頑張って生きる一般人さん。

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8/15/2023, 6:56:14 AM

見たことのない景色を目指して、

今日もひたすら漕ぎ続ける。

私の相棒の自転車と一緒に。

上り坂、下り坂、でこぼこ道。

定期的なメンテナンス。

空気を入れてあげるのも忘れずにね。

絶好の晴れの日。

――さて、今日も行こうか。

〜自転車に乗って〜

8/14/2023, 4:33:15 AM

『この薬があれば、どんな症状にも効く!!』

なんて、売り込みチラシに書いてあったから、試しに買ってみた。

風邪はもちろん、打撲や骨折、さらには精神的な心の病にだって効くらしい。

評価は花丸。

会社の同僚も、「これめっちゃオススメ!この薬さえあれば、あと他には何にもいらないよ!!」だって、

正直なところ、不安でしかない。

かなり高額な値段だったし……

小さな小瓶を揺らしてみると、タプンと毒々しい紫の液体が揺れ動く。

……やっぱり飲むの、やめようかな。

でも、今は絶不調期。

理由は言わないけど、多大なストレスでもうぶっ倒れそう。

ね、そこの貴方。

この薬、飲んだ方がいいと思う?

〜心の健康〜

8/13/2023, 7:37:27 AM

放課後。

蝉が鳴く真夏。

今となっては使われていない音楽室で、

君はピアノを演奏する。

曲名は無名。

そう、勝手に僕は名付けている。

聞いたことが無い旋律が、僕の耳に届く。

腰くらいまである、長い黒色の髪を揺らして、

君は激しく、かつ、美しく音色を奏でる。

話したことなんて一度もない、そもそも違うクラスだし。

でも、彼女の音楽はとても好きだ。

なんだか、音が生きているような気がするから。

〜君の奏でる音楽〜

8/11/2023, 9:12:54 PM

ふわり、と僕のもとへ飛んできたのは、ひとつの麦わら帽子。

真っ赤なリボンはくたびれて、所々網目がもつれている。

どこからやって来たのか。

ひまわり畑の中心で考える。

すると、どこからか幼い女の子の声が。

「おにーさん!そのぼうし、ちょうだい?」

いつの間にか、目の前には小さな女の子がいた。

ひまわりをそのまま擬人化したような、元気いっぱいで明るい子だった。

僕は、その子に手渡しすると、女の子はキラキラ眩しい笑顔で、感謝の気持ちを伝えてくれた。

「ありがとう!」

久しぶりに聞いたその言葉に、僕は微笑みを返して言った。

「どういたしまして」

〜麦わら帽子〜

8/10/2023, 9:35:59 PM

空が、紺色のペンキを塗りたくったようになった頃。

私は貴方に別れを告げる。

星なんて一つも見えない。

お別れだって言うのに、貴方の視線はスマホに注がれている。

私は、今日という日の最後の最後まで、貴方のことしか考えていなかったのに。

ずっと見つめていたのに。

貴方は見てくれないのね。

最後の一本の電車がやって来た。

「じゃあね」

「おう」

それだけの会話。

私は今日も自分の家へと帰る。

コツン、とヒールの音を響かせて、つり革を掴む。

その時ですら、ちらりとも見ずに、貴方は帰った。

寂しいのに。

貴方はなんとも思っていないのね。

〜終点〜

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