だけなのだから。

6/2/2022, 9:44:48 AM

『梅雨』

君って奴は相合傘がしたかったんだな。

私も君も傘を忘れたことなんてなかった。
だから相合傘なんてする機会はないはずだった。

それなのに君は、君はさ。
私が傘を開こうとしたら急に近くに寄ってきて、問答無用で私を自分の傘に入れてしまったんだ。
私は開きかけた傘をどうすれば良かった?

傘を持っているのに人の傘に入れてもらうなんて変だ。
そこまでして相合傘がしたかったのか。
君も大概、『彼女』とやらに夢を見ているな。

6/1/2022, 9:41:49 AM

『天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、』

天気の話なんてどうだっていいんだ。
明日が晴れようが、曇ろうが、雨が降ろうが雪が降ろうが、台風が来ようがどうだっていい。
僕が話したいことは、そんなつまらない話じゃない。

僕が話したいのはもっと面白い話で、君と腹を抱えて笑い合えるような話で、テンポ良く会話が弾むような話で、一生の思い出に残るような話だ。
そんな話がしたいんだ。

けれどもそんな、素敵な話が思いつかないから、僕は君と何回目かの天気の話をする。
何度話したって明日の天気は変わらないのにな。

5/28/2022, 1:35:25 PM

『半袖』

腕を出すのは嫌だからと、君は夏でも長袖を着た。
細い腕を隠して「太いでしょう?」と聞く君は馬鹿だ。

本当は君の半袖が見たかった。
私がどれだけ「太くないよ」と言ったって、
「君にはこの服が似合うよ」と言ったって、
君はそれを受け入れてはくれなかった。
君のその柔らかな肌は日の光を浴びなかった。


それが今はどうだ。
君は真っ白なドレスに身を包み、相変わらず細いその腕を何の躊躇いもなく曝け出されている。

「腕は出したくないのではなかったのか?」
 私がそう聞くと、
「彼がこのドレスが似合うと言ってくれたの」
 と言って幸せそうに頬を染めた。


君の半袖なんて見れなければ良かった。

5/26/2022, 6:26:44 PM

『月に願いを』

貴方を見ていると吸い込まれそうになるの。

眩い光。あんなにも遠くにあるのに、こんなにも明るく光って見えるの。不思議でしょう?

貴方が恋しくなる。

決して手が届かないの。
あんなにも綺麗なのに、もっと近くで見たいのに、貴方は誰の手にも収まらない。

それならそれでいいとすら思える。
例え私のものにならずとも、貴方が誰のものにもならないのであれば、別にそれで構わない。
誰のものにもなって欲しくないの。

貴方は貴方でいて欲しい。
貴方は貴方のまま、ずっとそこにいて欲しい。

月に願いを。
どうか何千年後も、貴方がそこに在りますように。

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