12歳の叫び

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5/13/2024, 10:55:29 AM

お題〈失われた時間〉

今書いている小説を、削りに削って描きました!


私には、約70年間の失われた時間が存在する。確かね、こんな夢だったかな――。
私がまだ、15歳の時だった。
初めての高校生活。周りの女の子はみーんな可愛くってね。それに比べて、私はデブで、ブスで、性格も悪い。
到底もてることなんてなかった。
でも、そんな私でも、好きな人だってできるじゃない?
その人の名前は…確か、宮本海だった気がする。
スポーツ万能で、イケメン。だけど頭は悪い人で、こんなブスにも、優しく接してくれるような人だった。
まあ、あまり前だよね。その人には恋人がいたの。
顔は上の上。性格もいいし、スポーツも勉強も出来て、これぞ理想の人物って感じがしたよ。
だから、なんでこの女が?だなんて、思いもしなかったの。だって、そりゃ恋人になれる人だなって思ったんだもの。
でも、私は諦められなかった。
だって、初めての初恋の人だった。私に優しくしてくれる人だった。私を可愛いって言ってくれる人だった。どんな時でも私に寄り添ってくれる人だった。それに、それに!
あーあ、言いたいことが溢れでちゃうよ――。
あの人の恋人になりたい。その一心で、私は可愛くなろうと努力をすることにした。
丁度、明日から三連休だし、3日で可愛くなれるよね?
3日で可愛くなって、みんなにチヤホヤされる!それでめでたしめでたしじゃないの!
あー!なんで、早く始めなかったんだろ。
こうして、軽い気持ちで、可愛くなろうと浮き足をとっていた私を、天から地に突き落とすように私は、部屋すら出れなくなる――。
だって!可愛くならないんだもの!3日、おかわり無し、ジュース、アイス、お菓子という食生活をしていたのに、痩せないし、マッサージを、部活で疲れた日でもちゃんと欠かさずした。なのに!なのに!
1ミリも変わらないじゃないの。なんでなの?私、ずーっと簡単に幸せになれると思って過ごしてきた。
これが間違いだと言いたいの…?あーもう!わかんないよ――。
「お困りのようだね」
ベッドの上で横たわっていると、窓の縁に、黒い鴉が泊まっていた。
「鴉…?てか、言葉喋れるの?」
鴉が言葉を発する。その事実に驚きを隠せなかった。
「お前、生まれ変わりたいか?可愛い可愛い女子に」
「は?いきなり来てどういうこと?てか、遠回しに私の事ブスって言ってるようなものじゃん」
そう言っても、鴉は『生まれ変わりたいか?』そう聞くだけだ。
「…まあ、生まれ変われるならなりたいよ」
「この薬。飲むと、何度でも可愛いおなごに生まれ変われる。何度でもだ。お前が死なない限り、終わることは無い」
そんな怪しくて、甘い話。あるわけが無いだろう。
でもね、私は可愛くなりたい。その一心で、薬を簡単に口に含んだ――。
そしたら、本当に何度でも生まれ変われた。
