たーくん。

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学校帰りに寄った近くの公園。
木々が芽吹き、春の準備をしている。
最近気温が一気に上がったから、すぐに開花するだろう。
散歩していると、木の下で男子学生が座って本を読んでいた。
あれは……同じクラスの竹上君だ。
胸が高鳴り、ドキドキする。
竹上君はいつも友達と一緒にいるけど、今は一人。
これは……話しかける絶好のチャンス。
だけど、ドキドキし過ぎて足が一歩も前に出ない。
心の中で「うぅー!」と唸っていると、後ろから暖かい風が吹いた。
「あっ……」
竹上君の読んでいた本のページが、ペラペラと捲れる。
「どこまで読んでたか分からなくなったぞ」
竹上君がこっちを向き、私と目が合う。
「あれ?君は……」
「あ、あのっ!竹上君っ!」
私の芽吹きが始まった瞬間だった。

3/1/2025, 2:32:23 PM