マシュマロの美脚

Open App
6/19/2025, 3:37:07 PM

雨の香り、涙の跡



なんてことのない家庭で育ってちょっと貧乏だったけど幸せに暮らしてた。
そんな日々が続くと漠然と思ってた。
今日も井戸の水汲みから始まって釜に火起こし保存してる芋を調理して食べる。
朝が始まったなそう感じぐいっと背を伸ばし親父さんの手伝いをする。散々こき使ってくれるけどまだまだ半人前、けど給料くれる文ありがたい。
午前中は仕事をして午後からは教会で勉強を習う。
総領様やその遣い様たちのような高度な勉強は出来ないけど最低限はただめ教えてくれる。ありがたいよ、ほんとに。

午後に入り親父さんに挨拶をして教会へ向かう。
大体1時間、神に祈る。
神はこの国をこの島へ創り上げ雨と共に人間を創った。雨により草花が目覚め雨が溜まった湖には神聖な魚が芽生えた。罪を犯した人間は神により動物にされ供物へと浄化される。

祈りを捧げた後神父様に言われる言葉。
この小さな島国に僕達人間を創り上げた神は気に入った人間から神子を罪を犯した人間は動物へと変化させる。
神子様は言葉では表せないほど美しいみたいだ。
数百年に一度現れ沢山の雨をもたらすらしい。
何となく分かるだろう、この国ではあめはとても神聖なものとされている。

そんなこんなで今日も勉強が終わった後家に帰り小さく育ててる芋に水をやってからご飯を食べる。今日も今日とで芋だ。

 

ある日珍しく雨が降った。神聖な雨として街はてんやわんやの大騒ぎ。親父さんはいつもより早上がりにしてくれまし、祈りも長くなった。
それでも僕には大きな関わりがなかった。
無いと思っていた。


今日も今日とて仕事だと井戸から水を汲むと信じられないほど美味しい水になっていた。びっくりしてお母さんに飲ませても特に変わりないと言われてしまった。
親父さんの仕事に行くとどうやら一発当てたらしく羽振りがよかった。庶民には手が出ないお肉まで貰えてホクホクだ。
教会に行くと神父さんは僕を見てちょっとびっくりしたような顔をした後美味しい萎びていない野菜をくれた。
さらに帰って畑を見てみると芋がとても大きくたくさん実っているじゃないか!!
ちょっと気持ち悪いくらい幸運で明日死なないよなとか思いつつ美味しくいただいた。

この幸運は今日だけと思っていたのだが、要所々々からご飯をいただけなんだか前と比べとても豊かな生活をしていた。


そんなある日気のせいかと思っていた白髪が増えている。手や足から生えている体毛も白い気がする。
お母さんも不思議に思って勉強の帰り神父様に聞いてみたのだが的を得ない返事。もっとたくさんご飯を食べないさいと、。
さらに一週間、家に総領様の遣い様が来た。やんややんやと僕を担いで総領様の御屋敷へと連れてた。
豪華な部屋で美味しいご飯を食べさせられ、とても自分には恐れ多いような贅沢な時間を過ごしてしまった。
何事かと遣い様に聞いてみるが美味しいご飯いりますか?と話をそらされる。

そうやって過ごして一週間弱。僕の体毛は白くなり瞳の色までも白くなった。それどころか少し耳が遠くなった気がする。
お母さんとも会えていないどころか外にも出してもらえず、どうにかならないかと耳を傾ける。

「はぁ…総領様今日も威厳に満ち溢れていてカッコいい」「わかる……」
違う
「知ってる?あの子不倫されたんだって」「え?!ホントに?証拠集めなきゃ」
不倫した男は動物行きだな。
「神子様は順調に同一化しているな」「はいっ!!」

ん?神子様?ここ百年、神子なんて居ないはず……
新しい神子様がいらっしゃったら僕だって知っているはずだ、このお屋敷に神子様が来たという噂は聞いていない。
これでもたくさん噂は入ってきているはずなのにそんなビッグニュース知らないはずが無い。
知らないとしたらもしかすると、、

何となく気づいた。噂はこっそりするものだ。渦中にいるものが知らないのも無理がない。そう、僕が御子であるんじゃないだろうか。それだとだんだん白く変化していく見た目にも納得がいく。こんな症例聞いたことが無い。
神子とは何をするのだろう。なぜ僕に秘匿されているのだろう。分からない。
分からないがこれはきっと喜ぶことだ。

