たーくん。

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3/29/2026, 10:10:46 PM

今にも雨が降りそうな厚い雲が支配された空。
……なんとか、鬼ヶ島から逃げることが出来た。
まさかお供で一緒だった犬、猿、雉が僕を置いて逃げるなんて……。
一緒に戦うって約束じゃなかったのか?
おかげで僕は鬼達に殺されかけた。
『あなた方は鬼達を倒し、ハッピーエンドになります』
鬼ヶ島へ向かう途中で寄った町の占い師にそう言われていたのに、これじゃ真逆だ。
文句を言いに再び町へ行き、占い師の元へ向かう。
占い師は僕の顔を見ると、真っ青な顔をして震える。
「ああ……なんてこと……。何者かがこのお話を改変している……もう終わりだ……」
そう言うと、占い師は慌てて去っていった。
意味が分からず、僕は去っていく占い師の後ろ姿を見ることしか出来ない。
……帰ろう。お婆さんとお爺さんの元へ。
鬼達をこらしめると意気込んで家を出たのに、逃げ帰ることになろうとは。

家へ向かう途中、道に大きな足跡がいくつもあった。
嫌な予感がし、急いで家へ向かって走る。
「……え」
家を見て、唖然とする。
家は潰されていて、近くにお婆さんとお爺さんが血だらけで倒れていた。
呼びかけても反応はなく、息をしていない。
おそらく、鬼達の仕業だろう。
お婆さんとお爺さんを殺すなんて……。
許さない……許されるものか……絶対に……!
これも全て、逃げていった犬、猿、雉のせいだ。
まずは、あいつらを始末やろう。
フフフ……どうやって始末してやろうかな。
じっくり苦しめながら始末してやるか。
腰に付けていた鞘を強く握る。
ぽた……ぽたぽた……。
空の厚い雲から雨が降ってきた。
鞘から刀を抜き、再び来た道を駆けていく。
僕はいつの間にか、復讐の鬼となっていた。

3/28/2026, 11:34:17 PM

吸い込まれそうになるほどの大きくて綺麗な彼女の瞳。
今日は彼女が俺の家に遊びに来ていて、しばらく喋っていたが、間が空いた時に彼女は俺のことをじーっと見つめてきた。
見つめられると、俺も見つめたくなる。
二人で見つめ合ってから、結構な時間が経つ。
この見つめ合いは、いつまで続くのだろう?
ずっと……この時間が続けばいいのに。
「ふふっ、ニヤけてるよ」
先に口を開いたのは彼女だった。
どうやら、俺はいつの間にか口角が上がっていたらしい。
「そっちもニヤけてるじゃないか」
「あなたがニヤけるからだよ」
なんだか笑えてきて、思わず笑ってしまう。
彼女も、俺と一緒に笑っていた。
こうして彼女と同じ時間を過ごすのは、幸せだ。
この時間がいつまでも続くように、俺は彼女のことを幸せにしてあげたいと改めて思った。

3/27/2026, 11:19:26 PM

私と愛するダーリンしかいない、静かな山小屋。
「ダーリン!あなたを愛する私のハートを見て!」
私のハートを、ダーリンに見せつける。
ダーリンは少し困った表情をしながら、顔を背けた。
「分かったから心臓を取り出して見せないでくれ!」
「もうダーリンったら照れちゃって可愛いんだから♪」
私は胸から取り出したハートを押し込んで元に戻す。
「全く……俺も運がないよな。まさかゾンビ女に好かれるなんてさ」
ダーリンは座り込んで、私を見ながら言った。
「ダーリンから私にナンパしてきたんだよ?」
「まさかゾンビ女とは思わないだろ!まぁ、俺もちゃんと確認しなかったのが悪いけどさ。それに、こうして安全な場所に案内してくれたことには感謝している」
今、街ではゾンビで溢れかえっている。
化学製品を作っている工場から薬品が漏れ流れ、人と相性がよくなかったのか、肌が垂れてゾンビのような姿になってしまった。
私も、被害者の一人だ。
でも、今はダーリンと一緒だからゾンビになってよかったと少し思っている。
「はあ……これからどうなるだろう。俺達」
ダーリンは溜め息をつき、屋根を見上げながら言った。
「え?私と結婚するために海外へ逃げるんじゃないの?」
「ゾンビが飛行機に乗れるわけないだろ」
「そっか……残念」
「……まぁ、こうなったからには、お前と一緒にいるつもりだ。ゾンビが仲間だと色々と助かるからな」
「ダーリン……!私、すごく嬉しい!」
私はダーリンの胸元へ飛び込み、首に顔を擦り付ける。
「おい!バカ!お前擦り付ける……な……ヴァー」
私のゾンビ菌が移ったのか、ダーリンの肌が垂れ、ゾンビになってしまった。
「ダーリン!ごめんなさい!でも私……幸せ!」
ダーリンも私と同じゾンビになってくれて、すごく嬉しい。
「ヴァー」
ダーリンは首を横に振る。
きっと、ゾンビになったから不安になっているのだろう。
「大丈夫だよダーリン。私が傍にいるから」
「ヴァー」
不安がっているダーリンを優しく抱き締める。
ダーリンは照れているのか、私の頭を何度も叩いてきたけど痛みを感じない。
だって私……幸せだから!
「ヴァー……」
ダーリンも喜ぶかのように、屋根を見上げながら涙を流していた。

3/26/2026, 10:08:00 PM

街を歩いている沢山の人間達。
オレには身体は無く、心しか持っていないから歩いてみたい。
人間達に手を伸ばそうとしたが、手が無いことを忘れていた。
人間達の目の前に立っても、すり抜けてしまう。
実体があっていいなぁ……。
オレも欲しい、欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい!!!
だが、どんなに欲しがっても一生手に入ることはない。
歩いている人間達を、オレは見ていることしか出来なかった。

3/25/2026, 10:04:51 PM

始まりは、私が一人ぼっちになった時だったと思う。
親を早くに亡くし、頼りにしていたおばさんは私を邪魔者扱いして家から追い出され、友達にも裏切られた。
居場所がなくなり、追い詰められた私がとった行動は……。
街を歩いているお金を持ってそうな男性に声を掛け、ホテルへ誘い、肌を重ねてお金を貰う。
もう、これしかなかった。
好きじゃないのに愛し合うのは、最初は抵抗があったけど、一度二度してしまえば抵抗がなくなる。
お金が貰えるし、寂しさもなくなるから一石二鳥だ。
……一体私は、いつまでこんな生活をするのだろう?
たとえ好きな人が出来ても、私の身体と心は汚れてしまっているから、誰かを愛す資格なんてない。
誰か……醜い私を救って……。

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