通勤、通学ラッシュで人が溢れている駅構内。
今日はなぜか、嫌な予感がする……。
人混みに混じりながら、ホームへ向かう。
階段を昇っている途中で、坂井さんを見かける。
俺と同じクラスで、最近気になっている女子だ。
噂では、恋人はいないらしい。
そうだ。一緒に学校へ行こうって誘ってみよう。
人を避けつつ、坂井さんの元へ近づく。
「坂井さ──」
坂井さんを呼ぼうとしたが、途中で止まる。
坂井さんは、男子と手を繋いでいた。
二人は笑顔で、楽しそうに会話をしながら歩いている。
ああ……嫌な予感は、これだったのか。
休憩時間になり、一気に騒がしくなる教室。
皆、誰かの机に集まって、楽しそうに会話している。
……羨ましいなぁ。
入学したての時は、友達沢山作るぞって意気込んでいたのに。
結局、誰にも話しかけれず、友達は一人も出来なかった。
だから休憩時間はいつも一人だ。
あの時、ちゃんと誰かに話しかけていたら今頃……。
そう考えると、だんだんと虚しくなっていく。
今からでも、遅くない……かな?
再び教室内を見渡すと、皆楽しそうに会話をしている。
今は話しかけづらいから、明日にしよう……。
そう思っても行動しない日が続き、友達が出来ないまま卒業してしまった。
この三年間で学んだことは、やっぱりスタートダッシュは大事だということだ。
街中に響き渡る、彼女の歌声。
歌手になることが夢だった彼女。
苦労の末、彼女は夢を叶えた…のに。
先日、突然病で倒れ、亡くなった。
彼女の力強い歌声が、耳に入ってくる。
きっと、この歌は誰かの心に響き、勇気と元気を与えるだろう。
その一人が……俺だ。
目を瞑り、彼女が生きた証をずっと聴き入っていた。
すぐ後ろに迫ってきている濃い霧。
前には、光が見える。
あの光へ向かって走れば、全てが上手くいく。
だが、濃い霧がだんだん迫ってきて、背中に霧が触れる。
頑張ってここまで来たんだ、霧に包まれるもんか。
だって、ようやく自分の進む道を見つけたのだから……。
霧は背中から肩にかかる。
「追いつかれてたまるか!」
足が折れようと壊れようと構わない、必死に、死ぬ気で、光へ向かって走った。
肩にかかっていた霧は離れていく。
そして、手を伸ばし、光を……掴んだ。
光は手の中で光り輝き、迫ってきていた霧を吹き飛ばし、明るい世界へと変わった。
これが、自分が選んだ道……。
落とさないよう、どこかへ行ってしまわないよう、掴んだ光をしっかり握り締めた。
勉強机の上に置いている、木製の砂時計。
宿題や勉強をする時に逆さまにして、全ての砂が落ちるまで、集中するようにしている。
サーーー……。
静かな自室に、砂時計の砂が落ちる音だけが聞こえる。
心地良い音で、聞き入ってしまう。
おっと……いけないいけない、勉強しないと……。
握っているペンに再び力を入れ、動かす。
……あれ?砂の音がしない。
砂時計を見ると、砂は全て落ち切っていた。
今度は勉強に集中しすぎて、砂の音が無くなっていたことに気づかなかったとは……。
ペンを置き、休憩タイムに入る。
砂時計を逆さまにし、再び砂を落とす。
休憩タイムに聞く砂の音も、また最高なのだ。