ラカロ

Open App
5/26/2025, 6:51:53 AM

駅前のバス停の屋根から滴る雨が
滴る先のアスファルトに深い穴を空けていた
雨に打たれながら佇む私はふと思う
「アスファルトより弱い私に穴が空くのはいつだろう」と
優しい雨音に包まれて

5/22/2025, 1:20:49 PM

朝目が覚める
下に降りてお母さんに朝食を作ってもらう
ふとTVを見るといつもより少し遅めの時間だ
遅刻するかもしれない
急いで朝食を頬張り慌てて学校に駆け出す
「行ってきます!」

いつもと同じ時間に寝たはずなのに少し頭がボーっとする
正直今まで生活リズムが崩れたことはほとんどなかった
病気とか旅行とか年越しとか夏休みとかそういう夜更かしするようなタイミングじゃないと寝不足なんてなった事がない
夜友達とは遊べないけど学校で遊べば良い
そう思っていつも早寝早起きを心掛けている
まあ少し疲れが出たのだろう
今日はいつもより早めに寝ようかな

朝目が覚める
昨日よりも酷い眠気が身体を襲う
目覚まし時計はいつもの時間より10分ほど後を差していた
お母さんが作った朝食を慌てて頬張る
慌てる中お母さんが変な事を言った
「昨日、珍しくお友達と遅くまで通話してたわね。」
何かを聞き間近えたのだろうか
まあ良い学校に行こう
「いってきます」

何かがおかしい
いつもより友達が昨日の夜の話題を持ちかけてくる
なんだろう
本当は遊んだのに寝ぼけているだけか?
少し早めに寝たはずなのに...
友達に「今日も遊べるか?」と聞かれたが断りを入れて帰路についた

朝目が覚める
いや正確には起こされた
お母さんが珍しく部屋に居た
「夜更かしもいいけど大概にしなよ!」
久しぶりに怒られた。
目の片隅で日付を見たおかしい
明らかに昨日の日付から日数が進んでいる
本当に夜更かしのし過ぎで頭がおかしくなったのか?
思い返すと昨日の学校の帰路から記憶が抜け落ちている
「昨日は久しぶりの寝坊だったから多めに見たけど2日連続は起こるしかないわよ!ま、送ってあげるから早く支度なさい」
昨日が寝坊?本当におかしい
とりあえず今日学校から帰ったらお母さんに相談しよう

朝目が覚める
流石に一昨日と違って寝坊する事なく起きられた
いや正確には昨日もだが
下に降りると母親が朝食を作っている
時間的には多分大丈夫だろう
ゆっくりと朝食を取ることにしよう
「今日はちゃんと起きれて偉いわね」
母親に褒められる、まあもう1人の自分みたいに怒られたくは無いしな
もう昨日まで自分とは違う

5/21/2025, 4:00:30 PM

あなたと居ると苦痛だった
希望に満ちたその顔が、私を求めるその行動が
一緒に居ると幸せそうなその雰囲気が
今までの私の全てを否定しているようで
共にするその時間が早く過ぎればいいと思った
ああ、雲になりたい

確かに一緒に居るその瞬間だけは楽しかった
でもふと我に帰った時、全てが虚しくなる
その虚しさはちょっとずつ心を蝕んで
気がつくとまたあなたに楽しみを貰って
その繰り返し

その繰り返しがとても苦痛で
いっそのこと全部忘れさせてくれれば楽なのに
いっそのこと私を見捨ててくれれば楽なのに
ずっと一緒に居てくれるわけでもない
ずっと離れてるわけでもない
そのどちらでもない状況が本当に苦痛だった
いつしか心の中は虚しさの方が大きくなっていた
それでもいつかはなんて考えてしまっていた

今日やっと気づいた
この繰り返しに意味はない
ああ、最初からこうすれば良かったんだ
こうすれば雲になれる
狭く硬い鉄の箱
その向こうに見える赤はまるで夜明けのようだった
さようなら

5/20/2025, 3:34:10 PM

雲になりたい
そう言った君はどこへ行ったのだろうか
暖かくなり始め桜が咲き散り生命を感じる春
蝉が鳴き太陽が照りつける真夏
青々とした葉も赤く色付き涼しくなる秋
肌を突き刺す寒さと体感どんよりとした空の冬
その全ての季節で君は呟く
雲になりたい

最初はただの冗談かと思っていた
その言葉を話す時君は突然静かになる
でも何度もその言葉を聞くたびにそれが本当のことなんじゃないかって思ってしまった
でも少しするといつもの君に戻る
話すと微笑むように笑い、少しからかうとからかった分だけ少し怒ってまたすぐ笑顔に戻る
何もしていない時は澄ました顔で喋りかけるとキョトンと言う言葉が似合うほど間が抜けた顔になる
それがいつもの君
でもその言葉を話す時だけ、誰にも理解されない、誰も近寄らせない、そんな顔になってしまう
僕は救いたかったのかもしれない
僕はその言葉を叶えてあげたかったのかもしれない
本当は気づいていたんだ、その言葉の真意
雲になりたい
それはどこか遠くに行きたいと言う意味じゃなかったんだ

ある朝僕は君の表情が明らかに違うことに気づいてしまった
でも彼女は言った
「ゴミはどこに捨てればいい?」
その言葉は突き放すように発せられたのではなく
普通に聞くように、優しい声いつもと同じだった
でもその表情は、絶望という感情が読み取れるようなそんな顔だった
「裏に焼却炉があるよ」
言うべきでなかったかもしれない、でもその表情と声のギャップに何も考えず答えてしまった
答えてあげたかったのかもしれない
「ありがとう」
その言葉を残して彼女は焼却炉の方に向かって行った
ゴミも何も持たずに


5/14/2025, 12:39:00 PM

息を吸う度に胸が痛くなる
小さい頃からの病気
生きる事が苦痛で何度も息を止めては吸う
そんな日々を繰り返して居た

小さい頃の1番最初の記憶
親に打たれ泣き叫んでもやめて貰えない
その時は胸の痛みに気づく余裕なんてなかった
その痛みに気付いたのはもう少し経ってから

小学校には通った
多分周りの目を気にしてのことだと思う
最初は今まで通り打たれてたけど
学校で痣の多さが問題になって家まで教師が押しかけてきた

それから親に打たれなくなった
でも代わり会話は無し
そうやって家では孤独になって行った
ちょうどその頃ズキズキと痛み始めた

最初は打たれなくなって気づかなかった怪我だって思ってた
最初の数年間は
明日には治ってる、明日には治ってる
そう思って1日1日必死に息継ぎをした

でも怪我じゃなかった
何年経っても治らなかった
病院にも行けなかった
やっと病院に行けるようになったのは働き始めてからだった

胸が痛い、呼吸が苦しい
登校が辛い、体育が辛い、授業が辛い
走るのが辛い、階段が辛い、自転車が辛い
遊ぶのが辛い、歩くのが辛い、立つのが辛い
座るのが辛い、喋るのが辛い、息を吐くのが辛い
吸うのが辛い、ドアを開けるのが辛い、家に居るのが辛い
寝るのが辛い、起きるのが辛い
息を止め続けるのが辛い
この世界が辛い

僕は酸素アレルギーだった

Next