さっきまで浮かんでいた雲がどこかへ行き、爽快になった青空。
散歩をしている途中、空から何かが落ちてきた。
ゆっくりゆらゆらと……それは手のひらに落ちる。
小さくて青い羽根。
見上げると、電柱に青い鳥がいて、つぶらな瞳で空を見ていた。
青空と青い鳥が重なり、真っ青。
今日は何かいいことが起きそうな予感がする。
「あっ、橘君。こんな所で奇遇だね。あれ?なにその青い羽根」
視線を下ろすと、同じクラスの寺田さんが、俺の手のひらに乗っている青い羽根を見ていた。
寺田さんは明るくて可愛くて、俺が好意を寄せている女子だ。
「この羽根はあの青い鳥が……」
再び見上げると、青い鳥はその場からいなくなっていた。
「ねーねー、羽根見せてくれる?」
「ああ、いいよ」
いつもより寺田さんが近い距離にいる。
寺田さんからいい匂いがして、今にも口から心臓が飛び出そうだ。
まさかこんな形で、寺田さんと二人きりで話すことになるとは……。
もしかしたら、あの青い鳥は幸せを運んできてくれたのかもしれない。
少し離れた所で、青空に混じりながら飛んでいる青い鳥が見えた。
10/25/2025, 11:42:59 PM