『半袖』
腕を出すのは嫌だからと、君は夏でも長袖を着た。
細い腕を隠して「太いでしょう?」と聞く君は馬鹿だ。
本当は君の半袖が見たかった。
私がどれだけ「太くないよ」と言ったって、
「君にはこの服が似合うよ」と言ったって、
君はそれを受け入れてはくれなかった。
君のその柔らかな肌は日の光を浴びなかった。
それが今はどうだ。
君は真っ白なドレスに身を包み、相変わらず細いその腕を何の躊躇いもなく曝け出されている。
「腕は出したくないのではなかったのか?」
私がそう聞くと、
「彼がこのドレスが似合うと言ってくれたの」
と言って幸せそうに頬を染めた。
君の半袖なんて見れなければ良かった。
5/28/2022, 1:35:25 PM