「どこ行ったんだろうなー…」
「うーん、どこだろー?」
「どこー?」
「…ねえ、」
──────貴方に言ってるんだけど?
たとえば、テスト前の不安なとき。
たとえば、先生に呼び出されたとき。
心がざわざわするの。これは、嫌な予感ってやつかな。
それは大抵、杞憂で終わるんだけどさ。
でもさぁ、
「…別れよっか」
これは杞憂で終わって欲しかった。
たしかに心がざわざわした。
嫌な予感した。
だけど、ほんとにそうなるとは思わないじゃん?
木がざわざわするのと同じくらい、わたしの心はざわざわしてる。
そして、心臓がばくばく言ってるの。
「ドッキリ?」
で、あってほしかった。
きみの目見たら一目瞭然。
この質問はナンセンス。
かっこよくいったら愚問ってやつ。
病める時も健やかなる時も、きみにはわたしと同じ気持ちを味わってほしいの。
こころが、ざわざわする。
「うん、ばいばい。でも、最期にキスしよ…」
「最後?いいよ。」
意味深な、ことばのこして。
この世に諦めを感じた目で見つめて
ほろりと、涙を流すの。
そして、
「あいしてたよ。」
きみとの生涯に終わりを告げて
「しあわせだったよ。」
わたしの生涯に終わりを告げる
「…嫌な予感、的中した」
…あは、
今更、遅いのにね。
手を掴まれてわたしはちゅうぶらりん。
きみがわたしをとめるっていう嫌な予感が的中。
「あいしてたよ」
ううん
「あいしてるよ」
夜の屋上で風がざわめく。
木々もざわめく。
桜の花が舞い落ちる。
少し寒くても、握られた手の温もりで我慢できるの。
心はもう、ざわめかなかった。
syudoさん『邪魔』オマージュ
今更何も言わないけれど、お前の態度が気に食わぬ。
なんて、心の中の燻り。
気配り上手だし聞き上手。
「誰にも言わないでね?」なんて他言無用もお手の物。
おまけに突飛な輩にも擬態処理。いくら癖の強いやつも絆されていく…醜いアタシの嫉妬。
「███ちゃんは可愛いよね!」
「一緒にいて楽しい!」
誰彼皆々お前らの味方になるけれど、それでもアタシは許さない。認めない。
昔からヒロインが嫌いだった。皆悲劇のヒロイン。
虐められて悲しいの何の。読者の同情を買おうと涙をほろりほろり。
だけど、アタシは靡かない。客観的に見ても何を見せられているのだろうと呆れるの。
まあ最終的には王子様と結ばれて幸せに暮らすオチ。
ホント、くだらない。
別にアタシが善とは思わないが、お前が善など反吐が出る。
アンタの心は道徳心の塊。心が道徳の教科書なんじゃないの?
いじめは許さない、親切に見返りを求めるな、親を大切にしろ、命の尊さを知れ…
ウザったらしい。
だけど、アンタの周りの奴らの目は明らか。
自問自答で夜は暮れる。
そう、アンタは善なの。アタシは認めないけれど。
理屈や倫理や常套句、二股論拠さえ…アタシの前では通じない。聞こえない。
耳を塞ぎたくなるほどの正論は、アタシにとっては迷信なの。
そうやってずっと殻にこもる。
意味を殺してしまえよ!
好きに狂ってしまえよ!
…なーんて、出来たら良かったのになあ。
昔の記憶。アンタとアタシのはじまり。
アンタはいつも主人公で、アタシはいつも悪役だった。
アンタをいじめられる優越感に浸れても、最終的にアタシは壇上から降りるの。
いっつもアタシは悪役だったの。
でも本当は、王子様に愛されたかった。
エンドロールの1番上に、主人公として乗りたかった。
最後まで舞台に立っていたかった。
…うふふ、あはは!!!
現役女優であるアタシとアンタ。
学校の中では人気者でもSNSでは違うんだ。
エゴサーチしていると簡単に見つかるアンタの悪口。
そうそう、御託に酔っておられますが…
さしずめアンタも個人主義。
敵なく生きてくことなんざ、
所詮オメーにゃ無理なのさ。
カンカンと頭に鳴り響く。
人目避けて笑っていこうぜ!
