冬山210

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『半袖』

腕を出すのは嫌だからと、君は夏でも長袖を着た。
細い腕を隠して「太いでしょう?」と聞く君は馬鹿だ。

本当は君の半袖が見たかった。
私がどれだけ「太くないよ」と言ったって、
「君にはこの服が似合うよ」と言ったって、
君はそれを受け入れてはくれなかった。
君のその柔らかな肌は日の光を浴びなかった。


それが今はどうだ。
君は真っ白なドレスに身を包み、相変わらず細いその腕を何の躊躇いもなく曝け出されている。

「腕は出したくないのではなかったのか?」
 私がそう聞くと、
「彼がこのドレスが似合うと言ってくれたの」
 と言って幸せそうに頬を染めた。


君の半袖なんて見れなければ良かった。

5/28/2022, 1:35:25 PM