たーくん。

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9/25/2025, 10:08:08 PM

目の前に広がる、複数の世界。
これらは全て、もしもの先に出来たパラレルワールドだ。
一つ行動を変えるだけで、パラレルワールドは次々と作られていく。
僕にとって、どれが相応しい世界なのだろうか?
「″どれ″じゃなくて、″今″いる世界が、君に相応しい世界だよ」
僕にそっくりな声が、どこかから聞こえてくる。
今……か。
今いる世界のことを思い出すと、目の前に、光の扉が現れた。
……帰ろう、僕に相応しい世界へ。
僕はパラレルワールドではなく、目の前の、今の世界に手を伸ばした。

9/24/2025, 10:17:31 PM

見覚えのある薄暗い天井。
目が覚めると、俺は自分のベッドで寝ていた。
……あれ?いつ、ベッドで寝たんだ?
確か……彼女と一緒にリビングで酒を飲んでて……。
うーむ、記憶がない。
酔っ払って寝てしまったのだろうか?
薄目で壁掛け時計を見ると、もうすぐ0時になろうとしていた。
「うーん……」
俺の横で、彼女が寝息を立てながら寝ていた。
びっくりして声が出そうになり、慌てて口を押さえる。
もしかしたら、彼女が酔っ払った俺をベッドまで連れてきたのかもしれない。
折角、久しぶりに彼女とのんびり過ごそうと思っていたのに……。
彼女と一緒にいるのが楽しくて、つい酒を飲み過ぎてしまったようだ。
時計の長い針が、短い針と重なり、一つになる。
「ありがとな」
俺は時計の針のように、彼女の身体をぎゅッと抱き締め、一つになった。

9/23/2025, 10:17:52 PM

学校中がお祭り騒ぎになっている文化祭。
賑やかな廊下を通り抜け、教室のドアを開けた。
教室内には、荒井さんが窓際の席に座って、外を眺めている。
僕は荒井さんが座っている席へ、ゆっくり向かう。
距離が近くなると、荒井さんの良い匂いが鼻につく。
席に到着し、深呼吸をしてから、荒井さんに向かって言った。
「荒井さん!僕と一緒に……文化祭一緒に回って下さいっ!」
荒井さんはこっちを向き、僕を見ながら口を開く。
「大人しいあんたが、ギャルの私を誘うなんてやるじゃん」
「えっと……荒井さんも大人しいよね?口調はギャルだけど、見た目は控え目だし……」
「ちょ!そんなこと言うなし!」
荒井さんのことは前から気になっていた。
見た目は真面目そうな大人しい女の子なのに、口調は真逆だったから。
本人によると、自分を変えたくてギャル口調で話すようになったという。
でも、クラスの皆から変な目で見られるようになり、誰も荒井さんと話さなくなった。
そして文化祭の今日、荒井さんは一人で教室にいる。
だから僕は、勇気を出して、荒井さんを教室から連れ出そうと思った。
文化祭を一人で過ごさず、楽しんでほしかったから。
「えっと……ど、どうかな?僕と一緒に文化祭、回ってくれないかな?」
「……ふんっ、仕方ないわね。折角勇気を出して誘ってくれたのに、断ったら可哀想だから付き合ってあげるわっ」
口ではそう言っているが、荒井さんは嬉しそうな顔をしている。
「なにニヤニヤしてるのよ!行くわよっ!」
荒井さんは席を立ち、僕の手を引っ張って廊下へ向かう。
今日は、楽しい文化祭になりそうだ。

9/22/2025, 11:46:53 PM

雲達の侵略で支配された空。
どんよりとしていて、今にも雨が降りそうだ。
こういう天気の時に出掛けるか、非常に悩む。
途中で降ってきたら嫌だけど、結局降らなくて出掛けなかったことを後悔しそうだし……どうしようか?
しばらく悩んだ結果、出掛けることにした。
なぜなら、出掛けたい気持ちが勝ったからだ。
着替えヨシッ!財布ヨシッ!念のための折り畳み傘ヨシッ!
よーし、いざ外の世界へ!
ポツ……ポツ……ザーーー!
外へ出た瞬間、雨が勢いよく降り始めた。
どうしてこのタイミングで降り始めるのだろうか?
雨を降らしている空を睨みつけて、家へ戻った。

9/21/2025, 10:12:40 PM

空高く伸びる虹の架け橋。
小さい頃、虹はどこへつながっているんだろう?と疑問に思っていたが、まさか天国へつながっていたとは……。
虹を橋代わりにして渡るなんて、まるで絵本に出てくる話のようだ。
よし……渡るぞ……。
「ちょっとあなた、止まりなさい」
虹に足を乗せようとしたら、天使に呼び止められる。
「あなたは天国行きではなく地獄行きです。生前に沢山の罪を犯してますから。さっ、階段を降りて地獄行きのバスに乗って下さい」
地面がパカッっと開き、階段が現れる。
虹の橋、渡りたかったな……。
俺は重い足どりで、階段を降りて地獄へ向かった。

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