リチ

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たとえば、テスト前の不安なとき。

たとえば、先生に呼び出されたとき。

心がざわざわするの。これは、嫌な予感ってやつかな。

それは大抵、杞憂で終わるんだけどさ。

でもさぁ、

「…別れよっか」

これは杞憂で終わって欲しかった。

たしかに心がざわざわした。

嫌な予感した。

だけど、ほんとにそうなるとは思わないじゃん?

木がざわざわするのと同じくらい、わたしの心はざわざわしてる。

そして、心臓がばくばく言ってるの。

「ドッキリ?」

で、あってほしかった。

きみの目見たら一目瞭然。

この質問はナンセンス。

かっこよくいったら愚問ってやつ。


病める時も健やかなる時も、きみにはわたしと同じ気持ちを味わってほしいの。


こころが、ざわざわする。

「うん、ばいばい。でも、最期にキスしよ…」

「最後?いいよ。」

意味深な、ことばのこして。

この世に諦めを感じた目で見つめて

ほろりと、涙を流すの。

そして、

「あいしてたよ。」

きみとの生涯に終わりを告げて

「しあわせだったよ。」

わたしの生涯に終わりを告げる






「…嫌な予感、的中した」

…あは、

今更、遅いのにね。

手を掴まれてわたしはちゅうぶらりん。

きみがわたしをとめるっていう嫌な予感が的中。

「あいしてたよ」

ううん

「あいしてるよ」



夜の屋上で風がざわめく。

木々もざわめく。

桜の花が舞い落ちる。

少し寒くても、握られた手の温もりで我慢できるの。

心はもう、ざわめかなかった。




3/15/2025, 11:53:08 AM