スマホ画面に映し出された心天気予報。
生年月日で登録しておくと、自分の心の天気が見れるのだ。
どれどれ、今日の天気は……。
"晴れ、ところにより雨"
雨……。
今日は同じクラスの吉田さんに告白するのに、これじゃ告白する前にフラレたみたいじゃないか。
いや、あくまで予報だし、外れることもある。
前向きにいこうぜ、俺。
頬を叩いて気合いを入れ、学校へ向かった。
特に問題は起きず、全ての授業が終わり、放課後を迎える。
ここからが本番だ。
吉田さんが教室から出たのを確認して、追いかける。
吉田さんは一人で廊下を歩いていた。
よし……今しかない。
「吉田さ――」
声をかけようとした瞬間、吉田さんの元に一人の男子が近づく。
「学校内はダメだって言ったのにー」
「いいじゃん。皆に見せつけてやろうぜ」
「もう……早く帰ろっ」
吉田さんと男子は、並んで校舎を出た。
……なんで跡をつけているんだ?俺は。
「あっ、雨降ってる……私、傘忘れちゃった」
「俺の傘に入りなよ。家まで送るから」
「じゃあ……お言葉に甘えて」
吉田さんと男子は相合傘をして、楽しそうに話しながら歩いていった。
……俺も傘を持ってきていない。
吉田さんに彼氏がいるの知らなかったし、普通の天気予報を見るのを忘れてしまった。
心の天気予報は、ところにより雨と予報していたが、これじゃ雨と雨が重なって大雨じゃないか。
「くそー!天気のバカやろう!」
俺は心の天気と空の天気に文句を言いながら、走って家に帰った。
大勢のファン達がズラッと並ぶ推しのライブ会場。
推しとの出会いは、二年前。
ライブ配信サイトで、おすすめに出てきた配信を見にいったらハマってしまった。
そして現在、推しのライブが開催されたら会場へ足を運んでいる。
今までは家に引きこもり気味だったけど、推しのおかげで外へ出るようになったし、おしゃれをするようにもなって、友達も出来た。
推し活って、こんなにも楽しいことだったとは。
「皆ー!今日は来てくれてありがとう!沢山盛り上がろうねー!」
推しがステージ上から皆に向かって手を振る。
俺にとって、推しは特別な存在なのだ。
周りにいるファン達の声援に負けないよう、俺も大きい声で推しに向かって声援を送った。
カップルで溢れる夕方の公園。
どのカップルも手を繋いでいて、楽しそうに歩いている。
……バカみたい。
一体何がそんなに楽しいのだろう?
まぁ、彼氏や男性の友達すらいない私には分かるはずもなかった。
カップルを見たくないと思いながらも、近道でこの公園を通って、ついつい見てしまう私もバカみたい。
カップルを後ろ目に、早歩きで公園の出口へ向かう。
出口近くで、ピンク色の花びらが落ちてきた。
足を止め、上を見上げる。
桜の木が、私を励ますかのようにゆらゆらと揺れながら花びらを降らせていた。
温かい太陽の光が降り注ぐ公園内。
大好きな彼氏とベンチに座り、お喋りしたり、来る途中で買ったサンドイッチを食べたり、幸せな時間を過ごす。
この場所は人が少ないから、私達のお気に入りの場所なのだ。
「実は言っておきたいことがあってさ」
彼氏は真剣な表情をして、私に言った。
なんだろう?もしかして……結婚の話!?
わくわくしながら、彼氏の話を聞く。
「俺、好きな人が出来たから別れてほしいんだ」
……え。
太陽の光は、いつの間にか雲に遮られていた。
突然のことで、頭の中がパニックになる。
私は二人ぼっちから、一人ぼっちになってしまった。
ピンク色の煙が漂う、やらしい空間。
ここは俺の欲望だけしかない夢の中だ。
目の前に、可愛い女性達と巨乳の女性達が沢山いる。
ここが……天国か。
へっへっへっ……早速お触りといこうじゃないの。
両手を女性達に向けて、やらしい動きをする。
「まもなく醒める時間です。悔いがないよう過ごしてください」
夢アナウンスが突然流れる。
おい!まだ数分しか経ってないぞ!早すぎないか!
……そういえば、この夢は五分しかもたないと言っていた気がする。
夢から醒める前に触らないと!
ダッシュで女性達の元へ走るが、次々と女性達が消えていく。
「時間です。お疲れ様でした」
「そ、そんなあああ!!」
夢の続きを見たいと店員に言うと、同じ夢の追加料金は五倍掛かるらしく、うがー!と頭を抱えた。