息を呑むほどの絶景
青と白に支配された空
様々な色で地平線の先まで彩られた景色
人工的な断崖から見渡すその景色を目に焼き付けた
後ろにはかつて存在していた村や道路が眠っている
多くの人々はその壁を見にこの場所にやってくる
だが俺は違う
100mほどある壁の上に立ち見回す
犬を連れた夫婦
物見遊山で来た学生
遠くから来た旅行客
その全てを俺は下に見てその場所に立つ
絶景と言われる場所で
壁を流れる水と共に落下する
全てを失った俺には落ちながら思い出される
その全てが美しかった
その場所には誰が植えたでもない彼岸の花が一輪咲いていた
夢なんてないよ
いっそのこと切り捨ててしまえば楽なのに
いっそのこと突き放してしまえば楽なのに
孤独に浸って可哀想な自分を愛でればいいのに
その行動ができずに1人でうじうじ前に進めずにいる
たまにこう願ってしまう
「いっそのこと突き放してくれ」
「俺を嫌いになってくれ」
でも自分から嫌われるような行動をしない
何故なら嫌われたく無いから
誰かがこの状況から助けてくれる事を願っているだけの無能
でもそうすることしか出来ない
何故ならお前はいつも選択を他人に委ねて来た
何も自分で選んでいない
水泳も学校も仕事も趣味も全ての物に他人の名前がつく
水泳と学校と仕事は親、趣味は親と友人
自分で何一つ選んで無い、いや選べない
新しいものが怖いからどうしても後押しが欲しくなる
それに他人の名前を使う
完全なる他力本願
「次同じことされたら全て切り捨てよう」
心の中でそう誓ったその言葉
でもお前は実行できなかった
同じ事をされたことがショックだから?
今切り捨てるのは何も変わらないから?
違うだろ、甘えているだけ
そこに他人の後押しがあれば確実に行動していただろうな
2018年と同じように
結局そいつとも疎遠になったしな
お前は幸せになりたいって願う
妄想の中で幸せな自分を思い浮かべる
だが思い浮かべる"だけ"
そうなろうとする努力をしない
「もう過ぎてしまったことへの妄想だから」?
なら未来の幸せを妄想するべきだ
でもそれは出来ない
何故なら理想の自分は過ぎ去ってしまった取り返しのつかない自分だからだ
お前は一生1人で不幸せなフリをして生きろ
俺はお前の味方だと思っていたか?
残念ながら生まれた頃からずっとお前が嫌いだ
でもそれをお前はずっとわからないフリをして来た
お前は「お前」が大好きで大事で世界で1番守りたい物だから
傷つけたくなくて俺をずっと遠ざけてた
でもそれも今日で終わりだ
俺はお前が大嫌い
俺はお前の存在が許せない
俺はお前が幸せになる事を望まない
本当に俺はお前が気色悪い
本当に俺は俺が気色悪い
最底辺にも落ちぶれることのできない優柔不断のクズ
距離感を測れないクズのコミュ障
人見知りなんて言葉に甘えて人と
仲良くなる努力をしないクズ
お前は幸せになれない
俺は幸せになれない
なあラカロ
駅前のバス停の屋根から滴る雨が
滴る先のアスファルトに深い穴を空けていた
雨に打たれながら佇む私はふと思う
「アスファルトより弱い私に穴が空くのはいつだろう」と
優しい雨音に包まれて
朝目が覚める
下に降りてお母さんに朝食を作ってもらう
ふとTVを見るといつもより少し遅めの時間だ
遅刻するかもしれない
急いで朝食を頬張り慌てて学校に駆け出す
「行ってきます!」
いつもと同じ時間に寝たはずなのに少し頭がボーっとする
正直今まで生活リズムが崩れたことはほとんどなかった
病気とか旅行とか年越しとか夏休みとかそういう夜更かしするようなタイミングじゃないと寝不足なんてなった事がない
夜友達とは遊べないけど学校で遊べば良い
そう思っていつも早寝早起きを心掛けている
まあ少し疲れが出たのだろう
今日はいつもより早めに寝ようかな
朝目が覚める
昨日よりも酷い眠気が身体を襲う
目覚まし時計はいつもの時間より10分ほど後を差していた
お母さんが作った朝食を慌てて頬張る
慌てる中お母さんが変な事を言った
「昨日、珍しくお友達と遅くまで通話してたわね。」
何かを聞き間近えたのだろうか
まあ良い学校に行こう
「いってきます」
何かがおかしい
いつもより友達が昨日の夜の話題を持ちかけてくる
なんだろう
本当は遊んだのに寝ぼけているだけか?
少し早めに寝たはずなのに...
友達に「今日も遊べるか?」と聞かれたが断りを入れて帰路についた
朝目が覚める
いや正確には起こされた
お母さんが珍しく部屋に居た
「夜更かしもいいけど大概にしなよ!」
久しぶりに怒られた。
目の片隅で日付を見たおかしい
明らかに昨日の日付から日数が進んでいる
本当に夜更かしのし過ぎで頭がおかしくなったのか?
思い返すと昨日の学校の帰路から記憶が抜け落ちている
「昨日は久しぶりの寝坊だったから多めに見たけど2日連続は起こるしかないわよ!ま、送ってあげるから早く支度なさい」
昨日が寝坊?本当におかしい
とりあえず今日学校から帰ったらお母さんに相談しよう
朝目が覚める
流石に一昨日と違って寝坊する事なく起きられた
いや正確には昨日もだが
下に降りると母親が朝食を作っている
時間的には多分大丈夫だろう
ゆっくりと朝食を取ることにしよう
「今日はちゃんと起きれて偉いわね」
母親に褒められる、まあもう1人の自分みたいに怒られたくは無いしな
もう昨日まで自分とは違う