頑張って生きる一般人さん。

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8/13/2023, 7:37:27 AM

放課後。

蝉が鳴く真夏。

今となっては使われていない音楽室で、

君はピアノを演奏する。

曲名は無名。

そう、勝手に僕は名付けている。

聞いたことが無い旋律が、僕の耳に届く。

腰くらいまである、長い黒色の髪を揺らして、

君は激しく、かつ、美しく音色を奏でる。

話したことなんて一度もない、そもそも違うクラスだし。

でも、彼女の音楽はとても好きだ。

なんだか、音が生きているような気がするから。

〜君の奏でる音楽〜

8/11/2023, 9:12:54 PM

ふわり、と僕のもとへ飛んできたのは、ひとつの麦わら帽子。

真っ赤なリボンはくたびれて、所々網目がもつれている。

どこからやって来たのか。

ひまわり畑の中心で考える。

すると、どこからか幼い女の子の声が。

「おにーさん!そのぼうし、ちょうだい?」

いつの間にか、目の前には小さな女の子がいた。

ひまわりをそのまま擬人化したような、元気いっぱいで明るい子だった。

僕は、その子に手渡しすると、女の子はキラキラ眩しい笑顔で、感謝の気持ちを伝えてくれた。

「ありがとう!」

久しぶりに聞いたその言葉に、僕は微笑みを返して言った。

「どういたしまして」

〜麦わら帽子〜

8/10/2023, 9:35:59 PM

空が、紺色のペンキを塗りたくったようになった頃。

私は貴方に別れを告げる。

星なんて一つも見えない。

お別れだって言うのに、貴方の視線はスマホに注がれている。

私は、今日という日の最後の最後まで、貴方のことしか考えていなかったのに。

ずっと見つめていたのに。

貴方は見てくれないのね。

最後の一本の電車がやって来た。

「じゃあね」

「おう」

それだけの会話。

私は今日も自分の家へと帰る。

コツン、とヒールの音を響かせて、つり革を掴む。

その時ですら、ちらりとも見ずに、貴方は帰った。

寂しいのに。

貴方はなんとも思っていないのね。

〜終点〜

8/9/2023, 3:13:05 PM

今日が上手くいかなくたっていい。

明日はきっと上手くいくから。

ありきたりな言葉かもしれない。

だけど、この言葉で救われた人がどれほどいることか。

〜上手くいかなくたっていい〜

8/8/2023, 10:14:52 PM

いつかの話。

生まれながらにして、片目が金色の瞳をした女の子がいた。

その子は『珍しい』という、たった一言の理由で蝶よ花よと大切に育てられてきた。

だが、成長するにつれて、瞳は金から黒へと変わる。

その瞬間から、人々は途端に彼女へ興味を示さなくなった。

『普通の人間と変わらないから』って。

〜蝶よ花よ〜

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