ピンク色の煙が漂う、やらしい空間。
ここは俺の欲望だけしかない夢の中だ。
目の前に、可愛い女性達と巨乳の女性達が沢山いる。
ここが……天国か。
へっへっへっ……早速お触りといこうじゃないの。
両手を女性達に向けて、やらしい動きをする。
「まもなく醒める時間です。悔いがないよう過ごしてください」
夢アナウンスが突然流れる。
おい!まだ数分しか経ってないぞ!早すぎないか!
……そういえば、この夢は五分しかもたないと言っていた気がする。
夢から醒める前に触らないと!
ダッシュで女性達の元へ走るが、次々と女性達が消えていく。
「時間です。お疲れ様でした」
「そ、そんなあああ!!」
夢の続きを見たいと店員に言うと、同じ夢の追加料金は五倍掛かるらしく、うがー!と頭を抱えた。
朝から部屋に響き渡る胸の高鳴り。
ワタシの胸に搭載されている目覚まし機能で、毎朝ご主人を起こしている。
二年前に、ワタシはご主人のお世話ロボットとして、この家へ来た。
ご主人は優しい人で、ワタシを気遣ってくれたり、新しい服を買ってくれる。
今度の週末は、二人で出掛ける約束をしているからすごく楽しみだ。
「んー……」
布団の中で丸くなって唸るご主人。
その姿が、可愛い。
見ているだけで、目覚まし音が高くなっていく。
もしかしたら、ワタシはご主人にときめいているのかもしれない。
ご主人とワタシが結ばれる未来なんて、あるのだろうか?
そうなったら……もっと毎日楽しいだろうなぁ……。
目覚まし音は高くなり続け、最後にはポンッと胸が弾けてしまう。
どうやら、目覚まし機能が故障してしまったらしい。
「ご主人起きて下さい。朝ですよ」
ワタシは両手でご主人を揺らして起こすことにした。
「んー……ふあ〜〜〜……おはよ……」
ご主人は少し目を開けて、ワタシに挨拶をする。
「おはようございます。ご主人」
ワタシは壊れた胸の目覚まし機能を隠しながら、ご主人に笑顔で朝の挨拶をした。
真面目に生きていても、損することが多々ある。
一生懸命頑張って働いたのに、あまり頑張ってない人と同じ収入だったり。
うるさくて、人の悪口ばかり言ってる人のほうが友達が多かったり。
学生時代にヤンチャだった人が社長になってたり。
……どうしてこんなにも差が出るのだろうと、疑問に思ってしまう。
自分は影として生きているのが妥当なのかもしれない。
「君は真面目で、きちんとしていて偉いよ」
でも、褒めてくれる人が稀にいて、褒め言葉が心に染み渡っていく。
自分を見てくれてる人は、必ずどこかにいる。
私、泣かないよ。
今には溢れ出そうな涙を、太ももをつねって引っ込めた。
だって辛いのは、お母さんの方だから……。
病院で検査してもらうと、重い病気であることが分かり、余命宣告を受けたお母さん。
聞いた時はすごいショックだったけど、お母さんの方が私よりショックだと思う。
安心してお母さん、私が傍で支えるから。
静かで、空気が重い火葬場。
お母さんは、余命宣告を受けてから二ヶ月で亡くなった。
あまりにも……急過ぎる。
弱っていくお母さんを見るのはすごく辛かったけど、私は泣かなかった。
最後のお別れで、棺桶の中に眠るお母さんに手を合わせる。
横にいたお父さんが、私の肩にポンッと手を置いた。
「お母さんのことを想うなら、泣いてあげなさい。強がる姿が最後だと、お母さんは心配して天国へいけないよ」
お父さんの言葉を聞いて、お母さんとの思い出が次々と頭の中で浮かぶ。
溜め込んでいたものが一気に溢れ、お母さんの前で思いっ切り泣いた。
薄暗くて、ひんやりとしているお化け屋敷。
今日は彼女とデートで遊園地に来ている。
怖いのは苦手だが、俺は彼女に男らしい所を見せるため、お化け屋敷に入ろうと誘ったのだ。
「なにガタガタ震えてるの?早く行こうよ」
……彼女は、怖い系が平気らしい。
俺が怖がっててどうする。男らしく堂々としてやるぞ!
覚悟を決め、お化け屋敷の奥へ進む。
「キィヤアアアアア!!!」
数分後、俺は女性みたいな高い声で叫んでしまった。