そうしてだんだん慣れてきた美味しいご飯を食べる日々前身真っ白に変化した僕を見て皆笑顔が溢れている。きっと僕が神子で確定だろう。
そうやって過ごしているある日、耳が聞こえなくなった。必死に訴えたがちゃんと喋れているか分からない。お医者様に診てもらうこともない。

神子なのに病気になるとはなんて恥知らず無のだろう、悶々と悩むなか不安そうな僕を見て遣い様が書物を持ってきた。そこには神子様にまつわる記述が、……

『神子は人間から進化した上位者である。人から姿を変え新たな姿へと変化する。それは神が創った動物や魚など様々な種て規則性はない。変化する途中虫が蛹になり成虫と変化するように神子様にも繭となるときが訪れる。その時国民全員で神子様を守るべし。』

そう書かれた書物には人間からまるで違う尾鰭の生えた魚のような人のような怪物がいた。

僕は怖かった。

僕はどうなってしまうのだろう。人から外れてしまう。それは理解していたはずだった。現実が目の前に来ると途端怖くなった。
遣い様がいない時必死に逃げた。音は聞こえない間取りも分からない、視界も悪くなってしまった体を必死に動かして逃げた。

ずっとずっと走って走って走って走った。
雨が降っていた。

知らない細い路地に身を隠して縮こまっていた。あれから3日も経っていないと思う。分からない。目が見えなくなった。
鼻も鈍くなってきた。雨が体に当たっている気がする。分からない。
もう逃げることは出来ないだろう。そう遠くへは逃げれていない御屋敷の近くだ。すぐに見つかるだろう。

ふと雨の香りがした気がした。



脱走した神子様はお屋敷から徒歩5分の路地で見つかった。体は半分以上繭化していた。
お屋敷へ連れ帰り繭化した神子様に祈りを捧げること一ヶ月繭を引きちぎり出てきたのは蚕のような美しい神子様だった。
神子様の羽はキラキラと反射し美しい。
神子様の口は蚕同様退化していた。それでも神に見初められた神子様だ、死ぬことは無いだろう。
あぁ、これでこの国はしばらく安泰だ。
神子はどこでもない虚空を見つめ羽ばたいた。
羽は光に当たりキラキラと輝いていた


                fin


羽の反射のキラキラ涙の跡のようなんじゃないですかね
そう言えば山って山の方香りはしますが雨の香りしないんですよ。

6/4/2025, 6:46:00 PM

駄作です



恋か、愛か、それとも


あの子が産まれた日僕の世界は変わった。
色彩はどんどん鮮やかに、花々は咲き誇りあの子の誕生を祝っているようだった。
それから少ししてあの子が立った。、だんだんと立っていられるようになって、ちょっとずつ歩き出す。
始めて話した言葉は兄ちゃんだった。
可愛い可愛いあの子は気づいたら野を駆け回り、兄ちゃん兄ちゃんとついてくるようになった。
僕の可愛い妹を守ろう、そう決心した。

あの子は特別だった。皆に平和をもたらす神の子だ。仲が悪かった両親もあの子が生まれてから平和になった。
友達が喧嘩したってあの子が居るとすぐに仲直りする。
そしてあの子は聡明だった。文字を覚え、本を読み、歌を歌った。
僕よりうんと凄くって可愛かった。

そんなあの子は神に愛され過ぎたのかだんだん怪我が増えるようになった。小学校に上がって次第に周囲の子供に吸われるように元気もなくなった。
しまいには可愛いあの子の足に大きな怪我をして帰ってきた。
それでも何とか過ごしてたある日。暴走した自動車が横断中の子供たちに突っ込んで皆を庇ったあの子が、轢かれてしまった。

酷い。許せない。あの日沢山の管に繋がったあの子を見てこの世の全てを恨んだ。なぜこの子何だろう。僕なら良かったのに。そう思った。僕が中学校にあがったばっかりにあの子を守れなかった。

あの子は2カ月しても目を覚まさなかった。次第に荒れてく両親。延命するかと意味のない問いばかりであの子の状態を回復させることの出来ない医者。やっぱりあの子が居なくちゃダメなんだ。
そうこうしているうちに両親は離婚した。もともと鬱憤は溜まっていたのだろうあの子が入院して爆発しただけだ。
あの子と僕は母親に引き取られ以前より貧乏な生活になった。

それでもあの子を見捨てようとした父親についていくよりは良かった。

さらに時が立って僕は大人になって働いているとあの子が目を覚ましたと連絡があった。
もう9年。沢山時が経った。奇跡的にあの子が目を覚ました。良かった。あの子を諦めようとした母親になんか合わせてやらない。僕があの子を守ったんだ。

