たーくん。

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9/10/2025, 10:11:28 PM

物が散乱している妻の部屋。
妻は床で、ぐったりしている。
ようやく、静かになった。
すごく暴れて手こずったが、なんとか息の根を止めれたぞ。
俺に歯向かうからこうなるんだ……ざまあみろ。
最初は真っ赤な顔をして怒っていたのが、首を絞めると緑、青と信号のように色が変わって、見応えがあった。
これで、俺に文句を言う奴はいなくなった……ひひ……ひひひ……ひひひひ……。
……ぐったりした妻を見ていると、だんだんと罪悪感が沸いてくる。
本当にこれでよかったのか?
殺さなくてもよかったんじゃないか?
ああ……あああ……。
何も考えれなくなり、動かなくなった妻を見ていることしか出来なかった。

9/9/2025, 10:15:45 PM

真っ白の空間で、私と友達にレンズを向けるカメラ。
私は可愛くなるフィルターをかけてって言うと、カメラは反論した。
「フィルターなんてかけなくても、君達は可愛い。ありのままの姿で撮らせてくれ」
「いやいや、可愛くなるためにフィルターをかけるんだけど?早くフィルターかけて」
「いえいえ、フィルターなしでも可愛いです。わたくしが保証致します」
「いやいやいや、可愛くなるフィルターかけなさい」
「いえいえいえ、ありのままの姿で──」
「もう!さっさとフィルターかけて撮りなさいっ!」
カシャッ!
シャッター音が、真っ白の空間に響き渡る。
「君達のありのままの姿を撮りました。お受取り下さい」
受け取り口から、写真が出てきた。
写真には、怒った顔をした私と友達の顔がアップで映っている。
最近のプリクラは音声認識になって便利になったけど、絶対にフィルターをかけてくれない。
しかも怒った顔を撮られるなんて……。
でも、普段こういう写真は撮らないので、なんだか新鮮な気持ちだ。
「まっ、こういうのもありかな」
「怒った顔なんて自分で見ないもんね」
最初は不満だったけど、なんだかんだで、私達の思い出の一枚になった。

9/8/2025, 10:13:53 PM

ギラギラとかがやいているたいよう。
こんなにいいてんきなのに、ぼくはひとり。
こうえんでは、みんなたのしそうにあそんでいる。
なかまにいれてって言ったけど、いやそうなかおをされたから、やっぱりいいってことわった。
ひとりでブランコにのっているのはあきた。
ひとりですべり台をすべるのもあきた。
ひとりですなばであそぶのもあきた。
ひとりは……つまんない。
「あっ」
じめんを見ると、ぼくのかげがあった。
ぼくがうごくたびに、かげもうごく。
「ねぇねぇ、いっしょにあそぼ」
ぼくはかげにきくと、かげはうなずいて、いいよってへんじしてくれた。
やったー。これでぼくはひとりじゃない。
ぼくはかげといっしょに、こうえんないをはしりまわった。

9/7/2025, 10:17:22 PM

空から落ちてくる秋の雨。
君は赤い傘を回しながら、雨で濡れたアスファルトを歩いていく。
「今日は随分とご機嫌だな」
「うんっ、だって久しぶりの雨なんだもんっ」
傘を回しながらこっちを向き、微笑む君。
まるで虹のようだ。
「どうしたの?笑ったりして?」
「いや、なんでもないさ」
虹のような笑顔をずっと見ていたくて、雨は止んでほしくないなと思った。

9/6/2025, 11:17:05 PM

放課後の誰もいない教室。
外から、部活動に励んでいる部員達の声が聞こえてくる。
青春は学校行事、恋愛、友達と過ごすだけじゃない。
こうして一人で、ぼーっと教室から外の風景を眺めるのも青春の一つだと思う。
壁掛け時計の秒針の音が、今の私の青春を一秒ごとに刻んでいく。
「忘れ物忘れ物っと……あっ」
振り返ると同じクラスの男子が居て、目が合う。
秒針の音が、心に響く。
私の中で、新しい青春が始まろうとしていた。

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