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4/11/2026, 7:06:41 PM





 〈言葉にできない〉

  信仰は礼賛とちがって、言葉にする必要がない。

  言葉にする。
  つまり、形ない無窮の空想を、実在に変換する。
  天に放しておけたものを、地に引きずり下ろす。

  批判じゃありません。虚勢であるのです。
  だって、この信仰。ないしわたしの煮えたぎる
  感情のなかでは、それすらできそうもない。

  自分の心臓のより、奥。うんと狭い核を突かれ、
  衝かれ。ひとは、それを憑かれたようだと言う。

  たしかに病的です。ときに押し黙り、ときには
  ひたすら雄弁を装って衒学じみた話をする。

  けれどね!それもこれも、光にあてられたせい。
  ひとの知る神の名前と、あなたの名前は、
  一文字たりとも合ってなんかいやしませんけど。

  だからこそ、余計に言葉を失う。
  わたしだけの神さま。わたしだけの信仰。
  できないことを必要がないと言い換えて、祈る。
  射抜かれたこひつじを、拾われますよう!

4/7/2026, 2:20:15 PM






 〈沈む夕日〉

  沈んでしまうのが、きらいだったんです。
  いやだと言えたんです。さみしい!とも。

  でも、いまはそんなこと、言えなくなりました。
  遊具も花畑も、わたしが佇むにはきゅうくつで。

  こころに知識と理性がふたをして、あのころの
  気持ちに鍵をかけてしまいました。
  一日をただ、流すようになってしまいました。

  でも、夢の入り口のような入相の色合いをみて、
  思うんです。
  うつくしいと。天の色相のコントラストが、
  わたしたちに目がけて広がる。広がってゆく。

  かなしみを抱いても、
  よろこびを手放したわけじゃあ、ないのかしら。

  一人の帰り道を、歩く、歩く。
  伸びゆく影とおどる、これは、わたしのソワレ。

3/17/2026, 1:26:38 PM







 〈泣かないよ〉

  声は上げない あなたに聞こえるかもだから
  あなただけは やさしい夢に送りたいから
  泣かないよ 泣いていない 泣いてなんかね
  けども 空腹はみたされてるのにからっぽだ
  喉もかわいていないのに 枯れゆく気持ちで
  わたし死ぬのかな このまま 死ぬの?

  生と死はおもてとうら
  いずれも剥がせない命への情動で
  死にたい気持ちのてっぺんに来たらば
  あなたの崩れた相好が見下ろしたとこにある

  太陽と月みたい ね
  あなたの光で延命する 反射の虚構で生を踊る
  明日も生きてみたいから おはようと言ってね

3/4/2026, 4:06:41 AM







 〈ひなまつり〉

  桃の節句。女の子の幸福を、願うんだって。
  でもわたし、しあわせと呼べるものの大半は、
  あなたにあげるの!そう、決めてるんだよ。

  今だって、変わってないの。
  ひなあられの桃色のとこだけ、あなたの大きい
  手のひらに乗せてあげた、あの日から。
  だから、大人ぶるのはやめて、こっち向いて。
  つやめく桃の花は、あなたに首ったけだもの。

2/28/2026, 6:55:16 PM







 〈遠くの街へ〉

  歩く、歩く。
  ある時は駆け足に、また、ある時はゆっくりと。
  少しずつ、帰路に逆らって、夜道を行く。

  帰ろう。いや、もう少し。あと、少し。
  伸びきった影が月に惚れて、地面に揺らめく。
  このまま行けば、どこへ辿り着くのだろう。
  あるいは、どこに着けるのだろう。
  どこになら、わたしの安寧はあるのだろう。

  ひとしきり、馬鹿げたことを考えて、百八十度。
  足跡で逆立てた道を均すように、帰路につく。
  今度は月ではなく、仄めく人の灯りを目印に。
 
  けれど、遠くの街なんかに、行けたらば。
  わたしは愛する希望に、出逢えるのでしょうか。

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