たーくん。

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5/22/2025, 11:15:14 PM

容量を圧迫しているスマホの写真フォルダ。
中には、先月別れた彼氏と一緒に撮った写真がいっぱい入っている。
何度も消そうとしたけど、なかなか消せなかった。
だけど、昨日の私と今日の私は違う。
フォルダに親指を置き、長押しする。
削除ボタンが現れ、迷うことなく……押す。
写真は、フォルダと共に消えた。
これでいい……はずなのに、消えたと思うと、後悔の波が押し寄せてくる。
やっぱり、消さないほうがよかったかもしれない。
写真は思い出として、残すべきだったかも。
……そういえば、万が一のために、USBメモリに写真のデータをコピーしていたことを思い出す。
スマホをベッドの上へ放り投げ、机の上にあったUSBメモリをパソコンに刺した。
さっき消した写真フォルダを見つけ、一安心する。
いつでも見れるように、スマホに写真フォルダをコピーしておこっと。
今日の私は違うはずだったのに、昨日の私に逆戻りしてしまった。

5/21/2025, 10:09:15 PM

腕が疲れるほど重たくて、分厚すぎる英和辞典。
ページをめくって、ふと目に入ったのはSunriseという単語。
日の出という意味らしい。
英和辞典を閉じて、窓を見ると、太陽が顔を出して昇っている最中だった。
まさに今がSunrise。
「へへっ」
日の出を見て、思わず乾いた笑いが出る。
英和辞典を、徹夜で読むもんじゃない。

5/21/2025, 3:10:32 AM

わたあめのような雲が、あちこちに浮かんでいる空。
空の上では、数十人の天使達が巨大クーラーボックスを持って、神様がいる宮殿まで運んでいた。
クーラーボックスの中には、神様の大好物の天空アイスクリームが沢山入っている。
この天空アイスクリームを食べれるのは、神様だけ。
噂では、一口食べるだけで、クリームの甘味が口の中いっぱいに広がり、幸福な時間を与えてくれるらしい。
運ぶのに飽きてきたのか、数匹の天使が文句を言い始めた。
「神様って天使使い荒いよな。自分の物ぐらい自分で運んだらいいのに」
「神様は忙しい忙しいって言ってるけど、本当かなぁ」
「たまには休みがほしいよ。毎日こき使われて疲れちゃった」
「雲の上でゆっくり昼寝したいぜ……へ……へっくしょん!」
一匹の天使がくしゃみをして、クーラーボックスから手を離してしまい、クーラーボックスが傾いた。
中に入っていた天空アイスクリームが次々と空へ落ちていき、空に溶ける。
青い空が、クリーム色に染まっていく。
「ああ……天空アイスクリームが……神様に怒られる!」
「また買えば大丈夫でしょ。それより空の色が!」
「神様に見つかる前になんとかしなきゃ!」
「なんとかって……どうするんだよ?」
「皆で食べてしまおう!」
天使達は空に溶けた天空アイスクリームを、ぺろぺろと舐めていき、空は再び青色を取り戻した。
天空アイスクリームでお腹がパンパンに脹れた天使達は、雲の上に寝転んで幸福な時間を過ごす。
このあと、神様に見つかって怒られたのは言うまでもない。

5/19/2025, 11:18:59 PM

荒れた道の先にあった大きな扉。
私には、どうしても……叶えたい夢がある。
そのために、ここまで来たのだ。
ここへ来るまで、さまざまな困難の壁を乗り越えたり、たくさんの犠牲を払ってきた。
途中で何度も諦めそうになった時に、背中を押してくれた両親と友達に感謝したい。
扉に両手を置き、思いっきり力を入れて押す。
ゆっくりと、少しずつ、扉が開いていく。
扉から光が溢れ、あまりにも眩しくて思わず目を閉じてしまう。
それでも、扉を押す手は止めない。
だんだんと扉は軽くなっていき、扉の重みが完全になくなった。
扉を開けきったのだろうか?
恐る恐る……目を開ける。
扉の先には、自分が叶えたかった夢が広がっていた。

5/18/2025, 11:22:50 PM

人酔いしてしまいそうなほど人が多い駅構内。
私達は二年弱付き合っていたけど、お互い夢を叶えるために別れることになった。
彼氏は人混みに紛れて、どんどん遠ざかっていく。
……やっぱり、別れたくない。
気がつけば、私は人をかき分けて走っていた。
彼氏に手を伸ばし、腕を掴んだ。
「まって!やっぱり私は別れたく──」
「えっ?」
振り向いたのは彼氏ではなく、知らない男性。
「すいません!間違えました!」
男性に謝って、再び人をかき分けて彼氏を探す。
あの黒パーカー……間違いない、今度こそ彼氏だ!
手を伸ばし、パーカーのフードを掴んだ。
「まって!私、あなたと一緒に──」
「ぐえっ!?げほっ!げほっ!いきなりなにするんだ!」
振り向いたのは彼氏ではなく、おじさん。
「すいません!また間違えました!」
「ったく、気をつけろよな」
おじさんは私を睨みつけて、去っていった。
「……お前さっきからなにやってるんだよ」
「ひゃっ!?」
横から幽霊のように現れたのは、彼氏。
「人に迷惑かけるなよ。じゃっ」
彼氏は背を向け、歩き始めた。
「まって!」
私は今度こそ間違えないように、彼氏の腕をガシッと掴んで引き寄せた。

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