12歳の叫び

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6/7/2024, 11:29:58 AM

「〇二七八四。あなたはどこから来たのですか?」
「…」
手足が触手でできているが、その他は全て人間と同じ作りをしている異生物を私は研究している。
いきなり発見され、それからどんどん見つかっていき、異生物研究者がいる普通の世界となった。そんな中私も、異生物の研究専門の学校へ入り、今は、対面する授業中。
「…なぜ答えないのです。あなたは本当に地球にいたのですか?」
ぱりんっ
その瞬間、絶対に割れないとされていたガラスは異生物の職種により、一瞬にして粉々になる。
え?私もう死ぬの?入学してまだ1年も経ってないのに。
「人間、みーんなそんなことしか言えないの?聞いてすぐ答えるわけないじゃんか」
笑いながら私の目をジーッと見つめてくる異生物。私はそれに心を打たれる。私の母国では珍しいエメラルド色をした瞳を持っている。そんな異生物に。
「…じゃあ私の質問には答えなくていいよ。お友達になろう?私の名前は雪。華吹 雪。顔に見合わないよねー。良く言われるの。ねえ、異生物さんのお名前は?」
本当は怖い。その触手で殺されてしまうかもと思うけれど、試すだけ試した方がいいじゃん?
「お前みたいなやつ…初めて見たわ。俺の名前は海陽 陽菜。女みてえな名前だろ?でも、好きなんだよ」
「…素敵な名前だよ。私の名前なんかより素敵だよ」
「なんでだ?雪なんて、可愛いじゃないか。顔に見合わなくねえよ」
「…雪が降る日に生まれたからつけたんだって。まあそれだけならいいけど、面倒臭いくて適当に着けたんだよ?ほんと嫌になっちゃうなあ…」
頭をかきながら、割れた破片を見た。
すると、陽菜くんは私を触手で持ち上げた。
「え?! なに?!」
「そんな悲しい顔すんな!お前の名前は莉菜だ!俺と似てるだろ?莉菜!」
それはとても、純粋な笑顔だった。ほんと、子供みたい。
「…ありがとうね。私、莉菜かあ。かわいい。陽菜ありがとう」
「へへ!嬉しいか!」
これが、私たちの幸せな日々の始まり――
でも、そんなもの直ぐに終わっちゃうんだね。
「…陽菜。私もうダメみたい」
「…?どうしたんだよ、いつものお前じゃない。お前の顔じゃない。莉菜?」
私の片手には包丁。そして包丁には異生物に毒の薬が塗られている。
「陽菜。一緒に死のう?ねえ、死のうよ」
私、可笑しくなってる?
「おい、なんだ。どうしたんだよ。話せ!俺たち友達だろ?」
「ッ、だって!陽菜を殺せって言われたの!やだよ、ひなを失いたくない!ねえ、死のう!一緒に死のう!!」
心中。
まるで恋愛小説。そう、儚く、ドロドロとした恋愛小説。
「…まあ、俺さ。秘密事してたんだよな。俺、元々地球人じゃねえんだよ」
「…当たり前じゃん。だって人じゃないもの」
「ハハッ。莉菜はこんな時も笑わせにきてんのかよ。違ぇよ。地球外生命体だ」
…なんだか嫌な予感。
「俺、地球人の偵察に来たイクツアルポーク人なんだ。人間なんて殺そうと思えば殺せた。でも殺さなかった。なあ、分かるだろ?」
「……私が…、いるから?」
少しその言葉に恥ずかしさを感じ、躊躇いながらも言う。
「はっ!そうだよ、あってる。嘘言って、俺らには地球人に叶わないって言ったんだ。仲間にな。まあ…其れがもうそろバレそうでよ。地球、終わるよ」
ずっと笑顔だったのに、いきなり真面目そうな顔をして、そして最後。また笑う。
「…なら、尚更、死のうよ。私、陽菜に会えてよかったもん」
「次は同じ宇宙に生まれよう」
ギュゥゥゥ
強い力に腕は麻痺。毒の着いた包丁なんて床に落ちた。
地球があり、星があり、その星は宇宙の中にあり、宇宙はひとつではなく、何個もある。なら、宇宙はなんの中にあるのだろうか。
でも、そんなのどうでもいい。私たちは、いくつもある宇宙を超え、出会い。友達になった。
…あれ、死ぬ前に好きなこと伝えてないじゃん。

