たーくん。

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7/26/2025, 11:23:38 PM

照明がほんのり点いている暗い自室。
どうやら、私はいつの間にか寝てしまったらしい。
頬に、何か違和感を感じる。
確か……寝ようと思ったら、最近会社で起きた嫌な事を思い出して、涙が出てきて……。
そのまま泣き疲れて寝てしまったのだろう。
頬に感じた違和感は、涙の跡……か。
スマホの画面を開き、時間を確認すると、まだ0時にもなっていなかった。
なんだか寂しくなり、彼氏に電話しようかと思ったけど、さすがにこの時間は迷惑が掛かるし、寝ているかもしれない。
なので、彼氏から貰った励ましボイスを聴くことにする。
「いつも頑張ってて偉いな。そんな頑張り屋さんのお前が大好きだ。だけど、あんまり頑張り過ぎるなよ?辛い時は、いつでも俺が励ましてあげるから」
「うん……ありがとう……」
彼氏の励ましボイスを聴いて、心が温かくなる。
目を瞑り、彼氏のことを考えながら、私はゆっくり眠りへと落ちていった。

7/25/2025, 10:31:40 PM

空から降り注ぐ熱すぎる日射し。
この前まで春だったのに、いつの間にか夏がやってきていた。
長袖はもう暑くて着ていられない。
タンスから約一年ぶりに半袖を取り出す。
着てみると、去年より少し太ったのか、ピチピチな気がする。
まっ、いっか。
改めて外へ出る。
日射しが眩しくて、思わず左手を太陽に向けた。
すると、左脇から脇毛が太陽に向かって「こんにちは!」と挨拶をしている。
……処理しよう。
再び家の中へ戻り、ワキ毛を剃って、さようならした。

7/24/2025, 10:18:03 PM

もしも過去へ行けるなら、君はどこへ行きたい?
学生時代の自分にアドバイスしに行く。
就職活動している自分にアドバイスする。
なるほど、今の自分に不満があるから、そうしたいんだね。
あの時、ああしとけばよかったって思ってるから。
でも、たとえ過去の自分を変えても、現代の自分には反映されない。
なぜかって?
過去の自分が別の道へ進んでも現代の自分に繋がらず、別の世界線が出来るからだ。
だから、過去へ行っても無駄なんだよ。
どうしてそんなことを知ってるかって?
実際に行って見てきたからだよ。
これを知らせるために、過去の自分に会いに来たのさ。
ここまで言ったら、私は誰なのか、分かるよね?

7/23/2025, 10:13:45 PM

英語の授業が終わり、騒がしくなる教室。
"True Love"
さっき英語の先生から学んだ英単語。
意味は、真実の愛。
「皆も、高校生活三年間で見つけられるといいですね」
英語の先生がそんなことを言うから、女子達が集まって盛り上がっている。
女子って、どうしてそんなに恋愛話が好きなんだろう?
まぁ、俺には関係ないことだ。
「女の子達を見てなにぼーっとしてるのよ」
話しかけてきたのは、同じクラスで幼馴染みの侑子。
「いや、恋愛話で盛り上がってるなーって思ってさ」
「へぇー……あんた、恋愛に興味あるんだ」
侑子は両手を後ろにして、モジモジしながら言った。
「なにモジモジしてるんだよ侑子。あの日か?」
「そんな訳ないでしょ!このバカ!」
侑子は怒って自分の席へ戻っていった。
「なに怒ってるんだよあいつ」
まっ、いっか。
しばらくすれば機嫌は戻るだろう。
真実の愛……ね。
多分、俺には、いや、俺達にはまだ早い気がする。
……やっぱり、次の授業が終わったら侑子に謝っておくか。
あれこれ考えていると、次の授業の始まりを告げるチャイムが、教室内に響き渡った。

7/22/2025, 10:30:33 PM

大勢の人が行き交う休日の交差点。
横断歩道の信号が、赤から青に変わる。
「もう会うことはないと思うから、バイバイ」
彼女は人混みに交じりながら横断歩道を渡っていく。
俺は彼女の姿が見えなくなるまで、見ていた。
「好きな人が出来たから別れてほしいの」
ある日、彼女から言われた突然の別れ話。
言われた時は頭の中が真っ白になったが、すぐに我に返る。
「……分かった。君がそうしたいなら」
俺は別れることをオッケーした。
普通なら、反対したり、止めたりすると思う。
だけど、俺は彼女には幸せになってほしいから、他の男と付き合って幸せになれるなら、それでいいと思った。
もし、上手くいかなくなったら、「やっぱりあなたじゃないとだめ」と言って、彼女は俺の元へ戻ってくるはずだ。
だからさよならは言わない、またいつか……。

十年後。
結局、彼女は戻ってこなかった。
俺はあれからずっと独り身だ。
やっぱり、俺は彼女のことが一番好きだったから、他の女とは付き合う気になれなかったんだと思う。
大勢の人が行き交う休日の交差点。
彼女と別れた場所であり、彼女を最後に見た場所。
横断歩道の信号が赤から青に変わる。
俺は人混みに交じりながら、横断歩道を渡っていく。
「あれ?」
前から、見覚えのある女性が歩いてくる。
あれは……彼女だ。間違いない。
彼女の左側には背が高い男性、右側には小さい子供と手を繋いでいた。
絵に描いたような、幸せそうな家族。
彼女は俺とすれ違うが、見向きもせず、そのまま歩いていく。
俺は立ち止まり、振り返って、彼女の後ろ姿をぼーっと見ていた。
横断歩道の信号が赤になっても、車にクラクションを鳴らされても、ずっと……見ていた。
"またいつか"は、もうない。

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