たーくん。

Open App

目の前に居るのは、僕。
まるで鏡に映したかのように、僕と瓜二つだ。
「君は、誰?」
「僕は、君だよ」
「え?僕は僕だよ?」
「僕は別の世界線から来たんだ。まぁ、君に言っても分からないか」
「君は僕なんでしょ?だったら分かるはずだよ!」
「あれこれ言ってる暇はないんだ。急がないと僕は消えてしまう」
「えっ?それってどういう……」
あれ?身体が動かない。指一本も、動かせない。
な、なんで?
目の前の僕が、僕の中へ入ってくる。
押し出されるように、僕は自分の身体から追い出された。
「よし、上手くいった。悪いな、別の世界線の僕。僕が居た世界線では、すごくつまらない人生を過ごしてしまってな……。ここの世界線の僕は楽しい人生を過ごしていたから、身体を乗っ取らせてもらったよ。代わりに楽しい人生を過ごすから、安心してくれ。じゃあな」
そう言って、僕ではない僕が歩いていく。
僕は動くことが出来ず、見ていることしか出来なかった。

4/11/2025, 11:37:46 AM