1度目は、どこかの星の姫で、可愛い女の子だった。けれど、星の民族に妬まれて窓に石を投げられるばかり。
私は、また生まれ変わった。
2度目は、妖精だった。私を愛してくれる彼ができた。それでも、巨人から逃げ回る日々。疲れたんだもの。直ぐに生まれ変わったよ。
こうして、何十回。何百回と生まれ変わった。そんな私にやっと、あう世界が映し出された――。
それは、ただの田舎の高校。顔も可愛くって、みんなからモテた。そんな私が好きになった彼の名前は………。あれ、なんで。思い出せないや。でも、どういう人だったのかは覚えてるの。
クラスは違うからどんな立ち位置にいるかまでは分からないんだけど、優しくて、私を褒めて、慰めてくれる。そんな人だった――。
そしてやっと、高校も卒業 、でも、私が屋上に行くと、彼は何故か、フェンスの外側にいた。
「…くん?何してるの。そんなところに居たら落ちちゃうよ」
私がそう、声をかけても、何も答えずずっと、何メートルも先にある地面を見つめるだけだった。私には、笑っているように見えていた。
「…ねえ、聞いてる?ふざけてるなら、もうやめて。私怒ってるよ?」
危ない状況にいる彼を放っておく彼女がいるものですか!私は、彼の隣に行こうと、フェンスを登り、彼と同じく、フェンスの外側に行く。
すると、ずっと下を見ているだけだった彼は、私の手を引いた。
「…なんで!」
「お前は、選択を間違えたんだ」
何故か、私の彼が、あの時の鴉に見えた――。
屋上から落下していく。
とても早いスピードなのだろうに、ゆっくりと落ちる感覚がする。彼の表情を読もうと、目を開こうとしたが、私は、気を失っていた――。
目が覚めると、私の父と兄の映像が映し出された。
兄は、私の大嫌いな人だった。だって、会う度にブスと吐いてくる。そんな人だった。そんな人がアイドルだなんて笑っちゃうよね。
「お前…雪をそれ以上貶すのはやめろ!雪を見るといつか倒れてしまいそうで心配になる」
「…だって、雪がこれ以上、可愛くなっていくのが嫌なんだよ!だから俺のストレスでお菓子ばっかり食べて太っちゃえばいいのに!って…」
「…はあ。妹が好きなのはわかった。でも、いつか雪もお前と離れる。きっと雪はお前が嫌いだよ」
…どういうこと?本心でブスと言っていたわけじゃないの…?
なによそれ、私、可愛かった…?
いいや違う!妹フィルターがかかってるだけだもん。
「雪ってさー?正味まじ可愛くない?」
「やめろよ…。でも、本当のこと言うと、雪に似てるから今の彼女と付き合ったんだよね」
「はあ?なんで。雪と付き合えばいいじゃんか」
「だって、雪って色々抱え込んでるから、俺が支えてやれるか心配なんだよ…あーもう!何言わすんだよ!」
次に出てきたのは、大好きだった…くん。ごめんね、最後まで名前。思い出せない――。
あーでも、私、愛されてたんだ。
私、どこから間違えてたの?
私、どうしたらいいの?
私、死んじゃったよ。
私、みんなともう会えないよ。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