あの子はやっぱりというか記憶は小学校のままだった。
それでも良かった。あの子が生きてる。
普通の生活をあの子にあげることはできないけど、それでも、また守れる。
あの子が怪我をしないよう、また意識を失わないよう、しっかりとセキュリティのついた家に迎えて、3食ご飯をあげて、可愛い洋服もあげて、娯楽品だって与えた。

でもあの子は学校に行きたいと言い出した。
僕のめがない所なんて行かせれない。何か入ってるか分からない給食も駄目だし、あの子だけ大きくていじめなんてあってもだめだ。また同じように車が突っ込んできたらあの子はきっと子供を庇う。そんなのだめだ。
あの子は家に居てくれないと。

だからできる限りあの子のお願いを聴いて、あの子にはこの世の全てを与えられるように色んなこともした。
それなのに、それなのにだんだん憔悴していく。
なんで?なんて?

どうやってもあの子は元気にならなくて、、可愛い顔が曇ったまま、。どうすることも出来なくてあの子を見捨てようとした母親だって会わせてみた。

でも、それが間違いだった。
あの子は母親と協力して愛の住処から逃げ出した。
僕が手を伸ばした時には間に合わなくて、、
最後に会ったまるで化け物でも見るようなめであの子は
「おかしいよ、お兄ちゃん」

それから輝いていた色彩は色あせた。
この感情は恋か愛か分からないけど、あの子が大切だった。
でも、あの子を連れ去った母親に言われたんだ
「あの子の名前言える?」って
それとも僕はあの子が……

5/28/2025, 11:29:55 PM

お題: さらさら

「広大な砂漠」


ガラスにある砂はいずれ落きちる。  人だって、命の砂時計が落ちきる

変えれない 抗えない、 ただの事実

たとえすくったって 大事に抱えたって こぼれ落ちてなくなってしまう゛砂゛

抗いたい僕は残り少ない砂を掬おうと必死なのに いくら掬ってもいずれ砂漠の一部になって終わり。 いくら掬っても穴の空いた器は溢れてしまう そんな事を呪ってしまいたい

沢山の砂が集まって出来た、この砂漠。 これはとてもさらさらとしていて、すくえない。 穴の空いていない器を持てないという証だろう

5/13/2025, 6:57:20 PM


記憶の海

ある所に記憶を失った男が居ました。 その男は事故によって失った記憶の欠片を集める為、旅に出ることになりました。

男は生い茂るキャンディーの森から 濁流のように溢れる鉱石の川から エルフと言われる人達が住むエデンまで沢山の場所へ向かいました。

男はエルフに問いました。 「記憶の欠片を知りませんか?」 エルフは答えます 「この辺りには記憶の欠片はありません。もっと北にはあると思います」

男は北の歌姫と呼ばれる人魚の海へ向かいました。  そこには沢山のサンゴと美しい美女達が住まう人魚の住まう洞窟がありました。 しかし人魚の楽園は男人禁制でした。 追われるように人魚の国を出た男はそこから西に向かいました

険しい山を越えた先には小さき人が住むドワーフの国がありました。 ドワーフ達は男を歓迎し沢山のお酒を飲みました。沢山のお酒を飲んだ男は酔っ払ってしまい、ドワーフ達が大切にしている木の実を食べてしまいました。 怒ったドワーフ達は男を木の実の肥料にしようとしたのでまたまた追われるように国を出ていきました。

人魚の国も、ドワーフの国も追われてしまった男はさらに北へと向かいました。

男がたどり着いた場所は砂漠でした。 男が三日三晩さまよい続けたどり着いた所には小さなオアシスとスフィンクスが居ました。 男はスフィンクスに問いました。 「記憶の欠片を知りませんか?」 スフィンクスは言いました。 「ここからさらに北の地に落ちているだろう」と

男はスフィンクスに感謝を伝え北を目指しました。

しかし今まで使っていた方位磁針が砂漠の砂によって壊れてしまい、北が分からなくってしまいました。 男は当てもなく彷徨い小さいオアシスに作られた集落を見つけました。

男は尋ねます。 「北へと向かいたいのですが方位磁針が壊れてしまいました。北はどちらなんですか?」 集落の住人は武器を向け答えます。 「ここから右手だ、早く立ち去れ旅の者よ」 男は身の危険を感じそそくさと北へと向かい歩き出しました。

