たーくん。

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桜の木がずらっと並んだ歩道。
ゆっくり見たいところだが、そんな暇はない。
登校している小学生を避けながら走る。
近くの踏切が鳴り、電車が俺の横を通過した。
電車の風圧で桜の木が揺れ、桜の花びらがひらりと舞う。
花びらが顔に当たり、走る速度が落ちる。
まさか桜の花びらに邪魔されるとは……。
ぶるぶると犬のように顔を振り、花びらを振り払う。
あの電車に乗らないと……遅刻する。
普段寝坊しないのに、こんな時に限って寝坊するなんて……。
さすがに入学式から遅刻はまずい。
もってくれよ!俺の足!
死に物狂いで、駅まで走った。

3/3/2025, 12:47:28 PM