街灯がチカチカ光る薄暗い道。
今日も遅くまで飲んでしまった。
まったく、モテる男は辛いぜ。
足取りが少し覚束ないが、もう少しで家だ。
明日……いや、もう今日か。出勤日じゃないから、ゆっくり休むか……。
「やっと帰ってきたわね」
家の前に、女が立っていた。
「んー?誰だぁ?お前~?」
「酒くっさ……私のこと覚えてないの?」
「んーーー?」
女の顔をよく見ても、思い出せない。
誰だっけ?
多分、いつの日か店に来た女だろう。
「私と約束したでしょ」
「約束ぅ?」
「私と結婚してくれる約束よ」
「そんな約束したっけぇ?」
もしかしたら、適当に相槌を打って約束してしまったのかもしれない。
「やっぱり遊びだったのね。ホスト野郎に恋するんじゃなかった……嘘ついたから針千本飲んでもらうわよ」
女性はバッグからビニール袋を取り出した。
ジャリジャリと音が鳴っていて、袋から何本か針が出ている。
「な、なんだよそれ」
「私と結婚してくれるって指切りげんまんしたのに、嘘ついたからよ。さぁ!飲みなさい!」
「んなもん飲めるかよ!」
一気に酔いが冷め、俺は来た道を走って引き返した。
桜の木がずらっと並んだ歩道。
ゆっくり見たいところだが、そんな暇はない。
登校している小学生を避けながら走る。
近くの踏切が鳴り、電車が俺の横を通過した。
電車の風圧で桜の木が揺れ、桜の花びらがひらりと舞う。
花びらが顔に当たり、走る速度が落ちる。
まさか桜の花びらに邪魔されるとは……。
ぶるぶると犬のように顔を振り、花びらを振り払う。
あの電車に乗らないと……遅刻する。
普段寝坊しないのに、こんな時に限って寝坊するなんて……。
さすがに入学式から遅刻はまずい。
もってくれよ!俺の足!
死に物狂いで、駅まで走った。
学校帰りに寄った近くの公園。
木々が芽吹き、春の準備をしている。
最近気温が一気に上がったから、すぐに開花するだろう。
散歩していると、木の下で男子学生が座って本を読んでいた。
あれは……同じクラスの竹上君だ。
胸が高鳴り、ドキドキする。
竹上君はいつも友達と一緒にいるけど、今は一人。
これは……話しかける絶好のチャンス。
だけど、ドキドキし過ぎて足が一歩も前に出ない。
心の中で「うぅー!」と唸っていると、後ろから暖かい風が吹いた。
「あっ……」
竹上君の読んでいた本のページが、ペラペラと捲れる。
「どこまで読んでたか分からなくなったぞ」
竹上君がこっちを向き、私と目が合う。
「あれ?君は……」
「あ、あのっ!竹上君っ!」
私の芽吹きが始まった瞬間だった。
私だけに向けられた大歓声。
キュートでラブリーなアイドルの私は、今日もキラキラ輝いてる♪
ある日、新しいアイドルがデビューし、大注目された。
私への歓声が減っていき、新しいアイドルへの歓声が大きくなっていく。
あんなのがどこがいいの?
私の方がとってもキュートなのに。
少し、お仕置きが必要ね。
じゃじゃーんっ!
リボンが付いたキュートアックス!
ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!
あーあ、キュートアックスが真っ赤になっちゃった。
本当は顔だけにしようと思っていたけど、いつの間にか身体も切り刻んじゃったみたい♪
これでまた、歓声が私に向けられるねっ!
キュートでラブリーなアイドルの私は、今日もキラキラ輝いてるぅ♪
広場に置かれた大きい電子看板。
カウントが1010から998に減り、今日も記録更新。
遂に、残り1000を切った。
せっかく隠れ家を見つけたのに、12人しかいなかったとは……。
一体奴らはどこに隠れているんだ?
ゴキブリのようなしつこい奴らめ。
あと十日以内に絶滅させないと、地球を買い取ってもらえない。
「隊長!50人近く隠れている森を発見しました!」
「よし!燃やしに行くぞ!」
今日も我々は、人間狩りに出掛けた。