…あとから知ったの。あの薬を飲んだ時点で私、死んでたみたい。
生まれ変わるのは、夢が切り替わるだけで、私。ずっと寝ていたんだよ。
そして、生きてたら本来、80歳だったみたいなんだ。
こんなおばさん。価値ないよね。ブスだもん。
もし生まれ変われるのなら、櫻井雪として。生まれたいなあ。
うーんでもね、なんで今、こうやって、夢を伝えられているかは分からないんだ。

5/12/2024, 12:54:53 PM

お題〈子供のままで〉

私は、小さい頃は楽しかったのにとか、小さい頃は、勉強なんてしなくて済んだのにとか、小さい頃を幸せに思う人を理解できなかった。
私は小さい頃から、高校一年生のいままで、どの時代も幸せに感じる時がなかったのだ。
年中無休で、地球は回るが、どの角度にいても、1度も幸せだと感じたことがなかった。
そんな私は、将来の夢も思い浮かぶことがなく、ずっとずっと、同じ時をすごしている気分だ。
そう。みんなが言う子供のままでいたいという願いが私には通じているんだ。
だってそうでしょう?みんな子供のままでいたいのでしょう?
ずっとずっと、将来を考えず、同じ時をすごしたいんでしょ?
勉強なんてやらないで、公園で遊び回っていたいんでしょ?
それともなに?ただただ、小学校から高校三年生を、ずーっと繰り返していたいの?
ううん、ごめんなさい。そんなわけないよね。
でもまってよ、みんなは子供のままでいたいってどう思っているの?
ていうか、いつまでが子供なの?
私はまだ高校一年生だから、いつまでが子供か分からないけど、皆は子供というもの自体をなんだと思っているの?
何も考えず、人生を楽しんでいて、将来の夢がある純粋無垢な人?
もしそうだとしたら、私は記憶がある瞬間から子供じゃないよ。
だからね、私は子供のままでいたいだなんて思ったことがないし、自分を、子供か大人か区別した時もなかった――。
そんな私が、いつ、何を楽しめる時が来るのだろうか。
ケーキ屋さんになりたいだとか、警察官、医者、イラストレーター、漫画家、小説家、写真家、看護師、サッカー選手あとは…。
ね、分かるでしょう?将来の夢が見つからないだけじゃなくて、どんなものがあるかすらも分からないの。
大人には、早く将来の夢を見つけろと言われる。
15年間しか生きていない私が将来の夢を見つけられるわけがないじゃんか。
仕事につける年にならないと、夢を見つけるなんて不可能だよ。
でも、仕事につけるとしになった頃、ようやくやりたいことが見つかっても、叶えるなんて無理だと思うんだよね。
もし仮に、25歳を迎えたとする。その時ようやく、アイドルになりたいと思っても、可愛くなる努力も、ダンスを練習する努力も、歌を覚える努力も、そして、若くなる方法なんてない。
だから、大人は今のうちに夢を見つけろと言うんだと思うんだよね――。
うーん、でもさ、この事をみんなは考えてから将来の夢を見つけられてるの?
そうじゃないとしたら、褒めなくちゃいけないと思うの。
将来の夢があるだけで、賞を取れると思う!
大人に何か言われる前に、生きている間でパッと夢が思い浮かぶ。
それはそれは、褒め称えたいことだよ!
もし仮に、夢が叶えられなくても、諦めてもいい!
だって、見つけられてるんだもの!
小さい頃からの夢が大人になった頃の仕事だったら、きっと小さい頃の自分は目を輝かせるよ。
そしてね、将来の夢がない人も、ある人とは違うすごさだと思うんだよね。
きっとない人は、お金の心配で決まらない人、そもそも考えていない人、自分に合うものがない人、沢山の人がいると思うの。
考えていない人は、それほど今に夢中だということだと私は思うし。
この仕事で稼げるのかと心配な人も、上手くいって欲しいと願う人だと思うし。
もっともっと、沢山の人がいると思うけど、みんなみんな褒めることがひとつはあるよ。
だからさ、子供のままでいたいとか思っていいし、なんなら思っていてよ。


