たーくん。

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わたあめのような雲が、あちこちに浮かんでいる空。
空の上では、数十人の天使達が巨大クーラーボックスを持って、神様がいる宮殿まで運んでいた。
クーラーボックスの中には、神様の大好物の天空アイスクリームが沢山入っている。
この天空アイスクリームを食べれるのは、神様だけ。
噂では、一口食べるだけで、クリームの甘味が口の中いっぱいに広がり、幸福な時間を与えてくれるらしい。
運ぶのに飽きてきたのか、数匹の天使が文句を言い始めた。
「神様って天使使い荒いよな。自分の物ぐらい自分で運んだらいいのに」
「神様は忙しい忙しいって言ってるけど、本当かなぁ」
「たまには休みがほしいよ。毎日こき使われて疲れちゃった」
「雲の上でゆっくり昼寝したいぜ……へ……へっくしょん!」
一匹の天使がくしゃみをして、クーラーボックスから手を離してしまい、クーラーボックスが傾いた。
中に入っていた天空アイスクリームが次々と空へ落ちていき、空に溶ける。
青い空が、クリーム色に染まっていく。
「ああ……天空アイスクリームが……神様に怒られる!」
「また買えば大丈夫でしょ。それより空の色が!」
「神様に見つかる前になんとかしなきゃ!」
「なんとかって……どうするんだよ?」
「皆で食べてしまおう!」
天使達は空に溶けた天空アイスクリームを、ぺろぺろと舐めていき、空は再び青色を取り戻した。
天空アイスクリームでお腹がパンパンに脹れた天使達は、雲の上に寝転んで幸福な時間を過ごす。
このあと、神様に見つかって怒られたのは言うまでもない。

5/21/2025, 3:10:32 AM