そして、私は彼の触手に巻かれ、窒息死。

6/6/2024, 2:02:18 PM

苦しかった。今にも学校を抜け出して帰りたかった。
中学一年生、初めての定期テストは全て80点台。
テストは復習が大事って言うよね。うん、そうだよ。確かに復習が大事。
けれど、それは今後について。
こんな点数じゃ、復習する気力なんて湧くわけないじゃんか。
テストでいい点取れなきゃ意味ないとしか思えない。明日はいい日になりますように。
たとえ今までが最悪でも、きっと明日は少し最悪な日になってるかもしれないと願ってる。

6/5/2024, 11:25:02 AM

問題用紙を全て埋められなかったこと。

私ね、本当は友達とのテストの点数が近いことが嫌で仕方ないんだ。
でも、それ程の努力もしてないよ。
明日のテスト返しが不安で不安で何もする気力が出ないまま、もう八時。
勉強1分もしてないよ。これができる人と出来ない人の心の差だと思う。

6/5/2024, 7:52:03 AM

このガラスの容器は、広いようで狭くて、けれどやはり広いような。
あまりよく分からないガラスの容器。
けれど、第三者から見ると、見ただけでは広いと思える。だってそれは、自分が100人分入れる大きな容器だから。
そんなもの見たら、広いと思える。じゃあ、なんでこの地球は狭く感じるのだろう。自分が何億人以上入れるほど広いのに。なんで狭く感じるの?――
定期テストがやっと終わった最終日、私は自転車を押して、家に帰る。
私、思うんだ。広い世界にいたいと思うのに、行く努力なんてしてないなあって。
広いガラスの容器の中にいるのと、その外側にいるのでは、外側にいる人が広い場所にいることになるけれど、私はその外に行く努力をしているのかな?
ていうか、そもそも広い世界ってどのことを言ってるの?面積的に、心的に、見た目的に、色々あると思うのだけれど、私はどの世界のことを言っているのだろうか。
「こんにちは〜」
「こんにちは」
道ですれ違う人に挨拶をした。とても心地よかった。だって、言葉が帰ってきたから。誰かの1番になれない辛さなんてもう無くなっちゃったもん。
道ですれ違う人に挨拶するだけで私は幸せになれる。そんな小さな幸せが大きく感じられるのは、狭い世界にいるから。
だから私は、狭い世界にいるのかな?だから私は、この居心地のいい狭い世界を愛してるのかな?

6/3/2024, 10:52:35 AM

「俺さ、雪のこと好きなんだ」
私の好きな人が言っていた。
それも私の大っ嫌いな友達のことを好きだと。
なにそれ。みんなみんな私のものをとるじゃないの。
頭いいんだからちょうだいよ。
性格いいんだからちょうだいよ。
運動神経いいんだからちょうだいよ。
信頼があるんだからちょうだいよ。
なんでくれないの?失恋とかキモすぎるだろ。
私、2日後の初の定期テスト。すっごく不安なんだよ?帰宅部で勉強の期待が重ねられる私の気持ちわかるの?
バカにしないでよ。1位なんて取れないこと。私でもそうだと思ってるよ。でも、最近になって自信がついてきた。そんな私に言っていい言葉なの?おかしいよ。頭おかしいよ?いじめっ子より頭いってると思うんだけど。
早く定期テストがしたい。でもしたくない。ここでいい点をとったら180度世界かま変わる様な気がした。
空を見ると、曇り空でした。

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