不安になるほど静かな、何も見えない暗闇。
突然パッとスポットライトのように光が差し、そこには木製の椅子が置かれていた。
椅子の元へ行き、ゆっくり座り、自分に問いかける。
今の自分に満足しているのか?
「……いや」
このままでいいのか?
「……よくない」
じゃあ、なにか行動起こさないか?
「……恐くて行動を起こせない」
今の自分に満足していないんだろ?
「……ああ」
だったら──。
終わらない問いに、だんだん息苦しくなってくる。
分かってても、行動を起こせない自分が情けない。
すぐに行動に移せる人が眩しくて……自分はそれを暗闇の中で見ているだけ。
ああ……この暗闇から出て、光を浴びたい。
今の自分に満足しているのか?
また、同じ問いが飛んできた。
問いが聞こえないように耳を塞ぐ。
結局こうやって、聞こえないふりをして現実から逃げている。
もっと行動しやすい現実ならよかったのにと、心の底から思った。
さっきまで浮かんでいた雲がどこかへ行き、爽快になった青空。
散歩をしている途中、空から何かが落ちてきた。
ゆっくりゆらゆらと……それは手のひらに落ちる。
小さくて青い羽根。
見上げると、電柱に青い鳥がいて、つぶらな瞳で空を見ていた。
青空と青い鳥が重なり、真っ青。
今日は何かいいことが起きそうな予感がする。
「あっ、橘君。こんな所で奇遇だね。あれ?なにその青い羽根」
視線を下ろすと、同じクラスの寺田さんが、俺の手のひらに乗っている青い羽根を見ていた。
寺田さんは明るくて可愛くて、俺が好意を寄せている女子だ。
「この羽根はあの青い鳥が……」
再び見上げると、青い鳥はその場からいなくなっていた。
「ねーねー、羽根見せてくれる?」
「ああ、いいよ」
いつもより寺田さんが近い距離にいる。
寺田さんからいい匂いがして、今にも口から心臓が飛び出そうだ。
まさかこんな形で、寺田さんと二人きりで話すことになるとは……。
もしかしたら、あの青い鳥は幸せを運んできてくれたのかもしれない。
少し離れた所で、青空に混じりながら飛んでいる青い鳥が見えた。
心の奥にひっそりと置かれている秘密の箱。
誰にも開けられないように、しっかりと鍵をかけている。
家族にも、好きな人にも言えない秘密。
誰にも言えない秘密の一つや二つは、皆あると思う。
死ぬまで、決して開くことはない。
まぁ、死んだらもう開けられないけど。
……秘密の箱をずっと持ちながら、生きていくのが辛い人もいると思う。
でも、大丈夫。
案外、どうにかなるもんだ。
本当に辛い時は、誰もいない静かな場所で、大声で叫ぶといい。
そうすれば、すっきりするから。
それでもダメなら、現実から逃げて遠い所へ行くといい。
あまり遠すぎる所へ行くと、私みたいに迷子になっちゃうから気をつけてね。
秘密の箱を持っていることは恥じゃない。
生きた証として、ずっしり堂々と持っていよう。
無人島に行くならば、やっぱりスマホを持っていくだろう。
情報収集出来るし、いざとなれば助けを呼べる。
え?無人島には電波がないって?
大丈夫、Wi-Fiを持っていけば繋がるさ!
え?持っていける物は一つだけ?
そんなこと言わずにさ……ね?
え?それじゃ企画倒れだって?
君、数字だけを見ずに、タレントである僕をちゃんと見なさい。
え?この話はなかったことにだって?
ははは、冗談だよぉ君ぃ~。
お願いだから、僕を使ってくれよぉ~頼むよぉ……。
カラッと晴れた、高い空。
この前まで暑かったのに、一気に寒くなった。
冷たい秋風が、身体を冷やしに来る。
日中は暑くなると思って半袖で外へ出たけど……間違いだったかもしれない。
衣替えのタイミングが、年々分からなくなる。
まったく……もっと分かりやすく季節変わってくれよ……。
「今が秋だよ」と強調するかのように、秋風がひゅ~っと吹く。
分かった分かった……もう秋だな。
今日は帰ったら、衣替えしようっと……。