しばらく歩き続けると砂漠を抜け広大な草原に出ました。 様々な動物が住んでおり、ハーピィの少女が狩りをして居ました。 ハーピィの少女は男を見るなりハーピィの村へと案内しました。 男は尋ねます 「北はどちらですか?」 しかしハーピィの人々は男にご馳走を用意し応えようとしません。 男は結局ハーピィの村でたらふくご飯を食べ眠ってしまいました。

明け方不意に目が覚めた男はハーピィの伝説を思い出しました。

「人を食すとさらなる力を得らる」 そう、ハーピィは男を食べようとしていたのです。 男は急いで逃げ出しました。 太陽が少し出ていたので太陽を右手に必死にはしりました。 息も絶え絶えでついた頃には夜も更けていました。

男はその夜様々な事を思いました。 愉快な場所から、エルフ、人魚、ドワーフ、さらにはハーピィまで、以前では出会うことも無かった人達と出会い村に居るだけでは得られなかった経験をしたこと。 快いドワーフから、他種族を恐怖する人々達、様々な人が居ると思いました。

男がぼんやりと目を開けるとそこには、黄金に輝く海がありました。
海には魚だけでなく亀やイルカ、鯨まで居ました。
そっと海に近づくと一番大きな鯨が男に話しかけます。
「君は記憶の欠片を探しているんだね。」
男は頷きます。
「ここまで遠かっただろう。人間が住む所から沢山距離があるからね」
男は少し急かすように頷きます。
「君は本当に記憶を思い出したいかい?きっと嫌なことも沢山あるだろう?」
男はまだかまだかと鯨を急かしました
「私としては記憶は思い出さないほうがいいと思うよ?」 男は遠路はるばるやってきたのに、そう言って記憶の欠片を出さない鯨に怒って、殺してしまいました。
男は記憶の欠片を取り戻し、海を眺めました。
全てが無駄に思えてしまいました。  

男は神にお願いして嫌なこと全て忘れさせて貰いました。 しかし男ははうっかりしていました。

記憶を消したと言う記憶も消してしまったのです。
だから男は嫌な記憶をわざわざ戻してしまったのでした。

男はとても長かった道のりを思い出しました。
海が黄金になるほど記憶の欠片が捨てられたこの世界に絶望してしまい、 男は記憶の欠片が溢れる黄金の海へ飛び込み死んでしまいましたとさ

5/12/2025, 5:43:36 PM

ただ君だけ

手を伸ばしたって届かないものに心惹かれるのは、きっと人間の性なんだろう。

本、アニメ、芸能人、YouTuber、、、etc 小さい頃誰もが憧れるような話は何時だって現実離れしている そういった今の自分では得られない理想や妄想が人を動かす原動力なのかも知れない。

小さい頃だと姉や兄に憧れて真似をすることあもあるかも知れない。 もしくは好きな戦隊モノのキャラや、アイドルがかっこよく見えて真似をするかも知れない。 そういった理想の積み重ねで大人になる一歩を踏み出しやすくするのかもしれない。

自分には双子の兄がいた。 自分と比べて優秀で勉強も運動も、人当たりだって良くて、どれも平均かそれ以下の自分は惨めだった。 親はやっぱりと言うか優秀な子供の方が可愛いみたい。やっぱり与えられた違いは大きくて、兄への劣等感と憎しみが募っていった。

それでも兄は兄だった。出来損ないの自分にも明るく笑いかけてつい浮きがちな自分を周囲の人達と馴染ませていった。 でも、勿論それは兄がいるから、兄がいなきゃ誰も相手にしてくれない。精々出来損ないの自分を哀れむだけだ。

そんなこんなな日々を過ごしたある日、僕と兄2人で買い物に行ったんだ。 普段は穏やかな道は何処か騒がしくて、不思議に思いながらも2人でスーパーへ向かう。 なんてことない日曜日だったんだ。 暴走車が僕達へと向かって来て「たまたま」車道側を歩いていた兄が死んでしまった。

聞きたくなかったよ。分かっていたんだ。それでもどうしょうもなくて、




  「死んだのがお前だったら良かったに」
 



そう言われてしまった。 分かってる。兄が死んでしまって乱心してるのも、自分の方が命の価値が低いのも。
分かってるけど………それでも、、     辛かった




生前兄とは散々一緒にいたから出来たんだ すっと自分に馴染むように   簡単に

それから今の今までずッと君の真似をしているんだ。お兄ちゃん。

ただ君だけ、ただ君だけ僕を愛してくれたよね。

ただ君だけ愛されていたよね。

お兄ちゃん だからね、いいよね?、

         成り代わったって 

Next