大画面ディスプレイに描かれた俺達の未来図。
俺達が自分で描いたのではなく、AIが描いたものだ。
十五歳で市役所に行き、未来図を生成することが憲法で定められている。
政府がAIになってから、自分の未来図も勝手に決められるようになってしまった。
将来安定のために、未来図通りにしなければならない。
従わないと……処罰される。
「お、俺は自由に生きるんだ!AIに未来を決められてたまるかよ!」
近くに居た男子がディスプレイを蹴り、出口へ向かって走っていった。
「そこの男子!止まりなさい!」
アンドロイド役員が男子に銃を向ける。
……そうだよな。
未来図っていうのは自分達が描くもので、誰かが描くものじゃない。
俺はアンドロイド役員を後ろから蹴り倒す。
「皆も行こう!未来は俺達が決めるんだ!」
「おおー!」
俺達は男子のあとに続き、出口へ向かって走った。
だが、もう一歩というところで、シャッターが降り、出口が封鎖されてしまう。
「お前達、そこまでだ」
アンドロイド役員達に取り囲まれ、逃げ場がなくなる。
俺達の未来と自由は、完全に閉ざされてしまった。
空を舞う、ひとひらの花びら。
身軽な花びらは、あっちへ行ったり、こっちへ来たり、風にもて遊ばれている。
強風が吹き、花びらはどこかへ飛んでいき、見失ってしまった。
私が死んで天国へ行くときも、あんな感じなのだろうか?
いずれ私は、あの花びらのことを忘れてしまうだろう。
同じように…皆の記憶から、私の存在が消えていくのだろうか?
そう思うと、少し寂しい。
「捕まえた!」
ジャンプして、何かをキャッチした私の彼氏。
「この花びらをずーーっと目で追いかけてからさ。嫉妬して捕まえちゃったよ」
彼氏は照れた顔で手のひらを広げ、捕まえた花びらを私に見せる。
彼氏の可愛らしい姿を見て、さっきまでの嫌な考え事が頭の中から出ていき、風と共に飛んでいった。
万年使える卓上の日めくりカレンダー。
めくるたびに、新しい一日が始まる。
いつも通っている道から見る風景は、同じように見えて、毎日少し違う。
よーく見ると、新しい発見が必ず見つかるはずだ。
空の色や天気の機嫌によって、また別の風景に変化する。
雨が嫌いな人も、風景を楽しんで色んな見方をすると、印象が変わるかもしれないよ?
通り慣れた道を、今日も歩く。
私は、今日しか見れない当たり前な風景を、目に焼きつけた。
目の前に居るのは、僕。
まるで鏡に映したかのように、僕と瓜二つだ。
「君は、誰?」
「僕は、君だよ」
「え?僕は僕だよ?」
「僕は別の世界線から来たんだ。まぁ、君に言っても分からないか」
「君は僕なんでしょ?だったら分かるはずだよ!」
「あれこれ言ってる暇はないんだ。急がないと僕は消えてしまう」
「えっ?それってどういう……」
あれ?身体が動かない。指一本も、動かせない。
な、なんで?
目の前の僕が、僕の中へ入ってくる。
押し出されるように、僕は自分の身体から追い出された。
「よし、上手くいった。悪いな、別の世界線の僕。僕が居た世界線では、すごくつまらない人生を過ごしてしまってな……。ここの世界線の僕は楽しい人生を過ごしていたから、身体を乗っ取らせてもらったよ。代わりに楽しい人生を過ごすから、安心してくれ。じゃあな」
そう言って、僕ではない僕が歩いていく。
僕は動くことが出来ず、見ていることしか出来なかった。
懐かしい名前がずらっと並んだ連絡先。
高校を卒業してから十年経つ。
いや、もうそんなに経ったのか。
成人してから、時間が進むのが一気に早くなったような気がする。
中学の友達や高校の友達は元気だろうか?
連絡……してみようかな。
メール機能を使うなんて、何年ぶりだろう。
数人にメールを送信したが、数秒でメールが戻ってくる。
……そりゃ、そうだよな。
登録しているのはメールアドレスだけで、電話番号は登録していない。
電話番号も聞いておけばよかったと、今になって思う。
「ま、縁があればまたいつか会うさ」
いつ再会するか分からない友に別れを告げ、連絡先を削除した。