やるせない気持ちはどこヘやることも出来ないからもどかしい。
誰かに話しにくい、誰にも理解してもらえなさそう、話しても迷惑になりそう。
そんなときは心の中で鶴を折る。
もう何羽になったか分からないけど、いつか千羽鶴になる気がする。
やるせなさから生まれた千羽鶴、なんて悲しすぎるから実際にはやらないけど。
心の中にそっと浮かべて空に放つ。
そして
「このやるせなさが回り回って自分の幸せに繋がっていますように」と祈る。
風が吹けば桶屋が儲かる方式で。
今日もやるせなさを感じていたから、きっとそれが巡り巡って未来の私の幸せになるんだ。
そうやって、自分なりの折り合いをつけるのです。
生まれ変わったら海鳥になりたい。
たまに人に言ってること。
鳥のように大空を自由に羽ばたきたい。
魚のように海を自由に泳ぎたい。
そんな願いは、海鳥なら叶えられる気がする。
潮風になびかれて、たまにバランスを崩しながら
海に向かって羽を広げるの。
お腹が空いたら海に潜って獲物を探す。
疲れたら海と川の間らへんをのんびり泳いだり
街灯の上に乗っかってぼーっとするんだ。
現実はもっと生きるのに必死なのだろうけど、
それでも海鳥みたいになれたら。
人間にちょっと疲れたとき、思い出す。
さよならを言う前に
帰りの会が終わって、当時初めてできた親友と下校する。
その友人は学校傍のマンションに住んでいたから、一緒に帰れるのはほんの一瞬。
寂しいけれど、好きな瞬間でもあった。
「いまは16時だから、17、18、19、20 …」
そういって指を折りながら時間を数え出す彼女。
「また16時間後ね!」
その健気さが愛らしくて、大好きだった。
さよならをしても、当たり前のように明日会えると信じて疑わなかったあの頃。
寂しくて、愛おしい瞬間だった。
僕に向きあってくれるとき
皆髪の毛を触ったり、顔になにかを乗せたり、
様々な布を纏っては変えたり、忙しそう。
でも人間が自分自身に細工を加えた後、僕を見て何故か笑顔になる人が居るんだ。
そのときはなんだか役に立てたような気がして
誇らしくなるよ。
たまに僕を見て泣いている人もいるよ。
僕は何か悪いことをしたかな。
ごめんねって思いつつ、気持ちを吐き出すきっかけになってたらいいと思うよ。
毎日皆の行動を不思議に思いながら、
たまに嬉しくなったり悲しくなったりしているよ。
僕は役に立てているかな。
分からないけど、僕はあいも変わらずここに居るよ。
いつまでも捨てられないのは20歳のときに成人祝いで買ってもらったCOACHのお財布。
水色の長財布で、特に柄もなくシンプルなデザイン。
そのシンプルさが大人びて見えたのと、
水色の落ち着きのある色味が
「私もこんな落ち着きのある大人になりたい」
と思わせてくれたのが理由で、
選んだのだった。
使い始めて4年半が経つ。
お財布の平均的な使用年数を考えると、そろそろ変えたい。
キャッシュレスの時代に合わせて、コンパクトな財布がいい。
でも見た目は綺麗なままだし、
何より水色がやっと似合い始めた気がする。
背伸びして使っていたお財布が、手に馴染んで見える気がする。
だからもう少しだけそばに居て欲しい。
馴染んだ期間を満喫して、お財布もクタッとなった頃、
もっと大人びた私を想像して新しいものに出会いたい。