浜辺 渚

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3/21/2025, 3:22:10 PM

当時、僕は野鳥観察に熱心だった。直子とのデートでも、自然公園に行っては、よく一人で野鳥観察に夢中になっていた。

「鳥のどこがそんなにいいのかしら」
「鳥が良いと言うよりは、バードウオッチングという行為に惹かれているんだよ。手に届かないものを必死に追いかけ回すって所が気に入っている」
「そう?なんでもいいんだけど、今はデートの最中で、私はあなたの彼女であるということは忘れないでね」
「もちろん」

その日の暮れには、近くの川に行き、山に沈む太陽を2人で眺めていた。紙芝居の夕暮れのように、それはハッキリとした輪郭を持っていた。陽光を浴びた彼女の顔はそこはかとない侘しさを秘めていた。

3/20/2025, 1:44:47 PM

君と手を繋いだ事を思い出した。君の干からびたフランスパンのような感触の手は、当時の私にとっては何よりも心強かった。決して、裕福とは言えない暮らしだったけど、その欠落はむしろ僕たちを十分に満たしてくれていた。それは、あえて白黒の下書きで描き切るのを辞めた現代アートのようだった。

3/19/2025, 3:22:22 PM

私は今自分の足がどこに接地しているのかが分からないんです。地面に着いてるような気もすれば、遥か高い雲の上に着いている気もする。薄志弱行の私には次の1歩を踏み出す勇気が無いため、今の自分の立ち位置が分からないままなんです。あなたは私のことを甲斐性がないと叱咤しましたが、全くその通りだと思います。私は窮鼠のように噛むことも出来なければ、狐のように誰かの威を借りる高慢さすら持ち合わせていないのです。虚心坦懐を志しても、行き着く先は頑迷固陋の優柔不断。あぁ、もう私はダメなんです。

3/18/2025, 4:23:21 PM

空が大好きだ。どれだけ荘厳な山々を見ても、秀逸な絵画を眺めても、空には叶わない。空を見ていると、今自分が立っている地に畏怖を与えてくれるし、それは同時に憧れをも感じさせる。

3/17/2025, 3:13:21 PM

もう少し前頭葉の発達が早ければ、僕は自分の望むような生き方っていうのを送れていたかもしれない。もう少し海馬が大きければ、僕は同じことを何度も覚え直すような無駄な時間を送らずに済んでいたのかもしれない。別に人格とか気質って言うのは、そこまで気に入っていない訳では無い。しかし、やはり頭の悪さというのは嫌でも自覚してしまうもので、それは種々の認知を当てはめても肯定できる類のものでは無い。どこまで言っても、先天的な頭の悪さは人生の足枷になる。

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