真っ白の空間で、私と友達にレンズを向けるカメラ。
私は可愛くなるフィルターをかけてって言うと、カメラは反論した。
「フィルターなんてかけなくても、君達は可愛い。ありのままの姿で撮らせてくれ」
「いやいや、可愛くなるためにフィルターをかけるんだけど?早くフィルターかけて」
「いえいえ、フィルターなしでも可愛いです。わたくしが保証致します」
「いやいやいや、可愛くなるフィルターかけなさい」
「いえいえいえ、ありのままの姿で──」
「もう!さっさとフィルターかけて撮りなさいっ!」
カシャッ!
シャッター音が、真っ白の空間に響き渡る。
「君達のありのままの姿を撮りました。お受取り下さい」
受け取り口から、写真が出てきた。
写真には、怒った顔をした私と友達の顔がアップで映っている。
最近のプリクラは音声認識になって便利になったけど、絶対にフィルターをかけてくれない。
しかも怒った顔を撮られるなんて……。
でも、普段こういう写真は撮らないので、なんだか新鮮な気持ちだ。
「まっ、こういうのもありかな」
「怒った顔なんて自分で見ないもんね」
最初は不満だったけど、なんだかんだで、私達の思い出の一枚になった。
9/9/2025, 10:15:45 PM