他者の目なんて気にせず好きに狂っていこうぜ!
死ななきゃ何も問題ないのさ!
嫉妬で駆けて行こうぜ!
嫉妬塗れで何が悪いの?全部アタシの自由よ!!
「ララララララララララ」
ミュージカルで歌ったことなんてなかった。
「ララララララララララ」
いつだってハモリ役だった。
「ララララララララララ」
でも今だけは…
「ララララララララララ」
アタシを主役にさせて。
──────ララララララララララ
子供の鼻歌のような声だけが、路地裏にこだました。
「約束だよ。」
なんて、何を約束したのだろうか。
DECO*27さん『妄想税』オマージュ
ある男は言う。
俺はイケメンだからあの子でもいいし、あの子でもいい。選べる権利がある。
だがまた別の男は言う。
僕はブサイクだからあの子でもいいし、あの子でもいい。女の子だったら誰でもいいのさ。
なんて、妥協にも色んな種類はある。
人間というのは妥協が大好きなのだ。
妥協・・・何かの物事を進めるにあたって、関係する双方の意見が食い違い、そのままではそれ以上の進展が望めそうもないときに、いずれか一方が自身の意見を取り下げたり、あるいは双方が互いに相手の意見を一部容認して、歩み寄りして、問題の打開を図ること。(Wikipediaより)
だけど、あなたはそれで満足ですか?
自分の意見を蔑ろにしているけれど…叶えたいとは思いませんか?
妄想税というものをご存知だろうか。妄想税を積むと叶えたい夢がなんでも叶う。そんな魔法の紙。
例えば、陸に恋い焦がれた愚かな人魚姫は尾びれを捨て、声を担保に足を手に入れた。
妄想税を払えば「あれしたい」「これしたい」という欲も全て思い通り。
汚い妄想は汚いお金で解決させれるんです。
おっと、興味がおありで?
そう!妄想税とは素敵なシステム!あなた方の為の愛しき制度、優しき義務化。
皆様の暮らしを豊かにするためのモノです。
…ですが、中にはNOと声を荒らげる馬鹿もいるのです。どこにでも堅物はいるものですね。
そう、馬鹿…こんな馬鹿もいる。
何事にも対価が必要だというのに、ルールを破り無償で欲を叶えようとする馬鹿。
叶わないよ、払わなきゃ。
「きみがねがうことも」
「きみがおもうひとも」
「きみがにくむかこも」
「おもいどおりだよ。」
「きみがほしいかおも」
「きみがほしいむねも」
「はらえばかなうので」
「約束だよ。」
なんて、何を約束したのだろうか。
対価の約束?それとも…
僕は、なんで…
押しよる群衆の声。
馬鹿共の遠吠え。
耳を劈く恨み言。
孕んだ怨念。
嗚呼…煩いな。
叶わないよ、払ったって!!!!
全部大嘘だよ!!!!!
こんなの、騙された方が馬鹿さ!!
どうも、39ました。もういいよ…もういいんだ!!
この紙切れは僕のもんだ!!
この妄想税という名がついたただの金。
そうさ、金を払ったってお前らが望む顔や胸は手に入らない。
ほんとに欲しいなら整形でも豊胸手術でも勝手にしてろ馬鹿が!!!!
過去は消えない、取り戻せない。
「××ってほんとにデブだよね」
「××ってノロマだし」
「××はブサイクだよね〜」
そんなの僕がいっちゃんわかっているさ!!!
努力して、手に入れたこの体!頭脳!!権力!!
お前らにはわからないだろう!?
金を払って解決出来ると思ってる馬鹿どもが!!
このなんの保証もない口約束を信用する馬鹿共め!!
「約束は、契約書を介しましょうね♡」
汚い妄想は汚いお金で解決させましょう。
泣いてたら
何も言わずに
ただ手を差し伸べてくれた
なのに今は
嫌いなんて言われた
ネタ?ノリ?冗談?
ハハッ
あの時の君の温もりは
どこへ消えたんだろう