あーあ、そんな綺麗事言ったけど。
仕事に縛られるのは嫌になっちゃうよね。
結局、人生お金が全て。
私、そもそも生きてない頃からやり直したい。

これはさ、なんて言えばいいの?
存在して無い頃のままでいたいとかかな――。

フィクション。何言ってんのか分からない小説です。私、読んでてどゆこと?ってなりました。

5/11/2024, 10:54:17 AM

お題〈愛を叫ぶ。〉

吐きそうだ。
僕の目の前にあるのは、彼女の死体。
僕が。
この僕が。
この手で、人を殺めたのだ。
彼女をお風呂場の湯船に沈め、首を絞めた。
彼女は、水の中にいるというのに、それでもやめてと、口を動かしていた。
それだというのに、僕は手を離すことは無かった。
だって、菊がいけないのだ。
僕以外と会うから、話すから、愛想を振りまくから、期待するようなことを言うから。
だから僕は、殺人を繰り返していた。
菊と話したヤツも、菊と浮気をしたヤツも、菊と、菊と…!
みんなみんな、殺したんだ!
でも菊がいけないんだ。話さないでと言ったのに、笑って済ましたし、浮気を叱っても、笑って済ます――。
菊は昔からこうだ。
自分の罪を認めず、誰にでも好かれようとしていた。
完璧を求めすぎなんだよ。
でも、そんな彼女が好きだった。
大好きだった。
愛していた――。
だからだよ。だから、菊を殺した。
皆に愛されようとする菊を、助けるために。
人に縛られる人間を僕は救った。
神から反対されていたとしても、俺は聞く耳を持たなかった。
仕方ないでしょう?
だって。
だって僕は人間に恋をしてしまった天使だもの――。
僕は、菊が零歳の頃から近くで見守ってきた。
クラスの男子に虐められて帰ってきた菊を毎日慰めていたのも、悩み相談を夜に聞いてあげていたのも、怒られた時慰めていたのも、みんなみんな、僕だった。
そうして、菊と関わっていくうち、菊と恋人という関係になれた。
まあ、その瞬間から神からは見放されていたと思うけど。
仕方ないことだ。セミロングの黒髪も、ブラックホールのように黒い大きな目も、調度良い薄さの唇も、全部全部好きになってしまったのだから――。
にしても、僕は馬鹿だ。
天使だというのに、人間を殺した。
そんなの堕天使じゃないか。
どうか、どうかこの最低な天使を殺してくれ――。
でも、そんな願いは届かない。
僕は天使で、他の人間からは見えていない。
だからきっと菊が死んだ理由は、ひとりで溺死したということになる。
僕は、僕は、どう反省すれば良いのだろうか。
神から見放された僕を叱ってくれるヤツなんていやしない。
でもね、菊。
こんな僕にも言えることがある――。
聞くの努力は僕にだけは伝わってたよ。
テストがある三ヶ月前から勉強していたことも、足が遅いと言われて、毎日家の周りを走っていたことも、鏡の前で笑顔の練習をしていたことも、流行りに乗るために、興味も無いSNSをダウンロードしていたことも、全部全部。
だからね、怒っていないのなら、生まれ変わったらまた会いたい――。
そして、僕は見つけた。
前世、僕が愛していた菊を。
今世も、前世と変わらず、人間に縛られているんだね。
だから茶トラ猫に生まれ変わった僕は、菊の制服のスカートを噛み、引っ張る――。
「はぁー?馬鹿猫!可愛いと思ってたのに…」
菊は、僕に向かって暴言を吐いた――。
あーあ、もう!なんだよ。俺、菊の本当の姿を知らなかったよ――。
「…猫ってモンシロチョウ食べるんだ…。なんか、お前みたいでばからしいや。退部届でも出そー」
なんだ。堂々と生きれてるじゃんか。だから僕は菊には伝わらない猫語で言う。
「菊が、楽に生きられてて、僕良かったよ。最低だけど言うね。殺してよかった」
そして僕は、その言葉の後。菊の後ろ姿を見ながら。
「愛してる!」
僕は愛を叫んだ。
これは、小さな猫の体なりの叫びで、愛の叫びに種類も、大きさも、形も何も無いのだ。

フィクション。(小説初心者)前回のモンシロチョウと繋げてみました!

