さよならを言う前に
帰りの会が終わって、当時初めてできた親友と下校する。
その友人は学校傍のマンションに住んでいたから、一緒に帰れるのはほんの一瞬。
寂しいけれど、好きな瞬間でもあった。
「いまは16時だから、17、18、19、20 …」
そういって指を折りながら時間を数え出す彼女。
「また16時間後ね!」
その健気さが愛らしくて、大好きだった。
さよならをしても、当たり前のように明日会えると信じて疑わなかったあの頃。
寂しくて、愛おしい瞬間だった。
8/20/2023, 12:45:36 PM