5/10/2024, 10:36:06 AM

お題〈モンシロチョウ〉

可愛くない。
可愛くない太陽の日差しが私を殺す。
朝、学校へ行くため、自転車をこぐが、どうにもいけ好かない。
あーあ、学校なんて燃えて、無くなっちゃえばいいのに!――。
田んぼに落ちた。
丁度、水張りが始まった頃だったのに。
もう!せっかくの制服が泥でびちょびちょ。
でも、こうなったのは、あの三毛猫のせいだ。
三毛猫と言っても、本当は白い猫で、その白い猫は、バス停の屋根の下でお昼寝をしていたんだ。
白い綺麗な毛には、所々に茶色い泥が付いていて、それがどうにも三毛猫に見えたのだ。
それはそれは、私の理想とする可愛いだったから、つい見とれていた。
ほんと、まるで死神みたいね。
じっと自らの意思で見ていた訳でもないのに、いつの間にか見とれていたんだ。
私は、田んぼに落ちて座ったまま、死神を見て
「あーあ、私はああいう人になりたいのに。きっとあの死神様は、みんなに好かれてるんだろうなあ」
独り言を呟いた。
そうだ。きっとあの死神様は、みんなに好かれていて、大人しい子なんだろうなあ。と思った――。
嗚呼もう!そんなこと考えている場合じゃないのに!
早く、自転車を起こさないと、そう思ったのにまた私を不細工にする――。
だって、サドルに泥が着いていたんだもの。さっそくサドルに足をまたごうとしたのに、このザマです!もう帰ろうかな――。
にゃー、にゃー。
私の元へ顔をスリスリしてきた猫は、死神様じゃなかった。
茶色い毛の色をした、茶トラ猫だ。
確か、人懐っこい猫のイメージは茶トラ猫だったなあ。
「ふふ、猫ちゃんどうしたの?ごめんねー、私早く行かないと遅刻しちゃうよ」
「にゃー、にゃー」
次は、私の手を舐めた。
私の味方は茶トラ猫。貴方だけだよ――。
「あ、もう八時半…。ホームルーム始まっちゃってるよ…。猫ちゃん、もう行くね 」
私が、自転車を起こし、サドルを拭いたあと、サドルを足で跨ごうとした。その時。
「にゃー!にゃー!」
私のスカートを噛み、私を引っ張る――。
ガシャンッ
自転車のハンドルを掴んでいた私は、体制を崩し、自転車を倒した。
「はぁー?もう!最悪じゃん!」
田んぼと田んぼの間の一本道のど真ん中で、私は叫ぶ。
だって!このバカ猫が、自転車を倒したんだもの!倒したのは私だけど、こうしたのはこのバカ猫でしょ?
あーもう!最悪。ちょっとは可愛いなあって思ってたのに。
もういい。こんなバカ猫いらないよ。さっきの死神様でも見て、心を落ち着かせ…――。
ムシャムシャ
モンシロチョウを食べていた。
咀嚼音がはっきり聞こえた。
猫が蝶を食べる…?そんなの見た事ないよ。
私は、見慣れない光景に驚き、スマホを開き、検索を掛けた。
――猫 モンシロチョウ 食べる
調べてみると、食べる猫もいるらしいが、あまり体に良くない。
でも、私の驚きは、グロいーとか、珍しいーとか、そんな簡単なものではなくて。
あんなに可愛い猫が、醜怪な行動を取るということに驚いた。
うーん、でもよくよく考えてみれば、みんなから好かれている子も、皆が可笑しいと思う行動をとることもあるし、さっきの死神様を思い出したけど、ずっと寝ていたのはモンシロチョウを呼び出すためかもしれなくて、ずる賢いところもある…。
まあ、私が言いたいのは要するに、ずる賢い子は、この汚い世界で上手く生きていけるってこと!ルールに縛られて、嫌〜な大人にしたがってばっかな必要は無いの。
そんなこといったって、簡単に休めるわけもないけど、でもね、私は休む、サボるよ?
なんかこんなこと考えてて、馬鹿らしいや。
あんな先輩の居る部活も、退部届出さないとね、あ、それに、今日はダイエット中だけどアイスも買っちゃうんだから!
ありがとう、茶トラ猫。
ありがとう、死神様。
ありがとう、モンシロチョウ。

フィクションです。(小説 初心者)

5/9/2024, 1:26:51 PM

彼の匂い。
彼の声。
彼の顔
彼の仕草
彼の優しいところ。
全部、全部、私は覚えている。
忘れられないんだよ。いつまでもね。
それなのに、
そうだというのに、
彼は、私の事はひとつも覚えていない。
あの日から丁度十年経つというのに、私は忘れられない。
忘れたくないのだ。
だって、私達、まだやって行ける気がしているんだもの。
あんな別れ方なんて酷いよ。
私、まだ認めてないんだからね。
私を裏切ったことも。
私を嫌ったことも。
私は、あなたのためを思ってしたんだよ?
貴方が言ったんでしょ?
『君を愛せる自信がないんだ。俺は、君といると気が狂うんだ』ってね。
忘れたなんて言わないよね?言わせないからね?
だからだよ、分かるよね。私があなたの不安を無くすためにやったことだってことを。
だから、だから、私はあなたの役に立ったのだから、貴方もそのお返しをしてよ。
私が幸せになれるお返しを。
あれ、何も言わないけど、思いつかないの?じゃあ、私が望むものを教えてあげるよ。
私は、貴方とまた話したいよ。
私、あなたを殺してしまったことを後悔している。つい、歓喜余ってしたことなんだよ。
ただ、貴方と暖かい家庭を築いて、生涯を終えたいんだと、説得したかっただけなの。
なのに、貴方が、あなたの都合で別れたいだなんて言うから。
だから殺したの。
ねえ、分かったよね?
死んでも私から逃げられないよ。
私は、貴方を追って死なないし、1人で最後まで生きるよ。
でもね、あなたを忘れない。あなたの好きなものも全部、メモしたんだからね。
1日経てば忘れちゃうけど、メモを見れば思い出せるもの。
私の愛は、これだけだったんだよ。

フィクション(小説、初心者です)

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